
7月中旬に海外公演から帰国した東京バレエ団は、その翌々週から、今度は子どものためのバレエ〈ドン・キホーテの夢〉の全国ツアーに出かけていました。
今回は、入団2年目、沖縄県出身の昂師吏功がツアーの模様を振り返ります!
こんにちは! 昂師吏功です。
全国ツアーは、8月3日の茅ヶ崎でスタートして、その後福岡、大分、鳥取、愛知、大阪、新潟、福島と全8カ所をめぐ旅となり、8月25日、めぐろバレエ祭りの公演で締めくくりを迎えました。
その土地によって、子どもたちがすごく盛り上がったり、拍手がとても温かかったりと反応に特徴があって面白いですね。
先輩たちや仲間たちとずっと一緒にまわっているので、公演を重ねるごとに、より自然に、皆で一緒につくっている感覚が強くなってくる──。それも、ツアーの醍醐味だと思いました。
今回僕が踊ったお嫁さん馬とセギディーリャは、どちらも昨年に続いて2度目の挑戦。ドン・キホーテのお供をするロシナンテのお嫁さん馬は、実はあまりよく知られていないのですが、名前をリンダといいます!
リンダは二人で演じているのですが、僕は昨年が前担当、今年は後ろの担当でした。
男の子のロシナンテと比べると、女の子のリンダは少し小柄に作られているので、中はちょっと窮屈なんです。
基本的に、踊りの中に女の子っぽい雰囲気が盛り込まれているのですが、歩くときに少しつま先を伸ばしたり、お辞儀をする際に前脚をちょっと出したりと、工夫しているんです。ぜひ注目してみてください!
カーテンコールの最後は、リンダから出て自由に踊らせてもらっています。リンダ用のシューズのままなのであまり派手なことはできないのですが、頑張っています!
いっぽうのセギディーリャは、広場の場面の盛り上げ役。演技の部分は他のソリスト役と比べると自由に動けるところが多いんです。友人同士肩を組んだり、おしゃべりしたり、憧れの闘牛士の前では少し控えめになりつつも、彼らの踊りを大いに盛り上げて──。キャラクターの違いがちゃんとわかるように、と思って演じています。
スペインらしさを見せるために重要なのは、アームスの使い方だと教わっています。クラシックではあまりやらないのですが、身体の後方に手をもっていくことが多く、いつも後ろがおざなりにならないようにと意識しています。
今年の夏は、梅雨の時期に海外公演に出かけ、ツアー中のヨーロッパはずっと暑く、帰ってきたらまた猛暑! 長い夏でしたが、あっという間でもありました。バレエで忙しくさせていただけるのって、とても嬉しいことです。
少し海外公演に遡るのですが、『ザ・カブキ』では力弥をやらせていただきました。

力弥の場面で印象的なのは、塩冶判官の切腹シーン。塩冶判官に切腹刀を渡し、顔を上げると、切腹にのぞむ塩冶の表情を目の当たりにすることになります。気持ちがぐっと入りますね。今回の判官は秋元康臣さんと樋口祐輝さんでしたが、それぞれ違った役作りをされていて、そこで僕も悲しかったり、悔しかったりと、入り具合が変わってきたりもしました。
海外公演では『春の祭典』も踊りました。
実は、当初『春の祭典』のことがあまりよくわからないままリハーサルに参加していたのですが、海外ツアー前に那須野圭右さんの指導を受けて、変わりました。
那須野さんのリハーサルのおかげで、自分は今、なぜこういう動きをしているのか、ということを考えながら踊れるようになり、踊りに集中できるように。
実は、東京バレエ団に入るまで、ベジャール作品を生で観たことがなく、『ザ・カブキ』を観てみたくて、東京バレエ団に入ったら観ることができるかもしれないと思って、オーディションを受けたんです。そうしたら「観るんじゃなくて、覚えるんだよ」ということになりまして(笑)。
ベジャール作品は、踊るたびに、もっと踊っていきたいな、と感じます。海外ツアーを経ての10月の『春の祭典』も、ぜひ多くのお客さまに観ていただきたいと思います。
これからもどうぞよろしくお願いいたします!