
今回は、〈ニューイヤー祝祭ガラ〉に登場、『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥでパートナーの柄本弾とともに会場を沸かせた伝田陽美の登場です。2月の『ジゼル』で演じるミルタ役についても、たっぷり語ります。
──〈ニューイヤー祝祭ガラ〉は大いに盛り上がりましたね!
伝田陽美 華やかな演目が揃っていましたから! 私は緊張しました。いや、実際にすごく緊張したのは前日のゲネプロまでで、当日は「緊張するー」と言いながら、意外とリラックスできていたんです。実は今回、個室の楽屋を振り分けてもらっていたのですが、「ちょっと無理なので──」と、大部屋に変えてもらったんです。
──なぜまた!?
伝田 ざわついていないとダメで......。個室だとかえって緊張してしまうから、スタッフさんには「これからも全然これでいいので」と伝えました(笑)。
──キトリは子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』(子ドン・キ)で何度か踊っています。
伝田 『子ドン・キ』で演じているキトリは、わーーっ!と皆を巻き込んでいく女の子だけれど、グラン・パ・ド・ドゥのみの上演では「もっと大人っぽいキトリを」と友佳理さんからアドバイスをもらって、 "大人っぽいキトリ"を目指しました。同じポーズでも、「これでもか!」と、くっと強めに見せていたのを、こう、すっ、と見せる──。今月も学校公演でキトリを踊るので、前半は従来通り"チャキチャキ"でも、後半では、結婚式にのぞむことで大人っぽくなったキトリをお見せしたいな、と思っています。
〈ニューイヤー祝祭ガラ〉より『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥ。
ぐんと大人っぽい雰囲気の、伝田陽美のキトリ。
photo: Shoko Matsuhashi
──そして2月は『ジゼル』。久しぶりですね。
伝田 これまでに、第1幕では貴族、その後パ・ド・シス──ジゼルの友人たちを踊っています。1幕は悲劇が起こる前の、幸せで楽しいひと時、友人たちも本当に楽しそうに踊ります。そんな中でもすでにジゼルは具合悪そうにしているのだけど......。
2幕のウィリは、最初はそれはもう大変でした。出ていくだけで「はい! やりなおし!」、「はい! もう1回」です。鍛えられました。私は背が高いほうだったので、整列した時は前列に配され、先輩たちは後ろに。その、後ろの先輩たちから頻繁に注意されるわけです。今思えば、ありがたいことだったなって思います。
──1幕に出演して、2幕でウィリ。両方やるのは大変では?
伝田 休憩中に髪型を改造しないといけないんですよ。ウィリたちはセミクラ、耳がちょっと隠れるように髪をカーブさせるスタイルですが、あれ、難しいんです。時間がない中でやるとなかなか決まらないことがある。以前、うまくできなくてパニックに陥り、出番を諦めかけた人も(笑)!
──事なきを得てよかったです。ところでミルタ役は2015年の上演時に続いて2回目?
伝田 そうですね。でももう6年も前のことなので、全然、新鮮な気持ちです。友佳理さんからは、「ミルタについてはこんな面もある、それをリハーサルで伝えるから」と言われています。どんなミルタになるか楽しみです。
『ジゼル』第2幕。写真は2013年の公演より。
photo: Kiyonori Hasegawa
──ミルタという役柄をどんなイメージで捉えていますか。
伝田 何があったかはわからないけれど、男性を恨んでいる。夜中の森で、きっと何人も殺している冷酷な女性ですよね。彼女には一体何があったのかなって思います。ヒラリオン に「助けて!」と懇願されてもツンッ──。威厳を感じさせる演技をしないと。
ミルタはどちらかというと悪役ですが、どんな作品でも悪役を演じるのは楽しいです。「ねむれる森の美女」のカラボス、『白鳥の湖』のスペイン、マズルカも楽しかった! 普段の生活ではすすんで悪役はやらないし、心置きなく意地悪できるし(笑)。でも、ミルタは意地悪というよりは冷酷、ですね。前回(佐野)志織先生から、鎖骨まわり、首筋、背中で威厳を感じさせるように、と教えてもらいました。
──ポワントの音にも気を遣う?
伝田 そう! 大きな音は絶対に立ててはいけない。衣裳の裾が長い分シューズが目立つので、汚れたものもダメ、でも新品のキレイなものは大きな音がしがちでダメ。だから皆、なるべく音が出ないよう加工するんです。私が履いているのはゲイナーで、加工しなくてもあまり音が出ないのが助かります。米国の工場がクローズになり、ヨーロッパの工場で作るようになって以後、ちょっと合わなくなったという人も多いのですが、私はまだ予備があるので大丈夫です!
──ではミルタ役への抱負を。
伝田 前回は初役で、さらに先輩から「ミルタは大切な役だから頑張ってね」と言われたものだから、余計に緊張してしまった(笑)。が、今回も初心を忘れず、フレッシュな気持ちで取り組みたいです。最後まで威厳あるミルタを!
──もう1月も下旬ですが、2021年はどんな1年にしたいですか。
伝田 怪我をしないこと、ですね。年齢を重ねると、怪我が治りにくくなるっていいますから。あとは、コロナに罹らないこと。みなさんもどうぞ気をつけて、元気で劇場に足を運んでいただきたいです。
「コレ、なんでしょう!?」
「あんこ、です。ブラウ(ブラウリオ・アルバレス)にもらいました。彼の手作りです!お砂糖少なめで、隠し風味にバニラを入れているそう。和と洋の融合! 美味しそうでしょう」と伝田。甘いものが好きな彼女は、いま、干し芋づくりがマイブーム。「茹でてねっとりしたお芋をベランダで干すんです。でも最近は鳥が来ちゃうから、陽の当たる窓側に干すように。美味しいです!」。
こちらは、コロナ禍で料理する機会が増えたという彼女が最近作り置きしているキノコ料理。「キノコ(この日は舞茸、ブナシメジ)を容器に入れて、麺汁とごま油、生姜を好きなだけ入れてレンジでチン!」。簡単だけど美味しそう!