
12月に上演する『くるみ割り人形』で初めて第1幕のコール・ド・バレエに取り組む福田天音(ふくだ あまね)は、本ブログ初登場! 2023年春に東京バレエ団に研究生として入団、今年4月にアーティストに昇進し、日々学びを重ねています。
──まずは自己紹介からお願いします!
福田天音 北海道・札幌出身の福田です。バレエは4歳のときに始めました。私の身体がとても柔らかいと感じた母が、それを活かせる習い事をさせたいと、何となく近くにあったバレエ教室に通わせた、と聞いています。バレエのことなんて全然知らないし、本当に何となく、だったようです(笑)。
──初めてのバレエは楽しい思い出になっていますか。
福田 当時の記憶は全然ないのですが、一つよく覚えているのは「アイスを食べさせてあげるから、バレエのレッスンに行きなさい」と言われて、「じゃあ行く」と教室に行ったこと(笑)。アイスを食べられることが嬉しくて記憶に残っているのだと思うのですが、だとすると、最初のうちはあまりバレエに乗り気ではなかったのでしょう。でも、気づいたらバレエが好きになっていました。
──プロのダンサーを目指すようになったのは?
福田 YouTubeでコンクールに出ている人たちの動画をよく見ていて、私もこんなふうに一人で踊る踊りをやってみたいな、と思っていたんです。教室のお姉さんたちもコンクールに出ていたので、私も出てみたいなと思うようにもなりました。コンクールに出るようになると、そこからスカラシップとか留学とか、プロに繋がるいろんなことが身近に。同時に、プロのバレエ団の舞台の動画も刺激になって、「私この世界に入りたい」と思うようになりました。両親はバレエの世界に詳しいわけではないので、当初はいろいろ「ダメ」と言われていたのですが、私がしつこかったのでしょう(笑)、次第にあれもいいよ、これもいいよと、いろんなことをさせてくれるように。感謝ですね。
──そして高校卒業。その後すぐに上京されたのですか?
福田 コロナ禍に入ってしまったので、当初の予定から少し遅れて6月に上京、新国立劇場のバレエ研修所で約2年間学びました。修了後は、都内のスタジオの、海外での活動も視野に入れた1年のカリキュラムを受けていました。どんなバレエ団が自分に合っているのか、どんな場所で活動するのがいいのか全然わかっていなかったので、いろいろと考えていたんです。そんな中で、東京バレエ団を志望するようになりました。
──東京バレエ団の公演を観る機会があったのですね。どんな作品を?
福田 『くるみ割り人形』、『ドン・キホーテ』、〈ニューイヤー祝祭ガラ〉などを観ました。観ましたが──自分に合うか合わないかというレベルではなく、むしろ憧れの存在に。でもせっかく東京にいるのだし、オーディションを受けられるものなら受けてみようと、チャレンジしたんです。プロのダンサーとしての経験がなかったので、まずは研究生として入団させていただくことになりましたが、学びながらバレエ団で生活できるなんて素晴らしいこと!と思いました。研究生としての生活がスタートすると、それまではお金を払って学んでいたわけですが、舞台に立てばプロと同じ立場。最初はすごく驚きました。すぐそこにプリンシパルの方がいて、という状況もすごく新鮮。「うわーっ!」と思いながら、必死でついていく日々でした。先輩方は皆さん本当に優しくて、何を聞いても答えてくださるし、尊敬の対象でもあります。
──研究生としての初舞台は?
福田 『ジゼル』です。第1幕の農民、ぶどう狩りの娘に配役してもらいました。2幕のウィリのアンダーにつくこともできて、1、2回でしたがリハーサルで実際に踊るチャンスも。リハーサルとはいえ、世界に誇る東京バレエ団のコール・ドに入る緊張感といったら! 周囲の先輩たちに「大丈夫、大丈夫!」と励まされながら入ったものの、全然うまくできませんでした......。その経験があったので余計に、「できるようになりたい!」「早く舞台でコール・ドを踊れるようになりたい!」という気持ちが強く芽生えたんです。
──今年春の『白鳥の湖』では、コール・ド・バレエに参加しました。
福田 私の"白物コール・ド"のデビューです。必死すぎて「わーーーー!」と思っているうちに終わってしまいました。達成感というより悔しさのほうが強くて、もっともっと経験を積んで、まだまだ強くならなければと感じました。緊張に負けないメンタルと、身体の強さですね。今度の『くるみ割り人形』では初めて第1幕の雪のコール・ドにキャスティングされたので、しっかり取り組みたいと思います。
──4月にアーティストに昇進、バレエへの取り組み方、生活に変化はありましたか。
福田 昇進させていただく際、「課題を一つひとつ克服していくように」と先生方からアドバイスをいただきました。課題が多すぎてどこから手をつけていいのやらという感じでしたが、2年目に入ってから、少し変わったんです。まずここを直したらこういったことに繋がるかな、ということが少しずつ、見えてきました。先輩方も同期たちもいろんなアドバイスをくれるし、一緒に考えてくれる。私は東京バレエ団しか知らないけれど、皆さん、バレエ団の中の一人ひとりをリスペクトしていると感じます。そのリスペクトがあってこそ、バレエ団として一つになって、お客さまに感動していただける舞台が成り立つんだなって実感しています。そうやって一つひとつの公演を大切に作り上げていくところが、東京バレエ団の大きな魅力だと思います。
──これまでの活動の中で、一番印象的だった経験は?
福田 〈Choreographic Project〉で木村和夫先生の作品『チャイコフスキー・ピアノ・コンチェルト第一番より第三楽章』に参加できたことです。ファーストソリスト、ソリストのダンサーも研究生も一緒になって創作する貴重な体験でした。(足立)真里亜さんもご一緒しましたが、いろんな学びがありました。研究生の陶山湘くんと組んで踊ったことも、最初は「無理!」と思っていたけれど、周囲の方々にいろんなアドバイスをいただいて、形になっていきました。何でもかんでも「難しい!」って思ってしまうほうなのですが、とても贅沢な経験ができたと思います。
──では、将来について。どんなダンサーを目指していますか。
福田 そうですね......言葉にするのって難しいですね(笑)! ずっとバレエを好きなまま踊っていけたらと思っています。先輩たちは皆、すごく踊れるし、知識もあるし、人としてもとても素敵。ざっくりとした思いではありますが、そんな「素敵な人」になりたいと思うんです。挑戦してみたい役柄は......以前、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』でキューピッドのアンダーに入れてもらったことがあるのですが、もし叶うなら、一度舞台で踊ってみたいです。先輩方の踊りを見ていると、すごく綺麗で可愛らしくて! 細かい動きが詰まった、私の苦手要素満載の踊りなので、いつか踊れるよう、日々の練習を大事に、取り組んでいきたいと思っています。