
現在、東京バレエ団は第34次海外公演の真っ只中! 今回は、柄本弾と秋元康臣の「出発直前対談」をお届けします!
──今回のツアーでは、クラシックからベジャール、キリアンまで、幅広く上演する予定です。
柄本弾 僕は『ザ・カブキ』の由良之助に高師直、『春の祭典』のリーダー、『ラ・バヤデール』("影の王国")のソロルを踊ります。盛り沢山です。
秋元康臣 僕も『ザ・カブキ』の由良之助と塩冶判官、『春の祭典』の生贄、『セレナーデ』、『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥ──。盛り沢山です! しかも、1カ月もの長いツアーはこれが初めて。
柄本 僕も、入団した年に3週間のツアーを経験したけれど、1カ月となると初めてですね。
秋元 これだけたくさんの演目をもっていくというのは、なかなかのことで──。
柄本 以前はわりとベジャール作品をもって海外公演に、という機会が多かったけれど、最近はクラシックの作品でツアーに行くことが増え、今回はクラシックと、ベジャールやキリアンを同時にもっていくわけです。作品ごとにしっかり身体を切り替えることができるかどうかがポイントですね。
──しかも今回は、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場と、世界の一流歌劇場での公演も。
柄本 自分のやれることを精一杯やるだけです。といいながら、絶対に緊張しますけど(笑)。始まる前はいつも以上に緊張するかもしれない。
秋元 僕は今回のツアーで行く劇場はほぼすべて初めて。新しいところで踊るのは緊張しますね。ヨーロッパの劇場ならでの雰囲気は好きですし、最初は緊張でガチガチになっているかもしれませんが、それをエネルギーとして受け取って、やる気を起こさせてもらえたら。
──ポーランド・ウッチでは『ザ・カブキ』上演200回記念の公演に。その回の由良之助は?
柄本 僕です! 以前、ミラノ・スカラ座の『ザ・カブキ』で海外公演700回記念、という機会がありましたが、その時は直義を演じていたんです。このツアーで由良之助を踊ったのは直前のベルリンで、699回目(笑)。今回、記念すべき回で主演させていただけるのは、自分にとって大きな経験になります。プレッシャーを感じることにはなると思いますが、それを楽しめたらと。
ひとりぼっちでない!『春の祭典』
──2回目の登場となるカラカラ野外劇場ではベジャールの『春の祭典』を上演します。
秋元 めちゃくちゃ辛い(笑)、けれど、やりがいのある作品です。普段はだいたいひとりぼっちで踊っていますが、群舞の踊りを皆と一緒に踊れるのがすごく楽しい!
柄本 僕らはだいたい、皆と一緒に踊るのを欲しているんです。
秋元 そう、皆と一緒に動けるのが本当に楽しい。
柄本 『春の祭典』も『ザ・カブキ』も、男性の皆にスポットが当たる作品ですし、一人で頑張るより皆で頑張れるほうがいいですよね。
秋元 モーリス・ベジャール・バレエ団の那須野圭右さんに指導していただいたので、さらに頑張れる。ただ振りを覚えて踊るのと、手取り足取り教えていただくのとでは全然違います。
柄本 とくに男性陣にとってはいい刺激に。あの経験は『春の祭典』以外のベジャール作品にも絶対に活かせると思っています。
──丸々1カ月の旅、体調管理も大変です。
秋元 いや、ほどよくいつも通り、普段のペースを出来る限り保つのが大事かなと。ちゃんと食べて、気分転換もして。
柄本 僕はあまり出歩いたりしないほうなんですよね。歩きすぎて脚がパンパンになっちゃったらどうしようとか、石畳で転んだらどうしようとか、帰ってこられなくなって本番間に合わなかったらどうしようとか(笑)。出かけるとしたらスーパーとランドリーとレストランくらい。で、美味しいものをみつけたらずうっと同じところに通います(笑)。
──最後に出発直前の意気込みを!
秋元 これだけの作品に一度に取り組むことができるのは、海外公演だからこそ。これを経験の一つとして、財産として、身体の中に取り入れて、日本に戻って同じ作品を上演する時にその成果を出せるようにしなければ、と思うんです。僕らは日本のバレエ団だし、海外でやってきました──で終わってしまうのは残念すぎる。日本に帰って、日本のお客さまにお見せできなければ意味がないと感じています。
柄本 同感です。ツアーでは同じ役柄を何度か踊るチャンスもいただけるのですが、本番で気づいたことを、次の本番でチャレンジすることができる。それを、目の肥えたヨーロッパのお客さまに見ていただいて、さらに、日本に持ち帰り、「東京バレエ団は以前より良くなった」と思っていただけるような舞台をお届けしたいと思います!