
前回に引き続き〈The Tokyo Ballet Choreographic Project 2019〉の話題をお届けします。1月14日に開催されたスタジオパフォーマンスのレポートです!
〈20世紀の傑作バレエII〉『ザ・カブキ』と二つの公演に取り組んだ2018年12月。その直後に試演会を行いお正月休みを挟んですぐの本番! ──という慌ただしいスケジュールの中での開催となりましたが、団員、スタッフが一丸となって準備に取り組み、無事本番を迎えることができました。
この日の上演は二部制で、前半はお客さまの投票による「観客賞」の選考対象となる5作品、後半は特別上演作品の2作品というプログラム。研究生の木住野真菜美の司会で、団員たちが次々と振付作品を披露していきました。
トップバッターはブラウリオ・アルバレス振付『Bird』。カラフルなレオタードで軽やかに登場した金子仁美は、カワセミ。紅一点の彼女と、アホウドリのオスカー・ラーニャ、シラサギの南江祐生、フクロウの後藤健太朗と、森や水辺を行く色彩豊かな鳥たちが出会い、楽しげなダンスを繰り広げます。
ブラウリオ・アルバレス振付『Bird』 左から南江祐生、金子仁美、オスカー・ラーニャ次の『ひとり』は、岡崎隼也の振付。下手には角テーブルと椅子。そこに佇んでいた沖香菜子、伝田陽美、秋山瑛の三人が、岡崎らしい尖った動きで近づいたり、遠のいたりして、独特の空気感を作り上げていきます。
岡崎隼也振付『ひとり』 左から沖香菜子、秋山瑛、伝田陽美3番目は再びブラウリオ・アルバレス作品。鬼婆伝説に着想した『夜叉』は、アルバレスの故郷、メキシコの国民的作曲家の代表作を効果的に用い、夜叉と男性の物語を迫力たっぷりに描き出します。
木村和夫の『Salut 'dAmour』は女性のソロ作品。当初、柿崎佑奈が演じる予定でしたが、体調不良で残念ながら降板。かわりに登場した秋山瑛が、さまざまな感情に揺れ動く若い女性の姿を初々しく表現しました。
〈The Tokyo Ballet Choreographic Project〉初登場の杉山優一は、自作『Hommage』を踊っての参加。ヴィヴァルディの音楽にのせて、踊る喜びや不安、驚きなど、さまざまな思いを振付にこめ、力強く踊りあげました。
第二部では、サプライズとしてブラウリオ・アルバレスが上野水香に振付けた『MIZUKA』と、岡崎隼也の昨年の出品作、『理由』を上演。
『MIZUKA』は、「行きつけのコーヒー店で水香さんの『ボレロ』のポスターを見ている時に思いついた作品」だそう。振付のアイデアはいつも日常の生活の中で「降りてくる!」と話していたアルバレスですが、上野水香の魅力がたっぷりと詰まった、可愛らしい小品に。
シルヴィ・ギエムに「作品としてとても面白い」と高く評価されたという岡崎の『理由』。岡崎は彼女のアドバイスを参考に、「構成は変えずに、引き算や足し算をしながら、より伝えたいことが見えるように」と手直しをしたそう。スツールを用いた女性4人の踊りは、人間の内面の奥底までも伝えたいという岡崎の思いが反映された、見応えある作品に。
終演後には、「厳しいスケジュールの中、実現できてよかった。ご来場ありがとうございます」との斎藤友佳理芸術監督が挨拶したのち、皆で隣のスタジオに移動。参加メンバーたちとの歓談会が行われました。
金子仁美の司会進行で、まずは振付者たちからのご挨拶。「今回は初めて、ダンサーたちがスタッフさんの力を借りながら、会場の設営も手伝わせていただきました。新たな経験をさせていただいたとともに、スタッフさんの存在の有り難さを痛感しました」(岡崎)、「いつも自分たちがレッスンをしている大好きなスタジオで、自分の作品を観ていただくことができて、僕自身、楽しんでできました」(杉山)と皆、本番を終えてほっとした表情で語っていました。
出演者を含めた参加メンバーたちとお客さまたちの歓談タイムでは、「あのシーンはどんな意味が?」「次はどんな作品を?」と大いに盛り上がっていました! 団員たちにとっても、お客さまから直接ご意見、ご感想をいただく貴重な機会となったようです。

お客さまには、最も良いと思った作品を一つ選んで投票していただきましたが、さて、「観客賞」は誰の手に!? 続報をどうぞお楽しみに。
〈The Tokyo Ballet Choreographic Project 2019〉は、この後、4月の〈上野の森バレエホリデイ2019〉、8月の〈めぐろバレエ祭り〉などでも上演の機会を設ける予定ですので、今後もぜひご注目を!