
8月下旬にめぐろパーシモンホールで催された〈めぐろバレエ祭り〉は、東京バレエ団公演をはじめ、ワークショップや見学会など多彩なイベントが開催され、大盛況のうちに閉幕を迎えました。
その最終日にあたる26日(日)、バレエ祭りを締めくくる最後のイベントとして「東京バレエ団ダンサー交流会」が行われました。その様子を、ここで少しだけご紹介します!
今回、交流会のMCを任されたのは岸本夏未、森川茉央の二人。少し緊張気味の岸本と、そこに絶妙なツッコミを入れる森川の、爽やかで楽しげなMCによって、会場は終始和やかな雰囲気に。前半の「トークショー」では、岸本・森川の二人の紹介で次々とダンサーたちが登場、スライドに映し出された数々の舞台写真、オフショットとともに、昨年9月から現在までの活動を振り返りました。
↑写真左から伝田陽美、宮川新大、MC森川茉央
最初に登場したグループは、伝田陽美、柄本弾、宮川新大、ブラウリオ・アルバレスの4人。それぞれ簡単な自己紹介ののち、思い出の舞台について思い入れたっぷりのトークを披露してくれました。
↑写真左から、ブラウリオ・アルバレス、柄本弾
真っ先にマイクを渡されたのは伝田陽美。2017年9月の〈20世紀の傑作バレエ〉で主演したベジャールの『春の祭典』の舞台写真です。「この2年前のイタリア・カリアリ公演を経ての、日本での初生贄でした」。この写真のあたりにくるともうフラフラだよね?」と森川が聞くと、「自分で言うのもなんですが(笑)、この日は大丈夫だったんです。少し神がかっていたかも」と振り返っていました。

『春の祭典』生贄を踊る伝田陽美
柄本弾の舞台写真は、同じく〈20世紀の傑作バレエ〉公演で東京バレエ団初演をはたしたローラン・プティ振付『アルルの女』のフレデリ役。「最後のヴァリエーションの写真ですね。これはすごくハードで、練習ではいつも終わるたびに倒れ込み、しばらく起きれずにいたほど。でもこの日は僕も神がかっていて、すぐに立ち上がれました(笑)」。ラストのダイヴの場面が映し出されると「実はゲネプロのときに窓枠に激突した」と裏話を披露。「またぜひ踊りたい役」とも。「僕もこの役の弾くん、すごく好き。胸キュン」とMC森川も告白、仲良しの二人ならではの心温まる(?)一場面でした。

『アルルの女』フレデリを演じる柄本弾
宮川新大は、12月に5年ぶりに上演されたベジャールの『くるみ割り人形』の終演後、振付指導の小林十市さんとの一コマを紹介。「十市さんから直接、猫のフェリックスを指導していただけたのは貴重なこと。本番は結構、神がかっていました(笑)」。さらにこの髪は「実は地毛」とMC森川が衝撃の事実を暴露。「カツラという選択肢もあったけれど、本番ではできるだけ余計な心配ごとは増やしたくなかったので。伸ばし続けている間はずっと、朝起きたときが酷くて」と笑顔を見せていました。

ベジャールの『くるみ割り人形』終演後の宮川新大。スプレーで赤く染めた髪に注目!振付指導の小林十市とともに。
ベジャールの『くるみ割り人形』からは、MC岸本が踊った「中国」の一場面も紹介。「"余計な心配"ばかりしていたときの写真です(笑)。中国はバトンを使う踊りですが、これが映像を見てもよくわからなくて、5年前に踊ってらした高村順子さんに習いに行きました」と岸本。森川も「いつもリュックにバトンを挿していて、小学生がランドセルにリコーダー挿して歩いているみたいだったよね」と彼女の奮闘ぶりを振り返りました。本番の舞台は?「もちろん、神がかっていました(笑)!」(岸本)。

ベジャールの『くるみ割り人形』より中国 岸本夏未
ブラウリオ・アルバレスが紹介したのは、2018年2月に目黒のバレエ団スタジオで行われたTHE TOKYO BALLET Choreographic Project Ⅲのスタジオ・パフォーマンスのときの写真。アルバレスはこのとき、『Adagietto』ほか計2作品を上演していますが、写真はなんと、古巣ハンブルク・バレエ団のジョン・ノイマイヤー芸術監督との記念写真! 日本公演の合間を縫って、スタジオまで駆けつけてくれたのだという。「僕たちの始まったばかりの振付のプロジェクトを、ジョン・ノイマイヤーが見てくれるとは思わなかった!」と本当に嬉しそうでした。

THE TOKYO BALLET Choreographic Project Ⅲを見学に来団したジョン・ノイマイヤーとともに
次の第2グループは若手団員チーム、海田一成、樋口祐輝、秋山瑛、柿崎佑奈の登場です。
↑左からMC岸本夏未、海田一成、樋口祐輝
↑左から、柿崎佑奈、秋山瑛、MC森川茉央
海田一成は2018年4月の〈上野の森バレエホリデイ〉で上演されたアシュトン振付『真夏の夜の夢』でボトムを演じました。脇役ながら、ロバの頭をかぶってさらにポワント着用で踊る、結構な難役です。「初めてポワントを履いて、まず"痛いな"、と。で、皮がむけ、また皮がむけ、やっと立つことができました」。2枚目のロバの頭をとった海田の写真に、森川の「ロバのほうがかわいいね?」のツッコミで、会場はどっと湧きかえりました。

(左)『真夏の夜の夢』ボトムを踊る海田一成 (右)終演後にロバなしでチーズ!
樋口も『真夏の夜の夢』では、ライサンダー役で大活躍。「コミカルな演技に挑戦しました。何よりも、演技一つひとつにカウントが決められているのが大変でした」と話す樋口に、「誰か一人でも崩れると全部台なしに。"カウント地獄"だったね」とMC森川もアシュトン作品の難しさを思い出していたようです。
その森川茉央ですが、実はこの『真夏の夜の夢』には特別な思い入れがあるといいます──。「僕はディミトリアスを演じたのですが、実は、2017年8月に左アキレス腱断裂をやって、その後手術。9カ月後のこの『真夏の夜の夢』が復帰作となりました。これまで9カ月舞台に立てないなんてことがなかったので、このときはメイクする手が震えました。でも、お客さまから大きな拍手をいただいて、僕はこの拍手を聞くためにバレエを続けることを選んだ、と再確認しました」と思いを明かしていました。
続いて秋山瑛の舞台写真は、〈上野の森バレエホリデイ〉で上演した『セレナーデ』より。『セレナーデ』といえばこのフォーメーション! という瞬間の写真ですが、さて秋山は何処に?「ココです(笑)」と、会場では写真に矢印を入れてもらっていましたが、この写真でわかるでしょうか? 秋山は「バレエ団初演だったので、ゼロの状態からひとつずつ、グループごとに別々に振付を進めていくので、"これって最終的に一つになる時は来るのかな?"と不安になったほどでした」とコメント。
『セレナーデ』さて、秋山はどこ? photo: Kiyonori Hasegawa
第2グループの最後を飾ったのは柿崎。2018年4月に開催された〈NHKバレエの饗宴〉で『ラ・バヤデール』より"影の王国"を上演したときの写真です。写真は終演後の1ショット。皆すごくいい笑顔! 実は、東京バレエ団が世界に誇る影のコール・ド、その先頭をゆくのは柿崎なのでした。「先頭のダンサーは全部で39回、アラベスクするんです。初めてやったときは、二の腕の感覚がなくなりました(笑)。このときはテレビが入っているというのがすごいプレッシャーでした」。

〈NHKバレエの饗宴〉終演後、エヴレイノフ先生とともに。柿崎は柄本弾の後ろでにっこり!
最後の第3グループは、吉川留衣、沖香菜子、池本祥真、川島麻実子、秋元康臣らが登場。
左から池本祥真、秋元康臣、川島麻実子、沖香菜子、吉川留衣
まず吉川が見せてくれたのは、7月のブルメイステル版『白鳥の湖』の1コマ、王子役、秋元とのツーショットです。「バレエ団初演からアダージオを踊らせていただいています。舞台では、このまま王子に選ばれるかもしれないというかすかな期待とともに踊るんですが、最後の最後に王子が白鳥の姿を追って行ってしまうという悲しい役回りなんです」と、ほんのちょっとだけ、悲しげな表情に。

ブルメイステル版『白鳥の湖』。吉川留衣と王子役の秋元康臣
沖の写真は、今年7月に再演したブルメイステル版『白鳥の湖』で初めてオデット/オディール役を踊ったときの思い出の写真。「でもこの写真だけ見るといったい何の役かわからないですね(笑)」と沖。「ブルメイステル版のオデットはラストシーンで人間に戻るので、終演後に白鳥の姿で写真が撮れない。で、この写真見るたびに、"何を踊ったんだっけ"」と笑ういっぽうで、「この憧れの役をまさか自分ができると思っていなかったので、終盤、舞台の上で泣いていたんです。ぱっと振り向いたら新大くんも涙ぐんでいました」とも。

ブルメイステル版『白鳥の湖』終演後に。この衣裳では何を踊ったのかわかりにくいかもという沖と王子役の宮川
池本は同じく『白鳥の湖』で道化を踊りました。ドン、と池本道化の写真が映し出されると、すかさず「脚開きすぎでしょ」とMC森川がツッコミますが、池本は「やっぱり道化は盛り上げないと」と控えめにアピール。しかし、美しい跳躍の写真が3連発で紹介されると、会場はどっと湧き上がります。「東京バレエ団に入ってまだ5カ月ですが、アットホームな雰囲気」とコメント。道化役は以前から踊ってきていたが、「隣にいてくれると頼もしい」と王子役の秋元も絶賛です。

ブルメイステル版『白鳥の湖』池本祥真の道化
photos: Kiyonori Hasegawa
ラストバッターのプリンシパル二人も、この『白鳥の湖』のカーテンコールの写真でコメント。「このオデット/オディール役は、友佳理さんが芸術監督になって初めていただいた大役。今回は二度目の挑戦で、思入れ深い大切な作品になりました」(川島)、「東京バレエ団に入って初めてやらせていただいた主役。演劇性の強い作品なので、最初はとても難しく感じたけれど、踊るたびに新しい発見だったり、感情が激しくなるのを自分でも感じて、演じることが楽しくなりました」(秋元)。最後の最後、波にのまれそうになる場面は、舞台では手に汗にぎる緊迫のシーンだけれど、「スタジオで一人のリハーサルを見ていると、まあオモシロい場面。すごくシュール!」とMC森川。と、横から川島が「体力的にもしんどそうですよね」と王子役ダンサーを気遣っていました!

ブルメイステル版『白鳥の湖』カーテンコールより。川島麻実子と秋元康臣
photo: Kiyonori Hasegawa
交流会のラストの「プリンシパルへの質問コーナー」では、「ジャンプを高くとぶコツを教えてください」、「パートナーと踊るときはどんな気持ち?」、「腕を柔らかく使うにはどうしたらよいですか」などの質問が次々と飛び出し、プリンシパルたちも一つずつ真摯に、丁寧に回答していました。
交流会終了後は、ダンサーたちが出口に整列して皆さんをお見送り。ほんの少しの時間でしたが、ダンサーたちと直接挨拶を交わす楽しいひとときが実現しました!
ご来場ありがとうございました! また劇場でお会いしましょう!