
今回の『ジゼル』は6年ぶりの上演、初参加となるダンサーも多く、アーティストの菊池彩美、酒井伽純は初めての取り組みに全力でのぞんでいます。第2幕のコール・ド、また第1幕のパ・ド・シスにも配役された二人に、『ジゼル』初挑戦への意気込みを聞きました!
──二人は同期なんですよね。
酒井伽純 そうなんです。2016年の入団で、いま5年目です。私は山口出身で、高校2年生の時にバレエ団のオーディションを受けて入団、最初の1年はまだ高校に在籍しながらのバレエ団生活でした。
菊池 ここ以外は考えていませんでした。コンクールに参加して、スカラシップのお話をいただいたこともあったのですが、東京バレエ団に入るために必要なのかどうか、いろいろ考えた結果、留学はせず、ずっと東京バレエ学校でレッスンしていました。前回の『ジゼル』公演の時のこともよく覚えています。初めて観る東京バレエ団の『ジゼル』は、とにかくジゼル役の渡辺理恵さんが素敵で、コール・ド・バレエはすごく揃っているし、なんとも言えない感覚で観ていました。このコール・ドの一員になれたらな、という思いもありました。
酒井 私はその公演は観ていなくて、だから今回が本当に初めての『ジゼル』。もちろん、映像で見て知ってはいるけれど、まだまだわからないところもあって、必死です。
──そんな二人ですが、第1幕ではパ・ド・シスに配役されていますね。
菊池 ジゼルの友人たちの、楽しい踊りです。
酒井 これが本当に速い踊りで、ついていくだけで大変です(笑)。
菊池 踊ってはけて、踊ってはけて、という感じなので、短距離走を何度も繰り返すような感覚。息、あがります(笑)。1幕終盤の悲劇的な展開との対比が大切。だから、いかに楽しく盛り上げるか、ですね。
──村の若者たちの中でも、ひと際輝いている女の子たちですね。
菊池 (笑)。可愛い衣裳を着せてもらいます!
酒井 村の若者たちの中で、よりジゼルに近い存在なんだと思います。
菊池 今回は、友佳理さんが初めて指導する『ジゼル』なので、踊りのニュアンスや細かい角度に至るまでこだわりをもって取り組んでいます。
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──2幕のコール・ドも進化しているようですね。初参加だといろいろと戸惑うこともあるのでは?
菊池 初めてリハーサルに参加しての実感としては、たとえば、『白鳥の湖』のコール・ドは、登場シーン──"ステテコ"と呼ばれていますが、そこでもうすでに体力をもっていかれます。今回の『ジゼル』は、体力よりむしろ、より頭を使う感覚があります。コール・ドが両サイドに整列する場面がありますが、ここで斜めに並ぶのがすごく難しいのです。今は鏡があるからなんとか揃えられているのですが、劇場に行ったらどうなっちゃうんだろうという不安も......。
酒井 慣れていない、ということもありますが、難しいですね。ちょっとでもずれるとすごく目立つし、乱せないというプレッシャーもあります。
菊池 揃えようと思ってちらっと周りを見ることもあるのですが、普通にぎょろっと見ると目立ってしまって、即、先生に注意されます。そこをちょっと伏し目がちにすると目立たないんです。
──なるほど(笑)。本番でも伏し目を駆使して、美しいフォーメーションを見せてください!
酒井 ......実は私は、昨年からずっと怪我でお休みしてしまっていたので、この『ジゼル』が約1年ぶりのバレエ団の舞台なんです。久しぶりなので、緊張するかも──。
──自粛期間と重なって、辛いシーズンでしたね。
酒井 踊りたくても踊れない時期は本当に辛かったです。早く戻りたいし、休んでいると筋力は落ちるし。で、焦りからトレーニングを始めたら逆に悪影響、ということもありました。去年、一度自粛期間が明けたタイミングで山口の実家に帰り、気分転換したことで、気持ちはかなり落ち着いてきました。大事なことはしっかり休むこと。復帰した時により早く元に戻れるように、筋トレやストレッチも大事なので、その調整が難しかったです。怪我をして、いろんな人の話を聞いて、学ぶことはとても多かったですね。不安もありましたが、バレエ自体を嫌いになったことは一度もないので、これからも頑張ります。
──久しぶりの舞台、期待しています! 菊池さんは、2021年は〈ニューイヤー祝祭ガラ〉の『セレナーデ』でのスタートでしたね。
菊池 『セレナーデ』は緊張するんです。皆で決まった場所について、そこから幕が開くのですが、そこが一番、緊張します。
酒井 あの右手をあげるポーズはフラフラしがちなんです。
菊池 音が鳴り始めてから幕が開くまで、またちょっと時間があるのですが、あの少しの間の静けさが耐えられない感じに(笑)! でも、幕が開いたらやるしかない。
酒井 「私できる!」って、無理やり自分に言い聞かせます。それでも、吐きたくなるくらい緊張した舞台があって、それが2018年の〈NHKバレエの饗宴〉でした。演目は『ラ・バヤデール』の影の王国。
菊池 出番がいちばん最後だったんです。劇場に入ってから本番まですごく長くて、そのうえでのあのスロープでのアラベスク! コツを掴むと意外と楽にできるのですが、毎回掴めるとは限らず......。
──長めの待ち時間はどんなふうに過ごすのですか。
酒井 振りや場所の確認をして皆で合わせていますね。お腹もすきますが、たくさん食べると動けなくなってしまうので、かといってあまり食べないとエネルギーが足りないし──。
菊池 バレエ団の休憩時間も、少しつまむくらいですね。チョコとか卵とか。
酒井 サラダチキンをそのまま食べたり......。
菊池 1時間くらい時間が空いていれば、おにぎりでも大丈夫。
酒井 ウィダーインゼリーはお腹に残る感じがないのがいいかな。
菊池 男性はお昼も普通に食べているよね。羨ましい(笑)。
酒井 「めっちゃいい匂いする」って思ったら、つけ麺食べている人が! 本当に羨ましい(笑)。
──栄養たっぷりとって、頑張ってください!
菊池 ありがとうございます。
酒井 これからもどうぞよろしくお願いいたします。
入団した頃の私たちです!
上の写真は入団1年目の頃の二人! 初々しいです。
1年目はリハーサルの音出しや楽屋の準備や衣裳運びと、団内で様々な仕事を任されます。とくにリハーサルの音出しは、指導者の指示に瞬時に反応して、該当の部分から音楽を流すという難易度の高い仕事。「緊張するんです。でも、そのおかげで全作品のリハーサルを見て勉強することができました」(菊池)、「いろんな仕事をすることで、先輩方と関わることができたと思います」(酒井)。
着用しているのは、当時お揃いで買ったというデラロ・ミラノのレオタード。その後もずっと大事に着続けて、インタビュー時に撮影した下の写真でも仲良くお揃い! 「着過ぎて柄が消えちゃっていますけど(笑)」と言いますが、6年近く着ていたとは思えないほど、とてもキレイです。