
新制作『くるみ割り人形』のリハーサルがいよいよ佳境に! 今回は、主人公マーシャの父親役で活躍する永田雄大の登場。2019年の舞台を振り返りながら、リニューアル版『くるみ割り人形』の見どころを語ります!
──創立55周年の今年も充実の一年でしたね。
1カ月間の海外公演にも行きました。印象的な舞台とえいば、『ザ・カブキ』でしょうか。足利直義をやらせていただきましたが、ヨーロッパの斜舞台は大変でした。とくにミラノ・スカラ座の舞台がきつかったのですが、お客さまが床を踏み鳴らすように喜んでくださったのが嬉しかったですね。
その後、8月には子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』の全国ツアー、さらに〈めぐろバレエ祭り〉でも上演しました。全幕の『ドン・キホーテ』も含めて、9年間ずっと、キトリの父親、宿屋のロレンツォを演じさせてもらっています。もともとお芝居をやっていたので、演じることは好きでしたから、そこを見出してくださったのでしょうか、若い頃からお父さん役でしたね。
──長年演じてきて、ロレンツォがもうすっかり身体のなかに?
そうですね。もちろん、約束事はたくさんありますが、相手が違うと呼吸もやり方も、返し方も変わってくるので、なんでもできるようになりました!
『ドン・キホーテ』は、世界バレエフェスティバルの全幕特別プロで何度も上演しているので、海外からのゲストとも何度か共演させていただき、いろんな経験をさせていただきました。第1幕に、僕がバジルにこっそりお財布をとられても気づかず、肩を叩かれて振り向く、という場面がありますが、あるとき、いくら待っても叩きに来なくって(笑)、自分で振り向いて、なんとかアドリブでのりきったことも! それ以来、何があっても怖くないな、と感じるようになりました。
──先月には関内ホールでの公演も行われました。
横浜市の小学校4年生たちが『ドン・キホーテの夢』を見に来てくれました。3日間で6公演! 主役が日替わりで4組いたので、本番2公演やったあとに次の日のキャストでもう1回リハーサル、ということも......。その日の僕は3×ロレンツォ! もう素でできてしまう(笑)?
公演は、4年生のみんながすごくいい反応をしてくれて、素晴らしい光景でした。夢の場のあと、ガマーシュと二人で客席を探し回るくだりがありますが、客席の女の子に「お願い、お願いだからタッチして!」と声をかけられ、演技の途中でしたが手を伸ばしてハイタッチしたことも! 嬉しかったですね。
──そしていよいよ、今年最後のバレエ団公演、『くるみ割り人形』です。
はい。あらゆる古典バレエの「お父さん」を網羅してまいりましたが(笑)、新制作の『くるみ』でも、お父さんです! 従来のヴァージョンでもお父さんを演じていましたが、今回はまた全然違う演技が求められます。実は、マーシャの父親は35歳の医事顧問官という設定で、わりと子どもが集まってくるような家ということになっています。
第1幕の大広間のパーティーに来るお客たちも、みんな年齢や職業が設定されています。そのほうが、演技は組み立てやすくなるものですね。僕はお父さん以外にも床屋さんの41歳の男性を演じる日があります。床屋さんは常に人の髪型が気になるんです。靴屋さんは人の足元ばかり見ていたりするかもしれません。みんなのびのび、それぞれの役を生きているのではないかと思います!
──第2幕ではねずみの王様を演じます。
よきパパだったはずなのに、2幕になったらマーシャを追う悪者に! 複雑な気持ちですが(笑)、ここではその気持ちをおさえつつ、はっちゃけています。ねずみの被り物も格段にグレードアップしているんですよ! コワいながらも憎めない表情のねずみです。
──見どころ満載の『くるみ』になりそうですね。
第1幕の、賑やかで個性的な人々が集まる大広間のパーティー、ねずみと兵隊たちの戦いも、入り乱れてのフォーメーションが面白いことになりそうですし、雪の場面も東京バレエ団の女性たちがきれいに決めてくれます。第2幕のディヴェルティスマンも、それぞれかなりテクニカルで、花のワルツも実にきれいなつくりに。そんななかで、マーシャのお父さんとねずみの王様も少し気にかけていただくと、より楽しんでいただけるかと思います!