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2019/04/11

『白鳥の湖』コール・ド・バレエの秘密──岸本夏未インタビュー

『海賊』初演の興奮も冷めやらぬうち、4月6日は〈NHKバレエの饗宴〉で『セレナーデ』を上演、その後、月末の〈上野の森バレエホリデイ2019〉にむけての準備が着々と進められています。ブルメイステル版『白鳥の湖』全4幕、さらに「はじめての『白鳥の湖』〜楽しいお話と第3幕〜」を上演する東京バレエ団は、現在まさに『白鳥』一色です! 東京バレエ団の『白鳥』といえば、その美しいコール・ド・バレエの素晴らしさが印象的。今回は、女性団員を代表して、岸本夏未に「白鳥のコール・ドの秘密」を語ってもらいます!

★IMG_4537のコピー.jpeg ──実は、初舞台が『白鳥の湖』だそうですね。
岸本夏未 そうなんです! ブルメイステル版ではなく、従来上演していたヴァージョンですね。最初は、先輩たちについていこうと、もう必死で(笑)。
入りたての時に大きな問題になるのは、まず「並び方」ですね。たとえば、大人数で真っ直ぐ並ぶ時、前の人の肩を見て揃えようとしがちですが、人によって身体の幅も手の長さも違うので、肩で合わせても揃って見えない! だから、前の人の背骨を見て並びます。これも、正面を向いて立っていればまだしも、身体を斜めにする場合がまた難しく、背骨はここにあるだろうと思われるところを見極めて、すっ──、と入る(笑)。足を置く位置も揃っていないと、ズレて見えますから、踵で揃えて並ぶ。踵がびしーっと揃って並んでいるとキレイに見えるんです。

──それが、すぐできるようになるんですね。
岸本
 できるわけないです(笑)! 先輩にたくさん注意されながら、2年目になってもずっと注意されながら、でした。そうした積み重ねがあったからこそのいま、だと思います。

──コール・ドは体力面も想像以上にキツいとか。
岸本 とくに『白鳥の湖』の第2幕のコール・ドは、ずっと舞台上にいてなかなかひっこめないから、キツいですね。たとえば、いっぱい踊ったあとに整列してスッと立つ。あそこで実は足の裏がつっていたり、息があがっているのを、なんとかわからないように静かに呼吸していたり(笑)。お客さまに苦しそうな表情はお見せできないので、密かに頑張っています。
以前のヴァージョンでは、6人×4列でしたが、今上演しているブルメイステル版では12 人が2列。結構長い列です。長くなっただけに難しく、一番前の人と揃っていても、その中間にいる人がズレていたらもうおしまい......。チュチュが張っているぶん、足元が見えにくいという点も要注意。1つ前の人の足は見えません。

──ええっ!? ではどこを見れば!?
岸本 2つ前(笑)。見える時は全員見えていますが、でもそれをこう、見ているとわかるように見ちゃダメですよね。ちゃんと上体を遣いながら、見る。

──美しいポーズだな、と思わせておいて、実は──。
岸本 見ています(笑)! 

──トウシューズの足音が静か、であることも重要ですね。
岸本 とくに(斎藤)友佳理さんが芸術監督になってから、より厳しく注意されるように。本番前の舞台でのリハーサルでは一人ずつ足音チェックがあるんです! 友佳理さんからNGが出ると、そこからトンカチを駆使(笑)。シューズを柔らかくして音は小さくなるように調整します。

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『白鳥の湖』第2幕より。コール・ド・バレエに注目を!
photo: Kiyonori Hasegawa

──では、第2幕のコール・ドの大きな見せ場をあげるとすると......。
岸本 前半のワルツですね。すごくたくさん移動するわけではないのですが、動きが多い。ぐるぐると動いている最中も列を揃えなければいけないので、最初は前の人を見て、振り返ったらこっちの人──と、その瞬間瞬間で見るポイントが違うんですよ。

──第4幕の白鳥のコール・ドも、また独特の美しさがありますね。
岸本
 ドラマティックですよね。短い中にドラマが詰まっていて。
が、4幕のコール・ドこそ、移動が多く、斜めに交差したりぐるぐるしながら放射線状になったりと慌ただしいんです。そんな中でも、心、ハートを出す──。2幕よりも、もっと感情を出していく感じですね。最初は静かなのですが、オデットが戻ってきてからどんどん激しくなって、まさに嵐、です。
1階席で観ていただくだけでなくて、3階席、4階席でもそのフォーメーションの美しさを観ていただけたらな、と思います。

──年長者として、皆を引っ張っていく役割も期待されています。
岸本 リハーサルでは、先生にもなかなか見えない部分、コール・ドの中から見て気づいたことをチェックして、皆に伝える、ということはやっています。
ヴァリエーションの場面であれば、誰もコール・ドなんて見ていないかもしれない。それでも、皆、白鳥として舞台上にいるわけだし、そこに存在している以上、どこまでも揃えないと、と思うんです。そうでなければ「東京バレエ団のコール・ド」ではない──と。
私実は、東京バレエ団のコール・ドに憧れてここに入ったんです。中学生の頃、地元にツアーで来た東京バレエ団の『水晶宮』を観て、「すごい!」「人ってこんなに揃うことができるの!?」と感動し、その後ずっと東京バレエ団ばかり観ていたほどです。まさかそこに自分が入って踊るとは思ってもいませんでした。
団員として、「東京バレエ団のコール・ド」のレベルを維持していきたいと思っていますし、皆にもそう思っていてもらいたい──。
まずは〈上野の森バレエホリデイ〉での『白鳥』を、ぜひ、楽しんでいただけたらと思っています。

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