
新型コロナウイルス感染拡大の影響による自粛生活を経て、東京バレエ団も徐々に活動再開。その最初の公演が、第8回めぐろバレエ祭りで上演される、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』です。パーシモンホールでの上演は3年振り。今回は、劇中で初の組み合わせが実現するリラの精役榊優美枝とカラボス役の加藤くるみが、公演への意気込みをトーク!
──バレエ団再開まで、長かったですね。
榊優美枝 自粛が明けたら、みんな"バレエオタク"になっていましたね。
加藤くるみ そうなんです。皆、レッスンが終わった瞬間に「ねえ、タンジュどうやっている?」「こう? それともこう?」と(笑)、細かいところまで意見交換するように。自分の身体にしっかり向き合う時間ができたからですね。バレエについても、あと、美容の面でも(笑)。
──美容!?
加藤 いま、みんなすごく意識高くなっているんですよ。
榊 いつもは忙しいからと、お肌のケアがどうしても適当になりがちでしたが。
加藤 レッスン後はみんなで筋トレしていますし!
榊 鍛えまくっています(笑)。前よりパワーアップしている感があります。休んでいてできなかった分、できることが楽しくて幸せ。スタジオで、ちゃんとしたバーで、ちゃんとしたウェアで、周りに人がいて、先生がいて、見られていて、というのは、一人でレッスンするのとは全然違いますね。
──8月の子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』は、4カ月ぶりの公演です。
榊 モチベーションは高いです。「子ねむり」は3年ぶりですが、これまで、王妃さまにシンデレラ、白雪姫、オーロラの友人に、リラの精も前回やって、カラボス以外の女性の役柄はほとんどやったことに。
加藤 私もほとんどを踊りました。あとはカラボスができたらいいな、と思っていたので、「来た!」(笑)、と思いました。
悪役大好きです! 加藤くるみ
榊 くるみさんが悪役というのは意外でした。私も悪役は大好きなのに、全く経験なくて、ピンク系、柔らかいイメージの役が多いんです。
リラの精は、踊りのことだけで言えば、雑にならないように、上品で落ち着いたリラにしなければ、と思っています。意識して踊らないと雑になってしまいがちなので、存在感を出すために見せ方を考えていきたいです。
演技も、やることはそれなりに決まっていますが、その中で、目線の使い方とか頭の傾げ方で、ずいぶん雰囲気が違ってきます。リハーサルでは、なるべくいろいろと違うやり方を見てもらって、試していきたいです。
──舞台では二人の初の直接対決が実現します!
加藤 彼女のリラはすごく優しい顔で、にこーっと笑ってみせるんです。カラボスにとってはこれがすごくイラっとくるんですね(笑)。
榊 そう、諭しにかかっています。
加藤 私は、カラボス役は今回が初めて。奈良春夏さん、伝田陽美さんに見てもらったのですが、何度かリハーサルしているうちに、自分の感情と、目指したいカラボス、それと教えてもらった振りのバランスがだんだん悪くなってきてしまって、何かこう、思っていることと違うことをやっているような感覚に──。二人にも「ここからはくるみがやっていいこと」と言ってもらえたので、ここからまた、自分のカラボスになれるよう、いろいろ考えているところです。
毎日楽しくて、夢でもずっとカラボスです(笑)。外を歩いているときも、自転車に乗っているときもずっとカラボス!
榊 私も、気づくと歩きながら手をひらひらさせていました(笑)!
加藤 交差点で待っているとき、人がいるのに、腕をここまで(カラボスの指差しポーズ!の途中まで)上げて、はっと気付き、「あ、いけないいけない」と引っ込めたことも(笑)。
榊 みんなの前で真っ白になってしまったら、と考えると、身体に染み込ませておかなければ、と思うんです。
加藤 私、ちょっと目付きが悪くなってきたかもしれない。
榊 私は優しくなるのかな? 愛が深まるかも(笑)!?
──表情はとても大事。
加藤 目線の送り方はよく考えていましたが、ちょっとずつ周りの人たちの動きがわかるようになると、こうしようああしようと考えることなく動けるようになります。
榊 (にっこり)
加藤 その場で相手がビビったら笑うし、楽しかったら高笑い! みんなに「怖い」と言われるのが楽しくなってきました。
榊 (にっこり)
加藤 ......こうやって、にっこり見るんですよ。カラボスはむかつきますね(笑)。
榊 なんだろう(笑)、もう染み付いてしまって......。リラはカラボスを倒したいわけではなくって、むしろ。「そこはもうやめようよ」という感じでしょうか。
加藤 愛情たっぷり。ならばこっちは非情でいきます! リハーサルがはじまった当初は、意地悪でダイナミックというよりは、冷え切った感じのカラボスにしたいと思っていたのですが、最近は"魔女"感を出すよりも、悪の特性を持った"妖精"、として演じようと試行錯誤しています。
──では、CATのみなさまにメッセージを。
加藤 いろんなダンサーがいろんな役で活躍します。私が最初にキャラクターを踊ったのも「子ねむり」の猫役で、そこからいろんな役を踊るようになりました。若いダンサーたちがチャレンジできる場でもあるので、いつも東京バレエ団を観てくださっている方には、とくに楽しんでいただけると思います。
榊 「子ねむり」はコンパクトで分かりやすくて、衣裳も装置もカラフルでカワイイんです! みんな、自粛期間中にしっかり自分に向き合い、モチベーションも上げてきたので、「子ねむり」、それから後半に向けて頑張っていきたいです。
加藤 私たちも気をつけながら全力でやっています。こういう時期だからこそ、生の舞台を観ていただいて、ぜひ、心を潤わせていただけたらと思っています。
"リラの笑顔"の榊優美枝