
スタジオでは、『ラ・シルフィード』と並行して『第九交響曲』のリハーサルが進んでいます。今回、この作品に初めて挑戦する岡﨑司は、4月で入団5年目に突入。実は、『第九』には不思議と縁があるといいます。その「縁」とは──!?
──入団は2016年ですね。初舞台は?
岡﨑 司 子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』でした。ベジャール作品では『ボレロ』のエキストラに始まって、『中国の不思議な役人』、『くるみ割り人形』、『ザ・カブキ』、『春の祭典』を踊っています。2017年の『ベジャール・セレブレーション』にもアンダースタディとして参加しました。
──ベジャール作品との出会いはやはり『ボレロ』だったんですね。
岡﨑 いや、違うんです。初めて観たベジャール作品は、実は『第九』でした! 東京バレエ学校のボーイズクラスに在籍していた頃で、バレエ学校の観賞会以外で唯一、チケットを買って観に行った公演でした。なんとなく、将来はどこかのバレエ団に入って、クラシックを踊っていくんだろうなと考えていたのですが、この時、「これを踊りたい!」という気持ちになって、それができるのは東京バレエ団しかない!と、進路を決めたんです。
──進路の決め手が『第九』!?
岡﨑 そうなんです! その時、これは絶対に生で観るべきバレエだと思いました。クラシックでもベジャールでも、映像を見れば「知る」ことはできる。でも、ここには生でなければ体感できない何かがある!と実感したんです。
──いちばん印象的だったシーンは?
岡﨑 もちろん、フィナーレです。いろんな人種の人々が手を取り合ってまわるあの光景は、感動的でした。あとは、第2楽章。大貫真幹さんが生き生きと笑顔で踊っていらしたのをよく覚えています。踊る楽しさが炸裂して、どんなに辛くてもあの笑顔! 凄いことだと思います。
白い衣裳の第3楽章も本当に素晴らしく、クラシックの踊りに通じる、穏やかで美しい場面です。対照的なのが、東京バレエ団が踊る第1楽章。闘争を描いた男性的な場面が続いて──。ベジャール作品ってこんなにもいろんな魅力があるんだと驚きました。
──2017年のベルギー公演の時は、アンダースタディだった?
岡﨑 もう、この作品に関わることができただけで嬉しくて! ピョートル・ナルデリさんが指導をされていてびっくりして......。
──? ナルデリさんは20世紀バレエ団で『第九』を踊り、2014年の初演の時は指導のために来日された方ですね。
岡﨑 そう、凄い方なのですが、僕、実は中学生の時にベルギーのナルデリさんのスタジオに短期留学をしていたんです!! 当時はナルデリさんがベジャール作品を踊っていたことさえ知らずにいたのだけれど。不思議な繋がりだな、と思います。
とても陽気で素敵な方なんですよ。次の再会が本当に楽しみです。
──今回の『第九』への意気込みは?
岡﨑 入団当初はベジャールさんの振付は凄く難しく感じられたのですが、どんどん好きになっていきました。昨年も『春の祭典』でベジャール・バレエ団の那須野圭右さんにたっぷり指導していただき、いろいろとイメージが掴めるようになってはきましたが、それが本当に正しいかどうかわからないところもあって──。難しいのは確かなんです。今回ナルデリさんの指導を受けることで、もっと上達できたらと思います。
──それに『第九』には何かと縁がある?
岡﨑 そう、『ベジャール・セレブレーション』の時、『第九』の第3楽章(『1789...そして私たち』より)のアンダーでしたから! 今度上演する『第九』の第3楽章とは全然違う振付ですが。一度、リハーサルでジル・ロマンさんと那須野圭右さんの前で踊る機会があったのだけれど、これは自分をアピールできるいい機会だと思ったら、途端に緊張しちゃいました(笑)。
──そういえば、昨年末の東急ジルベスターコンサートでも岡崎隼也振付の『第九』を踊っていました! テレビでご覧になった方が多いはずですよね。
岡﨑 これも、テレビだと思ったらもの凄く緊張しちゃったんですよね(笑)。舞台もテレビも生だから同じと考えていたら、これが違うんです。テレビだ、と思った瞬間に凄く緊張してしまいまして。でも、ベートーヴェンの第九に関わることができて、とてもいい経験になっりました。
──たくさんの方々に、舞台の『第九』体感していただきたいですね。
岡﨑 『第九』はまさにそういう作品ですよね。ぜひ、観に来ていただきたいですし、音楽に興味を持たれている方にもぜひ観ていただきたいですね。
そのあとも、6月に『第九』の海外公演、秋にはベジャールの『M』がありますので、どうぞご期待ください。こうして経験を積んで、物語や感情をしっかりお伝えできるダンサーを目指したいと思っているので、どうぞよろしくお願いいたします!![]()