
あっという間に年の瀬。今年最後のブログは、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』学校公演ヴァージョンで初めて主役カップルを務めた涌田美紀と生方隆之介の登場です!
──生方さんはブログ初登場ですね。
生方隆之介 よろしくお願いします。去年9月に入団して、『春の祭典』が初舞台でした。実はその時、組ませてもらったのが美紀さんでした。
涌田美紀 そう! だから『ドン・キホーテの夢』のキトリとバジルで組むことになって、縁があるなって思いました。主役5組の中に入るとは思ってもいなかったので驚きましたが、本番まで3週間くらいしかなく、その瞬間から「時間がない!」「練習せな!!」と猛練習のスタートです。お互い初役。二人とも不慣れでしたから、まずはしっかりパートナリングをしっかり固めていこうと。
生方 僕はパ・ド・ドゥの経験はほとんどなかったんです。
──留学先のバレエ学校では?
生方 『グラン・パ・クラシック』を勉強しましたが、サポートはあまりなかったし、『ドン・キホーテ』についてはバジルのヴァリエーションも踊った経験がなく、今回まったく初めて勉強することになって......。
涌田 ちなみにその留学先というのは、同じハンガリー国立バレエ学校だったんです。時期は重なっていないけれど。
──なんと! 共通の話題で盛り上がりますね。
生方 ブダペストの街にあるエスカレーターが凄く速いとか(笑)。
涌田 そう、とても長くて。
生方 有名なんですね。
涌田 ハンガリーの人たちってすごくせっかちなのか、電車も駅に到着する前にドアが開いちゃうんです(笑)。でもブダペストの街はすごく美しかったです。
生方 クルトシュというお菓子が美味しかった。
──そんな共通の話題もあって、和気あいあいと練習できたわけですね。
涌田 本当に濃い3週間でした。限られた時間のなかで、出来うる限りのことをしようと。二人とも朝早い時間のクラスを受けて、その後リハーサルの時間まで二人で練習。空き時間も練習。とりあえず毎日、毎日、練習、です。
生方 僕はいかに女性を立たせるかが課題でした。サポートに徹することって本当に難しい......。『ドン・キホーテの夢』は全幕よりコンパクトな分、短い中に演技がいっぱい詰まっている。つい抜けてしまったり、逆に速くなってしまったりして、微妙な間の取り方も難しかったかと思います。
涌田 最初は全然、息が合わなかったよね。すごく慣れている人がパートナーだったら、私の悪い癖もきっとすぐにカバーしてくれたと思うのだけれど、パ・ド・ドゥに慣れていない隆ちゃんが相手だったからこそ、自分の悪い癖が浮き彫りになって、自分でしっかり認識して直そうとする努力ができた。あ、いやな言い方になってしまってごめんなさい!
生方 いえ、全然!
涌田 だからこそ、勉強になって良かったんです。
──では本番も楽しく踊ることができて。
涌田 楽しかったです!
生方 最初のほうにキトリに花を渡す場面がありますが、僕は初日、花を完全に忘れてしまって......。なんとか投げキッスでごまかしましたが......。
涌田 「花ない!?」「ないやん!」って(笑)。私もそれはちゃんとキトリとして返しました。
生方 全編通して初々しい感じは出せたのかな、と。
涌田 本当に必死でしたね。
──1月下旬にももう一度踊りますね。
生方 またしっかり練習し直しです。
涌田 最後のパ・ド・ドゥのテクニックを見直して、あとは演技の幅を広げていきたいと思っています。
──その前に、1月9日の〈ニューイヤー祝祭ガラ〉があります。
涌田 私は『ディアナとアクテオン』を踊ります。東京文化会館の大きな舞台で踊るのは、より体力が必要に。この作品は、実はハンガリーのバレエ学校の卒業公演で踊って、その後地元の発表会で踊って、一昨年の〈めぐろバレエ祭り〉で踊って、そしてまた! 縁があります。踊り込んでいくことで、自分らしさを出していけたらいいですね。
生方 僕は『ボレロ』です。
──東京バレエ学校時代にも出演したことが!
生方 エキストラで、椅子に座っているだけでしたが今度は第4ソリストに配されました。まだしっかりリハーサルができていなくて不安もあるけれど、先輩方を見習って頑張るしかないなと思っています。僕は舞台に出る時はいつも不安で......。
涌田 隆ちゃんはいつも緊張するほうで、「大丈夫、大丈夫! 落ちついてやろ!」と声をかけるのが出番前の定番(笑)。でも舞台では本当に堂々としていて、いつも平常心なのがすごいです。
──マイペース!?
生方 結構、几帳面で慎重なんですよ。ツアーに行く時も、カバンに荷物を全部入れて、朝起きたらまた全部出して確認して、もう一回入れて、行く前にまた確認していく、というタイプです。
涌田 (笑)。でも、とても尊敬すべき、相性のいいパートナーです。これから一緒にいろんな役を踊れたらいいなと思っていますし、皆さんにもぜひ注目していただきたいです。
──そんな二人にとって、今年一年はどんな年でしたか。
生方 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でリハーサルもできない期間がありましたが、僕は完全にインドア派で、緊急事態宣言が出ている間は外出はしてはいけないと、ずっと家に引きこもっていました。外出は週に1回、スーパーに買い出しに行くだけ......。で、急にバレエ団が始まって、身体は全然動かなくて......。
涌田 すごい(笑)! 私は家でオンラインでレッスン受けて身体動かしていたけれど。
生方 家でぼーっとしていたのは僕だけです......。それが今、舞台ができるようになって、主役も任せてもらえるようになって、踊れる環境があるって素晴らしいなと思うようになりました。
涌田 自粛生活の間、自分の身体にゆっくり向き合うことができたのは良かったです。何も考えずにではなく、自分の身体のこと、ここの筋肉がこうだからこう、ということを考えながら踊るようになってきた。それが繋がったのかどうかはわかりませんが、こうして主役も踊らせてもらうことができて、いま、バレエがすごく楽しいです。
生方 まだしばらくコロナの影響は続くかと思いますが、来年も舞台に立てる限り全力で取り組みますので、応援していただけたら嬉しいです。
涌田 踊れることに感謝しながら頑張ります。来年もどうぞよろしくお願いいたします!
──ありがとうございました。では皆さま、よいお年をお迎えください。来年も、ダンサーたちのホットな情報をたくさんお届けしますので、どうぞよろしくお願いいたします。