
『海賊』特集第3弾は、ランケデム、アリを日替わりで踊る池本祥真の登場です!
──先日マスコミ関係者に公開されたリハーサルでは、前半はランケデム、後半でアリを踊って大活躍でしたね。
池本祥真 大暴れしてしまいました(笑)。アリはこれまでにも踊ったことがあるのですが、実は踊る場面がすごく少なく、その中で存在感を見せていかなければいけないのが難しいところです。そういえば、昔、コンクールで初めて踊ったヴァリエーションがアリでしたね。いっぽうのランケデムは初めての挑戦。こういうヒール役はずっとやってみたかったので、楽しみです。主要な役柄を日替わりで演じるのは、役柄ごとに異なる部分を前面に出すべく取り組むことができます。今回は、ランケデムでは強さ、荒々しさを出してテンション高く、アリではよりクールな感じを出して、と考えています。彼はコンラッドの奴隷ですから、呼ばれたらすぐ出て行きます! ぜひ、この二役を演じ分ける僕を観ていただけたらと思います。
──『海賊』の魅力は?
池本 僕らにとって、『海賊』といったらあのABTの映像です! 東京バレエ団に入団して良かったなと思うのは、憧れの作品、憧れのヴァージョンの上演に参加できるということ。すごく嬉しいです。
──実際にホームズ版に取り組んでいかがですか。
池本 スピーディーな演出で、複雑な人間関係もとてもわかりやすく描き出しているなと思います。当初はただもう、「わー! マラーホフすごっ!」という感じで見ていました(笑)。ホアキン・デ・ルースのビルバントを見て、小柄なのにこんなに動ける人がいるんだ!と刺激を受けもしました。が、いまあらためて映像を見直してみると、マラーホフのランケデムは、端のほうにいるときの演技とか、パシャに対してのお芝居とか、かなり細かいところまで練りに練られているなと気付きます。アリ役も、実は1幕では立っているだけといえば立っているだけですが、コレーラの立ち姿は本当に美しく、そのオーラもすごい。自分でやるとなると、いろんなところまでどんどん見えてくるものですね。
──これからの課題は?
池本 もちろん、踊りのクオリティをどんどん上げていきたいし、ランケデムでは川島麻実子さんと初めて組んでのパ・ド・ドゥがありますから、パートナーリングも迷惑をかけないように頑張りたいです。このパ・ド・ドゥを踊るのは第1幕──。ホームズ版ではまず、ランケデムがオダリスクの3人を踊らせてパシャに売り込みますが、「いらない」と断られてしまうんですよ。皆美しいのにもったいないですよね(笑)。それで、「待ってください、とびきりの美女を連れてきます」とギュルナーラをともなって踊るのがこのパ・ド・ドゥなんです。「こっちに来い!」とぐいぐい攻めるランケデムは、彼女にとっては敵。嫌がられながら踊ることになります。が、嫌がられながらもパートナーシップはとても大事、しっかりギュルナーラの美しさを見せていかなければと思っています。顔を隠しているギュルナーラの長いヴェールをスムーズに外してあげることも課題! ヴェールの端っこがどこにあるのかわからなくなって混乱しちゃうともう大変なことに(笑)。小道具って本当に怖いですね。
──東京バレエ団の『海賊』の見どころを!
池本 男性の主要な役柄が4人もいて、皆、個性も違ってそれぞれのアプローチをしてくるはずなので、どの日もそれぞれ、全く違う印象の舞台になると思います。毎日観ても飽きないはずです。ぜひ、群舞の力強さも楽しんでいただきたいですね。キャラクター・ダンスにはすごく力を入れて取り組んでいますので、ぜひ、注目していただけたらと思います。