
今週末、東京バレエ団は子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』を上演します。
上演時間は1時間50分程度というコンパクトな作品ですが、毎回、若手ダンサーたちがいろんなキャラクターに挑戦、大活躍する場でもあります。
今回は工桃子と中沢恵理子の2017年同期入団の二人が登場、『ねむれる森の美女』、さらに9月下旬の『ドン・キホーテ』に向けての抱負を語ります!
──しばらく『M』のリハーサルが続いていました。二人ともベジャール作品はこれまでにも踊っていますよね。『春の祭典』と......。
工桃子 私は『くるみ割り人形』に、『ザ・カブキ』。
中沢恵理子 『ザ・カブキ』は私も。二人とも黒子役でした。いろんな場面に登場しましたが──。
工 たとえば、冒頭の現代の場面の最後。由良之助に刀を差し出だす役をやったのですが、あの時黒子は下を向いているので刀をまっすぐに安定させるのが難しくて──。ここは「緊張ポイント」でした(笑)。
中沢 私の緊張ポイントは討ち入りの場面。下手から走ってきて、由良之助が持っている太鼓とバチをささっと取って上手に走り抜ける。失敗しないかドキドキでした。
──そんな二人が、今回、子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」で、別日程ですがともに妖精役を踊ります。
工 はい。私はのんきの精で──。
中沢 私は度胸の精です。
工 「子ねむり」の妖精たちは、従来版にあるヴァリエーションは踊りません。だから、ちょっとした振りやたたずまいでその雰囲気を伝えるようにします。のんきの場合はこう、指を胸の前でひらひらさせますよね。「歌っているように」とアドバイスをもらいました。
中沢 度胸はのんきほど個性的な振りではないけれど、登場する時は、皆違ったポーズをするんですよね。それぞれがオーロラへの贈り物を持っていて──。
工 のんきは頭の上にパッっと掲げてタタタタッと前に出ます(笑)。
中沢 度胸はどちらかというと少し強め。リラの精ほどではなくても、貫禄ある雰囲気ですね。でもまだまだ貫禄なくて......(笑)。
工 私はあと、花のワルツ、それから白猫も踊ります。白猫は体力的に少しハード。でもキャラクターになりきって踊るのは楽しいです。パートナーは長靴を履いた猫。あの白猫も、「長靴を履いた猫」のお話に出てくるキャラクターですよね?
──残念、出てこないみたいです。......別のお話のようですね。
工 そうだったんですね(笑)! でも二人はカップルみたいで、最初からじゃれあって、ポンッて叩いたり、つついたり(笑)。こういったキャラクターの役はあまりやったことがなかったので、経験させてもらえて楽しいです。
中沢 私もお芝居をするのが好きです。
工 「こうしなさい」と言われてその通りにやるのではなく、自分で考えていくほうが表現しやすい。
中沢 自分の中で、こういう感情で言うんだなとか、ここはこんな気持ち、と考えながらやるほうが伝わるし、それを考えるのは好きです。
──9月下旬には『ドン・キホーテ』全幕版の上演が控えています。
工 私はキューピッドを踊ります。小さいキューピッドたちを従えて踊るんです!
──プロローグから登場して、物語のカギを握る重要な役でもあります。
工 プレッシャーをかけないでください(笑)。あと、1日目の夜公演では第1幕のセギディーリャに入っています。
中沢 私は3日間踊ります。セギディーリャは入団2年目から踊っているので、まだまだですけれど、楽しんで踊れるようになりました!
工 あの速さ、最初は衝撃的じゃなかった!?
中沢 そう! 初めて踊る人たちはついていけないから、最初は何%か速度を落として練習して、それから徐々に速くしていく。
工 慣れてくると、速度を落とすとかえって辛く感じるようになるよね。勢いがあるほうが踊りやすくなるんです。
──第1幕後半の「夢の場」は女性陣の大きな見せ場ですね。
中沢 1幕でセギディーリャを踊っていた女性たちが、がらりと雰囲気を変えて登場します。(佐野)志織先生には、「しっとり感を出して」と言われています。さっきはあんなに激しく踊っていた、その同じ人たちが、です(笑)。
工 上体がすごく大事なんですよね。暗い中でぐっと上体を倒しているので、幕が開いたときにふらっとなりそうで怖いよね。
中沢 思った以上に大きく倒さないとキレイに見えない。
工 そう! こんなに倒しているのにと思っていても、まだまだだったりします。
──先日は、自粛生活による約2カ月間という長期のお休み後の初の公〈Choreographic Project 2020〉が開催されました。
工 本番の2週間前、スタジオで試演会が行われましたが、楽しかったですね。スタジオでも、人が見てくれている中で踊るのは久しぶり。めちゃくちゃ緊張してしまったけれど、これは本番もきっと楽しんだろうな、楽しまないとなって思いました。
中沢 バレエ団再開直後は、自分の身体がまるで別の人の身体のように感じられました。レッスンとリハーサルを重ねて、自分でも筋トレをして、ようやく思うように踊れる身体に近付いてきたかなと思っています。先生がたに見てもらってレッスンして、リハーサルするということがどんなに大切なことか、実感できました。本当にありがたいです。
──二人は同期で、しかも同い年なんですってね。
中沢 バレエの悩みを相談すると、桃ちゃんは親身になってアドバイスしてくれます。
工 でも、「お互い脚が違うから、違うよね」で終わっちゃうことも(笑)。でも、「こういうやり方もあるね」「ここを鍛えたらいい」って確認できる。
中沢 お互いにね。
工 恵理子ちゃんはむちゃくちゃ優しいんですよ。落ち込んでいるときはとくに──。思い出すと泣いちゃうんけど(笑)、同期でよかったなって思います。
──では最後に、今後の抱負を!
工 いろんな役柄を踊っていきたいです。幅広く!
中沢 私も、いろんな役をやって、それを自分のものにしてったら、もっともっと可能性を広げたいと思います。