
『海賊』特集第2弾は、オダリスクを踊る金子仁美、ランケデム役の樋口祐輝、ビルバント役の鳥海創の登場です。
金子仁美は、昨年『真夏の夜の夢』のタイターニア役で大活躍。『海賊』では、オダリスクの第1ヴァリエーションを踊ります。
──配役決定のためのトライアウトは緊張しましたか?
金子仁美 緊張しました。アンナ=マリー・ホームズ先生の前では、3人ずつ、横並びになって踊ったのですが、皆「この役を踊りたい!」と思って挑んでいるので、遠慮はナシ(笑)! すごく緊張する中でも、何とか自分らしさを出しながら、今の自分の"せいいっぱい"を出そうとのぞみました。前もってのリハーサルができず、自習をしただけの状態だったけれど、条件は皆一緒。これでダメだったら、まだまだ実力不足と思うしかない、と気持ちを強くもって挑戦しました。だから、踊れることが決まって本当に嬉しかったです。
──第1ヴァリエーションはどんな踊りですか?
金子 細かい足さばきがたくさん出てくるヴァリエーションなんです。オダリスクの3人は、「選ばれた奴隷」。ただ元気いっぱいに踊っているように見えてしまうと、ちょっと違うと思うんですよね。ちょっと上品な雰囲気が求められて、難しいところです。
──オダリスク以外にも、いろんな役柄で登場します。
金子 海賊たち、「花園」の場面のバラ、パシャの妻たちに配役されています。パシャの妻たちは"踊らない"役柄なんですが、ディズニー映画のヒロイン、ジャスミンのような美しい衣裳で登場します。
──『海賊』は男性のバレエという印象が強いかもしれません。
金子 たとえば、アメリカン・バレエ・シアターの映像を見た時、私はとくにアリ役のアンヘル・コレーラが好きだったので、主要な役柄を演じる男性ばかりに注目してしまったかもしれません。でも実は、私たち女性陣も大活躍なんですよ。だから、「あんなのもいたよね」などと思われないよう(笑)、印象的だったねと思っていただけるよう、存在感を出していけたらと思います。とはいっても、男性陣がここまで活躍する古典バレエってほかにあまりないので、男性は皆、すごく張り切っています! 彼らに負けないよう、埋もれてしまわないように(笑)、頑張ります。
東京バレエ団の舞台では、主要な役柄の人だけが頑張ればいい、真ん中の人が良ければいい、とはなりません。周りにいる時も、主要人物との関係性をしっかり意識して演じ、物語の人物として生きて、いい舞台にしますので、ぜひ、楽しんでいただけたらと思っています!
続いては、ランケデム役に選ばれた樋口祐輝。3日目の公演で、華々しく登場します!
──大役を掴みましたね!
樋口祐輝 古典の全幕作品の中でのこうした大役は初めてです。先輩たちの中に混ぜてもらって、本当に嬉しいです。最初に先生方の前で踊った時は、緊張してずいぶんと余計な力が入ってしまいました。このトライアウトで初めて、事前に全く合わせることもない状態でアダージオを踊らせてもらったものだから、もう大変だったんです! 僕はあまりにもグダグダで......(笑)。パートナーは(川島)麻実子さんなのですが、いろいろ教えていただいて、いまはだいぶスムーズに踊れるようになりました。タイミングとか距離感とか、サポートに関するアドバイスをたくさんくださるので、勉強になります。
──ランケデムはどんな人物?
樋口 奴隷商人として皆を引き連れている、力強い男──。なんですけど、その中におちゃらけた部分も少しあるんです。メドーラやコンラッド、パシャたちとからむ場面では大げさにチャラけた感じを出したり、ユーモアのある反応をしたり。第1幕では幕開きから手下とともに派手に登場、テクニック的にもちょっと大変なので、どうしようかと思っています(笑)。ギュルナーラとのパ・ド・ドゥもありますが、その後はほとんど演技で見せることになります。演技の役柄は『ドン・キホーテ』のガマーシュで経験しているのですが、たまにランケデムがガマーシュみたいになっちゃうんですよ(笑)。「いまガマーシュになってたよ」って言われてしまう──。これから研究していきます!
──では、男の子にオススメの場面はどこですか?
樋口 僕は1幕の最後、海賊たちの群舞が迫力たっぷりで感動すると思うんです。メドーラとコンラッド、アリのパ・ド・トロワももちろんですが、男性ダンサーの力強い踊りは本当に見応えあります。僕自身に関しては、ランケデムの力強い、ちょっと癖のある感じをうまく出していけたらと思っています。(斎藤)友佳理さんには「優しいだけじゃだめなのーっ!」って注意されていますが......(笑)。頑張ります!
3日目にビルバント役を踊る鳥海創は、入団2年目! 大抜擢の感想を聞いてみました。
──これまでにどんな役柄を踊っていますか?
鳥海創 初舞台はシュツットガルトでの『ラ・バヤデール』の僧侶役でした。その後は、目立った役で言うと『白鳥の湖』のパ・ド・カトル、『真夏の夜の夢』のライサンダー、『アルレキナーダ』のパ・ド・ドゥなどを踊っています。ビルバント役は、最終的に配役が決まるまで結構時間があったのですが、候補の中でいちばんの後輩で経験もないですから、配役されたらいいな、くらいに思っていました。全力でやりたい気持ちは強いのですが、なにぶんわからないことだらけ(笑)。毎日頑張っています。
──ビルバントはどんな役柄?
鳥海 コンラッドの海賊団の、副船長くらいのポジションといったらいいでしょうか。コンラッドはメドーラに恋をして、彼女の「奴隷たちを解放して」という希望を受け入れてしまうけれど、ビルバントはそれに反対します。僕の解釈としては、"海賊"を貫き通す男、です! が、コンラッドには力で負けてしまって、「怒りのヴァリエーション」を踊ったり、コンラッドへの攻撃をアリに阻まれたり、最後は残念ながらやられてしまいます。でも、コンラッドの次くらいに目立って男らしいキャラクターととらえています。そこをしっかり出せるよう、取り組んたいと思っているんです。
──今回の課題は?
鳥海 たくさんあります......。ありすぎて困るくらいです(笑)。とにかく、男らしいビルバントを演じたいと思います。本番はきっとすごく緊張しますが、そんな僕の姿を見にいらしてください。3日目です!

『海賊』特集、次回もどうぞお楽しみに!