
7月の〈HOPE JAPAN〉東京公演ではベジャールの『舞楽』で大健闘、今度の『海賊』ではギュルナーラ役に初挑戦、さらに11月にはキリアン振付『ドリーム・タイム』に初めて取り組みます! ソリストの三雲友里加の登場です。

──東京バレエ団、2度目の『海賊』ですね。
三雲友里加 前回はパシャの妻たちや花園のほか、ソリスト役としてはオダリスクのヴァリエーション2を踊っています。オダリスクにはたくさんのダンサーたちが配役されていて、私は富山公演で踊らせていただきました。
──今回はギュルナーラに初挑戦! ヒロインの友人で、とても華やかな役です。
三雲 ギュルナーラのヴァリエーションといえば、小さい頃からコンクールで踊られているのをよく見ていたのですが、ジャンプが多く、テクニック面ですごく難しい踊りという印象が強く残っていました。バレエ団で全幕を通して見るまでは、ギュルナーラという女性はすごく強い雰囲気のキャラクターなんだと勝手に思い込んでいました。私はバレエ団でこういう役を踊った事がなかったので、キャスティングされた時はびっくりしました。
リハーサルを重ねていくうちに、私が最初に思っていたギュルナーラのイメージとは違う部分が沢山あり、難しいテクニックやジャンプなども沢山ありますが、それと同時にとても美しくて魅力的な役柄だと感じました。
──"奴隷のパ・ド・ドゥ"と呼ばれる踊りですね。
三雲 そうなんです。パートナーは彼女をパシャに売ろうとしている奴隷商人なので、ギュルナーラは「イヤ!」と彼を嫌がります。冒頭のアダージオは、ギュルナーラが自身の運命を憂いて、苦しげな表情を見せたり、拒絶のポーズを見せたりします。が、その直後に実に軽快でダイナミックなヴァリエーションを踊っちゃうんですよね。散々「イヤ!イヤ!」って言ったそのすぐ後なのに、笑顔を見せたりもして──。
私は、どういう気持ちで踊ったらいいのかずっと悩んでいて、友佳理さん(斎藤友佳理)に直接、ギュルナーラの表現について聞きにいきました。
友佳理さんからは、自分を売ろうとしているランケデムとは拒絶を見せないといけない踊りになるのは当然だけれど、そこから急に生き生きと魅力的なヴァリエーションを踊り出すというのは、そんな状況にあっても、瞬時に気持ちを切り替えて、自分の美しさ、魅力をアピールして踊る事!とアドバイスを頂きました。
──あのヴァリエーションにはそんな彼女の芯の強さが見て取れる?
三雲 そう(笑)! そうなんだと思います。彼女はメドーラとともにパシャの特別待遇を受けるほどの美しい女性ですから、そこはしっかりと表現したいですね。
そういった表現の難しさもあるのですが、テクニックもかなり難しいので、しっかり練習を重ねていかないといけないなと思います。
──いっぽうでは、パシャと戯れる少しコメディ・タッチの場面も。
三雲 そこはちょっとコミカルに見せないと。リハーサルでは「もっとお尻出して!」って言われたりしています(笑)! 基本的に『海賊』は、古典バレエの中でも男性ダンサーが沢山活躍できる作品ですし、雰囲気も明るくて皆、大いに楽しんで踊ることができます。こういう時期だからこそ、少しでも皆さんに楽しい気分を劇場で味わっていただけたら嬉しいと思います。
──その後、11月の公演では金森穣さんの世界初演作品に参加するとともに、キリアンの『ドリーム・タイム』に初挑戦します。
三雲 「ドリーム・タイム」は今回、私以外は全員経験者でまだリハーサルも始めたばかりで必死に皆んなに追いつこうと頑張ってます(笑)。
2015年の久々の再演時には、私はフォーサイスの『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』に出演していて、海外公演の時は『セレナーデ』「春祭」、に出演していて、「ドリーム・タイム」には入っていなかったので、今回初めて挑戦させて頂きます。
──キリアン作品は、2017年にバレエ団初演した『小さな死』を経験していますが。
三雲 同じ振付家の作品でも、この2作品はそれぞれ違う世界観を持っていると思います。『小さな死』はどちらかと言うと人間の性的な部分を表現する場面が多かったりするのですが、『ドリーム・タイム』はそれとは全く違う世界観があると思います。特に最初は女性3人で無音の中、息を合わせて踊る所があり、すごく緊張感のある作品です。
──クラシックでも大活躍ですが、近年はとくに現代作品で強い印象を残していますね。勅使川原三郎さんの『雲のなごり』に果敢に挑戦していたのも印象的でした。
三雲 『小さな死』の時、友佳理さんに「すごく似合ってたよ」と言われたんです。先日〈HOPE JAPAN〉で再演したベジャールさんの『舞楽』も色んな人が褒めてくれて、私自身もクラシックだけではなく、ベジャール、キリアン作品が大好きなので「ドリーム・タイム」は初挑戦ですが、自分を信じて精一杯頑張りたいです!
──様々な経験を重ねましたね。
三雲
バレエ団で本当にコールドからソリストまで沢山の役を経験させて頂き感謝しています。
ただ、私はバレエ団に入ってから今までキャラクターシューズを履いたことが無いんです!笑
例えば、多くのダンサーたちはブルメイステル版の『白鳥の湖』の第3幕のキャラクターで悪役的な役柄を経験してる所を見て、たまに羨ましくなります(笑)。それどころか、『ドン・キホーテ』1幕のセギディーリャもやったこともなく、バレエ団の中では珍しいほうだと思います。
──今年後半も公演が続くので、体力づくりが大変ですね。
三雲 私、よく食べるんです(笑)。朝と昼はあまり食べないのですが、夜は爆発! いつもご飯2杯いただきます。先日3杯目にいこうとしたら周りに止められました(笑)。本番前もほとんど気にしないで食べています。本番が近くなると人によっては食事制限するというダンサーもいますが、私はあまり気にせず栄養をつけるために沢山食べるようにしています。
大変な時期ですが、少しでも皆さんに劇場で楽しい時間を味わって頂けたら嬉しいです。
皆さんに少しでも届くように私も精一杯踊ります‼️‼️
バレエ団でもっともポワント加工にこだわるダンサーとして知られる三雲は、手先が器用なことでも有名。とくに最近は、セルフで塗っているネイルの美しさが大評判!「2年前の誕生日に、ジェルネイルのキットをプレゼントでもらってからやっています。
最近はバレエ団の子にもネイルを頼まれてやってあげる事もあります!
これ、全部自信作です!!」と三雲。しかもすべて手描き!!! 「自分で利き手の爪を塗るのはちょっと大変なので、人にやってあげる方が楽しいです(笑)!」。もしかして美術とかデザインの分野を目指していたのかと思ったら、実は理系で薬学部志望だったとのこと。多才です!