
新年、明けましておめでとうございます。
本年もこのブログで団員たちの近況、インタビューなどをたっぷりとお送りしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、東京バレエ団のスタジオではきたる1月14日、〈The Tokyo Ballet Choreographic Project 2019〉スタジオ・パフォーマンスを開催します。
3年目を迎えるこのプロジェクト。昨年末には参加メンバーによる試演会も開催され、着々と準備が進められています。今回は彼らに、振付について、進行中のリハーサルについてなどを語ってもらいました。
12月下旬に行われた試演会は、〈20世紀の傑作バレエ2〉『ザ・カブキ』と2つの公演の直後での開催。斎藤友佳理芸術監督は、本公演の合間を縫って準備を重ねてきたメンバーたちに、「こんな短い期間でよくここまで! まだこれから仕上げていく段階だけれど、皆、それぞれの色合い、味のある作品になっている」と激励しました。

まずは、バレエ・スタッフの木村和夫。2017年の初回からの参加で、初年度に発表した若手女性団員の爽やかなデュエット『ハミング・バード』が〈上野の森バレエホリデイ〉でも人気を得た。
「僕が創るならきっとドロドロしたアングラぽいものだろうという期待を、いろんな意味で裏切ってみました(笑)! 最初はどんな反応があるだろうという怖さもありましたよ。2回目の昨年は、創作するついでに自分もと踊ってしまいましたが(奈良春夏との『The Piano』)、その時その時でやりたいことは実はいろいろある。今回は時間が足りなくて実現できなかった既存のバレエ作品の現代版とか、──これは次回ぜひ! 今回の作品は、以前振付けた作品を少しアレンジしたもので、柿崎佑奈のソロです」
昨年、『ジョコンダ』より「時の踊り」で主役を経験した柿崎だけれど、一人で3分間を踊り切るのはかなりのプレッシャーのはず。指導者として、これは彼女の成長を促す大きなチャンスと期待をしているそう。
「東京文化会館のキャノピー(屋外)向けの軽いタッチの作品を、と考えていました。十代の若者が抱く不安、悩みを表現しながら、でも、こんなふうになりたいという漠然とした希望があって、いまは手が届かないけれど、少しずつ向かっている──というポジティブなストーリーを想定したものです」
〈Choreographic Project〉にご来場の皆さんにメッセージを──。
「振付する人の個性だったり、普段は見ることのできないダンサーの隠れた個性だったりが見える貴重な機会。ぜひ、温かい目で観ていただけたらな、と思います」
岡崎隼也も初回から皆勤、昨年は女性ダンサー4人に振付けた『理由』が昨年のスタジオ・パフォーマンスで上演された。実はこの作品、映像を見たシルヴィ・ギエムから高い評価をもらったそう!
「嬉しいです! が、自信になるというより、『次も期待しているわ』などと言われて、むしろプレッシャーに(笑)。動きだけを見せる、抽象的な作品より、しっかり意味のある作品を創るべきだ、とのアドバイスもいただきました。僕自身も、よりシンプルにすることで見えてくるものがあるのかなと感じていて、足し算だけでなく、引き算も必要と思っているところです」
今度の新作は、沖香菜子、伝田陽美、秋山瑛と3人の女性ダンサーに振付けた『ひとり』。
「基本的に、日常で感じたことでひっかかったものを作品にできたら、と取り組むことが多いのですが、今回は、ちょっとエキセントリックな感じの作品を創りたいな、と考えていました。
このプロジェクトは、バレエ団の仲間たちと創るからこそ面白いんですよね。それぞれの個性をよく知っているから、『このダンサーがこういうことをしたらどうなるんだろう』という部分を追求できる。今回は、いつもにこやかで爽やかな印象の強い沖に、よりディープな感情を表現してもらっています。コンセプトとしては、一人の人間の中で動いている3つの感情というか、人間の表と裏のようなものを表現したいと考えました。ぜひ、先入観なしに、不要なフィルターをとっぱらって観ていただけたら。この機会を、自分は何がしたいのかということを見つめる場にしたいなと思っています」
唯一の初参加メンバー杉山優一は、自身で踊るソロ作品での挑戦です。
「創作することについてはずっと興味があって、これまでにも少しずつ、やってはいたんです。踊りに限らず、絵を描いたりモノを作ったりすることは好きな性分なんですね。が、今回はどうなることやら(笑)。時間が足りないという状況の中でのエントリーだったので、誰かに踊ってもらうのは難しいかなと思い、結果、一人でやることに。自分で創って踊るとなると、作品を客観視しにくくなるということが問題に。誰かに動いてもらって創るほうがやりやすい部分も、楽しいということもあるけれど、今回はチャレンジです!」
タイトルは『Hommage(オマージュ)』。いまやれること、やりたいことをぎゅっと凝縮させた、2分ちょっとの小品です。
「限られた時間の中でできることをと、シンプルさを心がけて、そこで一人で何ができるのかな、と考えながら創っています。
いちばん伝えたいと思っていることは、タイトルのとおり"オマージュ"。作品のアイデアとしては、自分たちがいつも過ごしているこのスタジオでの上演だということがあったんです。このスタジオで僕は、素晴らしい方たちとの素晴らしい時間にたくさん出会ってきました。たとえば、(バレエ団創設者の)佐々木さん、ベジャールさん、ジル(・ロマン)さん、マラーホフさん、ギエムさん、それからジョン(・ノイマイヤー)さんにも出会うことができた、ここは僕にとっても皆にとっても大切な場所です。短い作品ですし、大それたことはできないけれど、その思いを感じていただける瞬間が少しでもあれば、と思って取り組んでいます」
昨年、〈めぐろバレエ祭り〉で『アダージエット』が上演されたブラウリオ・アルバレスは、昨年秋にハンブルクで開催されたガラで振付作品を発表するなど、実に意欲的に創作に取り組んできました。彼が初めて振付に挑戦いたのは、ハンブルク・バレエ学校時代の授業だったそう。
「自分の作品、"めっちゃ下手!"って思いました(笑)。以来、自分に振付が合っているとか、才能があるかも、なんて一度も思えたことがない。けれど、アイデアはいつでも、どんな時でも"降りて"くる。それをつかまえることが大事だし、いろんな問題がある中でも、"やろう!"と思って取り組むことが大切。この〈Choreographic Project〉はそれができるいいチャンスだから、僕はいつも『次はいつやりますか?』『まだですか?』って言っているんです!」
今回は2作品での参加です。
「去年の『白鳥の湖』のツアーの時、バスの中から外の豪雨の様子を見ていたら、木が風で大きく揺れているのが目に入って、 "あそこに妖怪がいる!"って思った。そこから"オニババ"を連想して、作品にしようと思ったのが『夜叉』を創るきっかけ。もう一つの『Bird』はヴィヴァルディの音楽を聴いていた時に思いついたもの。最初は男性のソロの予定だったけれど、それが5人の作品になって、(金子)仁美ちゃんが『私、カワセミがいい!』と言って、『じゃあ、あなたはカワセミね』と(笑)。そこから始まってできた作品です」
スタジオ・パフォーマンスに来場される皆さんには感謝の言葉を伝えたいという。
「新作を創ることっていろいろと大変なこともあるし、お客さまのサポートがとても大事。すごく感謝しています。有名な作品でも何でもないものだけれど、どんな人にもスタートがあって、僕たちもここがスタート! だから、楽しみにしていてください」
本番まであと少し! スタジオでは参加メンバーたちのリハーサルが続いています。どうぞお楽しみに。