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2020/09/23

『ドン・キホーテ』全幕版、憧れの闘牛士に挑戦します──後藤健太朗×南江祐生

東京バレエ団はいま、半年ぶりの全幕バレエ上演にむけてリハーサル中です。
今回は、全幕版『ドン・キホーテ』の闘牛士に初挑戦する二人が登場!東京バレエ団のエネルギッシュな舞台の秘密、バルセロナのスター・闘牛士への意気込みを語り合います。

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後藤健太朗(左)と南江祐生

──まずは二人の関係について、教えてください。

後藤健太朗 二人とも東京バレエ学校出身で、祐生くんのほうが先にバレエ学校に入っていて。

南江祐生 でもバレエ団には健太朗さんが先に入って──。

後藤 で、僕のほうが1つ年下。

──ややこしい(笑)ですが、同世代で切磋琢磨しているわけですね。先日は二人とも〈Choreographic Project 2020〉に出演しました。

南江 楽しかったです! 半年ぶりのバレエ団の舞台で、うまくいかないところもあって悔しい思いもしましたが、そんな気持ちになることさえ久しぶり。あの場所に帰って来ることができて、嬉しかったです。

後藤 特別に気合が入りました。お客さまは定員の50%ですから、拍手はいつもより少なかったけれど、とても温かく、感動しました。

──振付に挑戦する予定は?

南江 友人のピアニストの演奏に合わせて、自分で創って踊ったことがありますが、難しかったです。

後藤 やりたい気持ちはあるし、この曲で、というアイデアもあるけれど、でも、いざやるとなると全く振りが出てこないもの──。自習でテクニックの練習をしながらふざけて動く時はいくらでも面白く動けるのに(笑)!! 毎回出品している(岡崎)隼也さんもブラウリオ(・アルバレス)も本当にすごいと思います。

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後藤健太朗

──さて、9月下旬にはとうとう、久しぶり全幕作品『ドン・キホーテ』の上演です。

後藤 僕は入団した年に子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』(子ドン・キ)に出演して、その後何度も踊っていますが、全幕版のほうの『ドン・キ』は2018年の世界バレエフェスティバルの全幕特別プロが初めてでした。

南江 僕もそうでした。セギディーリャを踊っていますが、広場の場面がすごく楽しいんですよね。古典バレエではあるけれど、キャラクターの要素が強くて、皆でがやがやと自由に演じることができる。

──あの活気にあふれた雰囲気は、どうやって作られているか興味があります。

後藤 とにかくなり切る!

南江 そう、市民の一人になり切る。

後藤 皆、本当に自由に演じているんですよ。

──自由!?

南江 誰かが登場するポイントだけ把握しておいて、あとは本当に自由。

後藤 だから毎公演、全く違うことをしていると思います。同じ場面でも、昨日は上手側にいたけれど今日は下手側、ということも! ずうっと走り回っていたり、屋台の果物で遊んでみたり、ガマーシュにちょっかいを出してみたり──。

南江 第2幕の酒場の場面も同じです。

後藤 僕は、幕が開いた瞬間に酔っ払って倒れる、という演技をしていました(笑)。

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活気あふれる第1幕広場の場面(2018年世界バレエフェスティバル全幕特別プロより)
photo: Kiyonori Hasegawa

──そして今回、ついに二人とも闘牛士デビュー!

南江 実は『子ドン・キ』では闘牛士=トレアドールをやっているんです。

後藤 が、登場場面が少なくて、出てきて回っておしまい。だから今回、全幕版の闘牛士を演じることになって、すごくワクワクしています。

南江 僕は今からもう緊張(笑)。

──すでに!

後藤 (笑)。闘牛士というのは、皆の注目の的のスーパースター。さらに言えば真ん中にいるエスパーダは超スーパースター! だからだらけた姿勢なんて絶対にしない(笑)、と思うんです。赤い衣裳も刺繍がしつらえてあって豪華だし、髪型もピシッと──。

南江 オールバック(笑)! 立ち居振る舞いもキリっとしないとね。

後藤 キリっと! で、ちょっと女たらしで(笑)、皆との距離感の違いも出さないと。少し遠くから、上から見下ろす感じ。そういう表現が必要かな、って思います。

南江 身体をこう、腰と背中から捻ってすっと立つのが難しいですね。

後藤 そう、絞るが難しい。(柄本)弾さんなどはさすがにうまくてカッコいいんです。

──小道具の使い方もスマートに見せてもらいたいです。

後藤 剣を地面に刺す場面は『子ドン・キ』にはなかったし、実際の舞台でないとリハーサルできないのでちょっと不安です。

南江 ああ! もう今から怖い(笑)。自分を刺してしまいそうだし、剣を持って闘牛士たちが交差していく場面なんて、向かい合った相手を刺しちゃうんじゃないかと。

後藤 マントも不安要素の一つ。

南江 ブルメイステル版『白鳥の湖』のスペインでもマントを振る場面があるのですが、頭にからまりそうになって怖くて──。それに比べると、闘牛士のマントはちょっと小さめだから心配なし(笑)。

──第1幕の後半にはジプシー役で登場ですね。

後藤 今度は少し泥臭い踊りを見せます。短時間でキャラクターが変わるわけですが、音楽があれば、あまり苦労することなく切り替えられるものです。

南江 あの場面はジプシーの若い娘の踊りが素晴らしいですね。すごく情熱的。

後藤 ジプシーたちはその周囲で彼女を盛り立てていますが、あの場面も皆、自由に演じているんです。

南江 僕たちはあと、第2幕の酒場、結婚式のファンダンゴを踊ります。

後藤 ファンダンゴはもっとバレエらしい雰囲気。整列して歩いたり、広場のトレアドールと同じく身体を絞って見せたり──、とにかく、カッコよく見せたい!

南江 情熱的な踊りと活気、力強さがある、楽しいバレエだから、皆さんにはぜひ、コロナ禍の鬱憤を晴らしに来ていただきたいと思うんです。もちろん、「夢の場」は古典バレエらしい美しい場面だし、東京バレエ団の女性のコール・ド・バレエは本当に素晴らしいので!

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南江祐生

──『ドン・キホーテ』のあとは、10月の『M』、12月には『くるみ割り人形』が控えています。

南江 今年はいろんな舞台が延期や中止になってしまいましたが、こうやって実現できる毎回の舞台を大切にしながら、でも楽しみながら、取り組んでいきたいですね。応援してくださる方々、スタッフの方々にあらためて感謝の気持ちを持って頑張りたい。

後藤 僕も本当にそう思います。僕自身は、この長い自粛期間の間に精神的にアップデートできたように思っていて──。

南江 それは大きいことだね。

後藤 ネットでいろんな人たちのクラスを見たり、海外のダンサーたちが自宅でレッスンする様子を見たりして、いろんなことを考えているうちに気持ちが楽になって、ポジティブに過ごせたかなと。頑張りますので、ぜひ、応援してください。

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