
クリスマスシーズン到来! 昨年リニューアルされた東京バレエ団の『くるみ割り人形』が、ブラッシュアップされて再登場します。今回は、この公演で東京バレエ団でのソリスト役デビューを果たすダンサー、玉川貴博の登場。9月8日付で入団したニューフェイスです!
──はじめまして、ですので、まずは簡単に自己紹介をお願いします。
玉川貴博 よろしくお願いします。神奈川県出身の玉川です。
──バレエを始めたのは?
玉川 母がバレエ教師だったので、3歳くらいのときにはもうスタジオにいたのではないかと思います。
──その後、海外のバレエ学校に進学しました。
玉川 シュツットガルトのジョン・クランコ・バレエ学校に留学し、そこで2年学んだのち、ロンドンのロイヤル・バレエ・スクールに進学、2年後の2013年に卒業しました。
卒業後はドイツのシアター・ドルトムントを経て、ヨハン・コボーさんが芸術監督を務めていたルーマニア国立バレエ団で1年間、その後、デヴィッド・マッカリスター芸術監督のオーストラリア・バレエ団、フランスのトゥールーズ・キャピトル・バレエに在籍し、2019年からフリーランスで踊っていました。
──東欧から南半球まで! 世界各地でキャリアを積みましたね。
玉川 一つのカンパニーに腰を据えて踊りたいという思いはありました。
実は当初、ロイヤル・バレエ団への憧れもあって、プロになってロイヤルのレパートリーを踊りたいと思っていました。
──実は、こんなことがあったんです。ロイヤル・バレエ・スクールの卒業の年、バレエ団の舞台にコール・ド・バレエで参加できるチャンスがあるんです。当時の僕はプロの厳しさなど全くわかっていなくて、振りを教えていただいて3度目のリハーサルの場で踊るように指名されたのに、全くうまくできず、指導者に「次から来なくていいよ」と言われてしまった......。当然、そんなダンサーはロイヤルに入団なんてできません。苦い経験ですが、これを教訓に、ダンサーとしてしっかり責任を果たすべく、日々真剣に取り組むようになりました。
──各地のカンパニーで多彩なレパートリーを踊ってきました。
玉川 ルーマニア時代にクラシックの作品をたくさん踊ることができたのはとてもよかったですね。同時に現代作品にもいろいろと取り組みました。ありがたいことにソリストとしての契約だったので、たとえばフォーサイスの『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』の終盤の男性ソロや、アレクセイ・ラトマンスキーの『コンチェルトDSCH』、それからアシュトンの『真夏の夜の夢』のパックなども踊らせてもらいました!
自分の良さを引き出してくれる振付家、指導者に巡り合うことができて、視野が広がったと思います。当初、現代作品には苦手意識があったのだけれど、自分の自由な表現ができるのはいいなと思えるようになったのは大きなことでした。
──そういえば、今年2月の〈アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト2020〉に出演、『ドン・キホーテ』ディヴェルティスマンでサンチョ・パンサ役で登場しました!
玉川 急遽コボーさんに声をかけてもらい、実現しました。当時はまだ、海外のカンパニーとの契約も考えていたのですが、コロナ禍で踊れない日々が続く中で、あの時にとても良くしてもらった東京バレエ団で踊りたい、と! 自分で選んだというよりも、ご縁だったなと感じています。
──東京バレエ団の印象は?
玉川 海外公演を実施していることは大きな魅力でした。あとはフィーリング、です! 自分に合っているのではないかと。私設のカンパニーとして、向上心をもって素晴らしい活動をしていることに対する尊敬の念もありました。
──初舞台は9月の『ドン・キホーテ』全幕でした。
玉川 当初、市民役には配役されていたのですが、急遽、初日から闘牛士を踊らせてもらったのです! 憧れの役でしたから本当に嬉しくて(笑)! ジプシーも踊っています。こういった、自由に演技ができる役は本当に楽しい。『ドン・キホーテ』は皆にたくさん支えてもらって乗り切ることができました。
──今度の『くるみ割り人形』でソリスト役デビューです。
玉川 ロシアを踊ります。ダイナミックな動きに大きなジャンプがふんだんに入る、僕の得意分野です! 友佳理さんは、新しいダンサーや初役のダンサーをすごく気に留めてくれて、じっくりリハーサルしてくれる。「役に合っているから楽しみ」と! が、「ジャンプが高いのはいいけれど、着地が怖い」と釘を刺されてもいます。
キャプトル・トゥールーズに在籍していた時、ゲストでいらしていたハンブルク・バレエ団のアレクサンドル・リアブコさんに、「若さがあっていいけれど、もう少しコントロールして、踊りの幅を出すことが必要」とアドバイスいただいたことを思い出します。
──それは貴重な体験!
玉川 フランスにいた時、ハンブルク・バレエ団は何回か観に行きました。ノイマイヤーさんの作品はとても興味深いです。
──東京バレエ団にもノイマイヤー作品のレパートリーがあります。
玉川 そう、東京バレエ団はレパートリーの素晴らしさも大きな魅力です。今度、ベジャールさんの『ボレロ』に初挑戦するのですが......。
──ベジャール作品初参加!?
玉川 ロイヤル・バレエ・スクールの卒業公演で『7つのギリシャの踊り』を踊っています。プロになってからは初、です。
──そこでいきなり第一ソリストに配役されて。
玉川 最初はそれがどういうことなのかわかっていなくて、飯田先生に「第一をやってもらう」と言われた時は、「よろしくお願いします」と普通の反応をしてしまいました。が、いざバレエ団内で配役が発表されると、皆から「おめでとう」って声をかけてもらって、「え?」「ええ?」となって......(笑)。そこでやっと、この役の意味が理解できて、あらためて飯田先生に「頑張ります!」と感謝の気持ちを伝えました。振りを学ぶにつれ、ベジャールさんの意思が宿っている作品だということが、少しずつ見えてきました。こう踊るべき、というベジャールさんの型を、飯田先生と木村先生に教えてもらっています。男らしい色気も必要かな、と思うのですが、それは少しずつ、出していけたらなと思っています。
──皆、楽しみにしています!
玉川 大切に踊っていきたいです。自分が待ち望んできた、シャインできる、輝ける役に出会えたと感じます。ただし、これはゴールではなく、出発点。とても楽しみです。
僕たちの職業はお客さまなしでは成り立たないし、お客さまあっての僕たちの踊りだと思っています。バレエ団は今後も感染予防対策もしっかりしていきますので、ぜひ、公演にいらしていただきたいです。僕たちは全力で取り組みます!