
2021年3月に入団した平木菜子の登場です。ハンブルク・バレエ団で6年間活躍後、今年初めに帰国して東京バレエ団に入団。新しい生活や舞台のことなど、いろいろ語ります!

──入団して半年が過ぎました。東京バレエ団での初舞台はいつでしたか。
平木菜子 代役でしたが、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』に出演したのが最初でした。同時に進んでいた『カルメン』では運命(牛)のアンダースタディもつとめました。春に退団したばかりの奈良春夏さんにも個人的に見ていただいて、勉強になりました。
──〈HOPE JAPAN〉の全国ツアーでも大活躍でしたね。
平木 『ギリシャの踊り』で初のベジャール作品を経験しました。ハンブルクで踊っていたノイマイヤー作品と似ているところがありますね。どちらもベースはクラシックですが、上半身の動き、手の動かし方が独特。楽しかったです。『パキータ』ではソリストと第3ヴァリエーションを踊らせてもらいました。ずっと踊ってみたいと思っていた作品だったので幸せでした。
ハンブルクでももちろんツアーはありましたが、同じ土地に1週間から2週間滞在し、2〜3演目を上演するという形でしたから、今回のように移動してすぐ踊ってまた移動、というのは初めて! 地方にいる友人知人、それから広島にいる家族にも舞台を観てもらえたことがとても嬉しくて。それは日本に帰ってきたからこそ叶ったことです。
──子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』ではリラの精を演じました。
平木 これまで妖精役は経験したことがあったのですが、リラの精は全く初めて。〈HOPE JAPAN〉ツアーが終わったのが7月19日、それから2週間と少しでもう本番でしたから、短期間で振りと役柄を身体に入れるのは大変でしたが、最終的には舞台を存分に楽しむことができました。ハンブルクでは速い踊りを任されることが多かったので、リラのような大らかな役柄を演じることができたのはとてもよかったと思います。
8月上旬、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』で演じたリラの精
photo: Shoko Matsuhashi
──カラボスとの対決は熱かったですね。
平木 カラボスは二瓶加奈子さんでした。二瓶さんはずっとリラの精を踊られていたこともあって、細かいこところまでいろいろとアドバイスしてくださいました。
──ハンブルク・バレエ団では6年間活躍されました。学校はハンブルク・バレエ学校ですね?
平木 私はジジ・ハイヤット先生が新しく校長になるというタイミングでバレエ学校に入りました。学校での生活は毎日充実していたので2年間があっという間のことでしたが、その間、バレエ団の公演を観るだけでなく出演させてもらえる機会もあり、スクール公演でケヴィン・ヘイゲン先生が振付けた作品で真ん中を踊らせてもらったこともいい経験に。卒業後はハンブルク・バレエ団のオーディションに合格し、入団しました。
──6年間でとくに印象に残る舞台は?
平木 そうですね......そう......、いろいろあり過ぎて選ぶのは難しいです(笑)! あえて一つ選ぶなら、これはノイマイヤーさんの作品ではないのですが、マニュエル・ルグリさんのご指導で上演した、ヌレエフ版『ドン・キホーテ』。オーディションで抜擢してくださって、初日のブライドメイト、その後キトリの友人を踊らせてもらいました。それは素晴らしい経験で、その後、ノイマイヤーさんの『くるみ割り人形』のエスメラルダなど、どんどん役が広がっていったんです。『マーラー交響曲第3番』も大好きな作品。もちろん、『椿姫』も! 踊りたいと思っていたノイマイヤー作品はほとんど踊ることができて、そろそろ次に進みたいなと思った時、東京バレエ団のことを考えるようになりました。
──東京バレエ団を選んだ理由は?
平木 レパートリーが豊富なので、もっといろんな作品を踊ることができると思ったのです。クラシックのレパートリー、例えば『海賊』はぜひ踊りたいと思っていましたし、ノイマイヤー作品のレパートリーに、フォーサイスの作品や憧れの『オネーギン』も上演されている。とても魅力的でした。
ハンブルク・バレエ団出身のブラウリオ・アルバレスさんや、スクール在籍期間が1年間被っている大塚卓くんの存在も、安心感に繋がりました。
以前から日本のお客さんの前で踊りたいという思いが強かったのですが、この大きな決断を自分で決めることができて、ちょっと成長したのかな、と思っています。
──『海賊』ではオダリスクの第3ヴァリエーションにキャスティングされているんですよね。
平木 そうなんです! 実はこれ、よくコンクールで踊っていたヴァリエーションなのです! 回るのが得意だったので、自分の得意分野でコンクールに挑戦しようと取り組んでいました。これを踊ることがプロになってからの目標の一つでしたから、今度の『海賊』で実現できて本当に嬉しいです。
その前に神奈川県民ホールで上演する『白鳥の湖』のコール・ド・バレエにも挑戦します。スペインのアンダースタディにも入っているのですが、ずっとこの役を踊っていらした奈良さんには「似合うよ!」と言っていただいて......! 〈Choreographic Project〉で柄本弾さんと踊った、木村和夫さん振付の『ピアノレッスン』も、奈良さんが初演。そんなこともあってすごく応援してくださって、不思議な繋がりを感じます。皆さんとても優しくて嬉しいです。
──あっという間にバレエ団に馴染んでしまいましたよね。
平木 そういう雰囲気って舞台から滲み出るものですよね。その空気感、いいなって思います。本当に東京バレエ団に入ることができてよかった。小さい頃、日本を代表するバレリーナになりたいって思っていましたが(笑)、せっかくプロになれたので、ここでできるところまで突き詰めていけたらと思っています。
6月にChacottさんのモデルをさせていただきました。実は、12年前にもレオタードとコスチュームのモデルをしたことがあるのですが、今回、その時のスタッフさんに再会! 「すごく成長したねー」と喜んでくださいました。ご縁と繋がりを感じる出来事でした。
写真提供:Chacott