
現在、『ラ・シルフィード』のリハーサルが進行中の東京バレエ団。4年ぶりの上演とあって、初めてこの作品に取り組むダンサーも多く、芸術監督・斎藤友佳理の熱血指導が展開されています。第2幕のパ・ド・ドゥを踊るファーストソリストの池本祥真も、『ラ・シルフィード』初挑戦となります!
──2020年は〈Choreographic Project〉スタジオ・パフォーマンスからスタートしました。
池本祥真 2作品に出演しました。
まずはブラウリオ・アルバレスの『いい湯だな』。外国人から見た日本の面白いところを作品にしているのですが、僕が演じたのはオタクの役。オタクというか繊細な日本人、というイメージでしょうか。鏡をかけて、裸で腰にタオルを巻いて......。ブラウはこの作品のコンセプトについて、いろいろと深みのあることを話してくれましたが、実際のところ、皆で裸で踊ったら、純粋に面白いですね(笑)。お客さまに「楽しかった!」と言っていただけて、よかったです。
──もう一つが、岡崎隼也振付『運命』抜粋版ですね。
池本 まだ完成形ではないけれど、大作、でしたね。隼也さんの作品に出るのは今回が初めてでしたが、音取りがとても速くて難しかったですね。
この作品は観客賞に選ばれました。昨年踊ったブラウの『夜叉』も観客賞でしたので、2年連続! あ、僕が受賞したわけではないけれど(笑)。
──〈Choreographic Project〉に参加しての感想は?
池本 団員同士で創作に取り組むいい機会だと思います。振付を手掛けるダンサーたちは、バレエ団でいつも一緒に生活している分、自分でも気付いていない部分をよくわかってくれて、それを活かそうとしてくれます。「祥真君のこういうところがいいと思うから、そこを出してほしいんだ」とか、「あの時のあれがいいと思った」と言われて、そこで初めて発見することもある。仲間同士で作品を創りあげていくことは本当に楽しいし、いい経験になっていると感じています。
──スタジオ・パフォーマンスは、手作りの温かみある公演です。
池本 東京バレエ団のスタジオでの上演ですから、皆の息遣いがよく聞こえるほど客席が近い! 滅多にない機会だと思いますから、まだいらしたことのない方にはぜひ観ていただきたいですね。踊るほうは、近すぎて緊張してしまうけれど(笑)。
──次回は、振付にも挑戦?
池本 いや、僕は全然、です(笑)。ダンサーとして、工夫を提案することはできるかもしれませんが、コンセプトから構成、ダンサーの配置と、すべてゼロから考え出すのは本当に難しいことだと思います。
──今月は『ラ・シルフィード』を控えています。
池本 実は、初めてなんです。ブルノンヴィル版のほうは観ていて、ヴァリエーションを踊ったこともあるのですが、ラコット版は全く初めてです。『ラ・シルフィード』といえば、スコットランドの民族衣装が素敵ですよね。『真夏の夜の夢』の妖精パックのような人間じゃない役だったり、裸だったりと(笑)、いろんな衣裳で踊ってきましたが、スカートで踊るのは初めてです。
──ラコット版の魅力は?
池本 踊りで見せる作品、という印象です。特に僕が踊るパ・ド・ドゥは、ストーリーの筋に関わらない踊りなのですが、友佳理さんには「アカデミックな踊りを見せてほしい」と言われています。きっちりと踊らなければ。
──第1幕の見せ場ですね。
池本 花嫁エフィーの友人という役柄で、しかもグラン・パ・ド・ドゥの形式ですから、華やかですね。
難しいのは、足捌きの細かさ! 爪先の動きは誤魔化しがきかないんですね。ここを疎かにしてしまうと何も見えてこない。音取りも、裏拍をしっかり捉えなければ踊れない。本番まで、しっかりとリハーサルを重ねていきます。
──パートナーは?
池本 金子仁美さんです。『真夏』でパックを踊った時のタイターニアが彼女でしたが、この時は、舞台上でその姿を見ることなく終わっています(笑)。とても綺麗なダンサーですね。大きな役では初の組み合わせなので、二人でいい雰囲気を出せたらと思っています。

──4月下旬はモーリス・ベジャール・バレエ団との『第九』です。
池本 これも、初めてです。東京バレエ団に入って初めてベジャール作品──『ザ・カブキ』と『春の祭典』、それから『ボレロ』と踊ってきて、すごく好きになりました。ベジャールさんの基本はバレエ、と言われますが、僕にとってはすごく難しく、最初はとても不安だったんです。ところが、『春祭』をじっくりリハーサルして、次第に馴染んできて、実はとても自分を出しやすい振付だということがわかってきました。
クラシックしか踊ったことがなかったわけですから、ダンサーとしての幅を広げてもらったともいえます。
初挑戦の2作品が続きますので、どうぞ観にいらしてください。頑張ります!