
12月1日、〈20世紀の傑作バレエ2〉公演の終演後、東京バレエ団55周年記念プレ・イベントとして、団員たちによる〈アフタートークイベント〉が開催されました。

参加したのは、この日の最後の演目、『ボレロ』を踊り終えたばかりのメンバーを含む7名のダンサーたち。まさに舞台の興奮冷めやらぬままの彼らから、作品のこと、舞台裏のことなど、さまざまな話題が飛び出しました。
冒頭、舞台上の大スクリーンで10月に実施された第33次海外公演の模様を振り返る約5分間の映像が紹介されたのち、出演者の沖香菜子、二瓶加奈子、秋山瑛、池本祥真、井福俊太郎の登場です。8月の〈めぐろバレエ祭り〉の団員交流会でも活躍した森川茉央と岸本夏未の軽快なMCに導かれて、それぞれ自己紹介。前半の〈20世紀の傑作バレエ2〉エピソードトークに突入です。
まずはノイマイヤー振付『スプリング・アンド・フォール』について。
「ここはもう解放感、ですね(笑)」とスクリーンに映し出された舞台写真にコメントしたのは沖。「今年、初めてノイマイヤーさんにこの作品を直接指導していただきましたが、踊りの技術というよりもむしろ、ニュアンスの注意をいただきました。何度も踊らせていただいていますが、その時どきによって私たちが感じていることは違いますし、何度観ても違う見方ができる作品ではないかと思います」(沖)。
「第2楽章の女性の踊りがとても好き」と話す二瓶が「通りすがりの男性との駆け引きや女性の強さを表現するのがすごく楽しい。宮川新大くんと組んだのは昨年夏の『パキータ』以来。とっても信頼できるパートナーです!」と言うと、すかさず「そうとしか言えないよね(笑)!」と森川。会場の雰囲気を一気に和ませました。
「みんないい笑顔!」の『スプリング・アンド・フォール』第5楽章の写真を見ながら
つづいてはロビンズ振付『イン・ザ・ナイト』。
振付指導ベン・ヒューズ氏の厳格なリハーサルついて沖がコメントすると、初役でのぞんだ秋山も「素敵な作品と思っていたので、踊ることができてとても嬉しいです。これも物語のない作品ですが、振付指導のベン先生に、『私が踊る1組めのカップルはどんなカップルで、どう踊ったらいいですか』と質問したら、『これに決まりはないから、相手を感じ、音楽を感じて、その時思ったままに踊るといい』とおっしゃったんです」と振り返ります。
3番めに上演されたのはキリアン振付『小さな死』。
「少し、違っただけでうまくいかなくなってしまう作品」とその難しさを噛みしめるように話すのは、第2パ・ド・ドゥを踊ったMC岸本。第1パ・ド・ドゥの沖も、「私たちのパ・ド・ドゥだけ、あの象徴的な小道具の剣を使って踊るので、二人で踊っているようでもあり、三人で踊っているようでもあり、難しかった」と話しました。
公演の最後を飾ったのは、ベジャールの『ボレロ』。
この日の公演で柄本弾が踊ったメロディを、「男性だけどなかなか色っぽい」とMC森川が賞賛。スクリーンに映し出された写真には、主役の上野水香の後ろ、円卓の向こう側にリズムを踊る森川の姿がはっきりくっきりと! 「チラシやポスターなどで、ついこのあたりに写り込むことが多かったんですが、僕は最近になって別のパート、第1ソリストを踊らせてもらうように。今度からここには和田康佑くんが写ります(笑)」。
また、8月の〈横浜ベイサイドバレエ〉で『ボレロ』初出演を果たした池本は、「東京バレエ団といえば『ボレロ』! 初めてベジャールさんの作品に触れることができて光栄です。リズムは椅子に座っているときの緊張感がすごいですね」、井福も「僕が初めて『ボレロ』のツアーに連れていってもらったのは、ギエムさんとの全国公演。当時は後ろのほうのエキストラ・パートだったんですが、8月の〈横浜ベイサイドバレエ〉で初めて"踊る役"に。緊張しました」と振り返ります。
アフタートーク後半は、オマーン公演の報告会です。
たびたび海外ツアーに出かける東京バレエ団の団員たちも、アラビア半島での公演は初体験、当初は「どんな場所かな」と不安もあったようですが、帰国後は皆口々に「いいところだった」とのこと。そのオマーンで上演したのは、『ラ・バヤデール』です!
オマーンにて
今回は井福がブロンズ像に初役でのぞみ、池本も東京バレエ団でのブロンズ像デビューを果たしました。通常、ブロンズ像は全身に塗料を塗って踊りますが、オマーンでは宗教上の理由で肌を出すことができないので、「ウエットスーツみたいなものを1枚着ているんです。これで踊れるのかと不安でしたが、踊ってみたらなかなか良かったです」(井福)、「初めてのマカロワ版でしたが、振付指導の先生にしっかり見ていただけて、嬉しかったです」(池本)。
女性陣では二瓶がガムザッティ役デビュー! 「必死すぎて舞台以外の記憶がほとんどないのですが(笑)、舞台の中でその時その時を生きよう!と演じていました」と二瓶。舞台に全力を尽くしたためか、最終日の観光に出かけられなかったそう。彼女の父親役を演じたMC森川が「加奈ちゃんは同期で、実は僕のほうが年下ですが、可愛い可愛い娘でした」とふると、「溺愛してもらいました!」と笑顔で応えていました。

『ラ・バヤデール』ガムザッティ役デビューを果たした二瓶加奈子。右はソロル役の秋元康臣
photo: Khalid Al Busaidi / ROHM
秋山は、パ・ダクシオンのオマーン・ヴァージョンの衣裳について、「お腹と肩を隠すために、ベージュのレオタードのようなものを1枚着てから衣裳を着るんです」と説明。
〈影の王国〉でコール・ド・バレエを踊ったという沖は、「海外公演ではなぜか『沖さんはコール・ドをやりたいらしい』と噂が立つので(笑)、いやいやいやー、と笑っていたのですが、ホントに急遽やることに! それも、一度もやったことのない、前から4番目の位置で、背の高い柿崎佑奈ちゃんが目の前に!! 普段はできない体験をしました」。
終演後の楽屋。赤矢印は念願(?)のコール・ド参加で満面の笑みの沖
スクリーンでは、最終日の観光や日本大使公邸でのパーティーでのスナップも紹介、普段は見る機会の少ない、オフのダンサーたちの雰囲気に触れる楽しいひとときとなりました。
東京バレエ団は、まもなく『ザ・カブキ』公演です。
これが2018年最後の公演! 東京文化会館でお会いしましょう!
カブキTシャツでポーズ! 左から秋山瑛、井福俊太郎、MC森川茉央、MC岸本夏未、池本祥真、二瓶加奈子、沖香菜子