
今回はソリストの涌田美紀と井福俊太郎の登場。二人が2021年春からのシーズンを振り返ります!

涌田美紀 photo JPD

井福俊太郎 photo JPD
──二人とも今シーズンは大活躍でしたね。
涌田美紀 4月に予定されていた『カルメン』『スプリング・アンド・フォール』、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』が6月に延期されたり、〈HOPE JAPAN〉の全国ツアーが実現したりと、前半は慌ただしく過ごした印象が強くありますね。
井福俊太郎 美紀ちゃんはツアーで『パキータ』のエトワールを踊っています。
涌田 『ドン・キホーテの夢』ではキトリを踊らせてもらったので、ずっとフェッテの練習をしていました。この二役でとにかくたくさん回っている(笑)!『パキータ』はとくに好きな作品の一つで、ウキウキするような音楽がいいですよね。アントレのあの音楽で大きく盛り上がって、次々とヴァリエーションが登場して、それぞれが主役になる。バレエの楽しさがぎゅっと詰まった作品だと思います。踊ることができてよかった!
『パキータ』エトワールを踊る涌田美紀。
写真はツアー後の8月に開催された〈めぐろバレエ祭り〉の〈サマー・バレエ・コンサート〉で上演された時のもの。
photo: Kiyonori Hasegawa
──ツアーは7月のことでしたね。
井福 今回のツアーは公演当日の現地入りということが多く、大変でした。
涌田 初めて『パキータ』を踊ったのは岩国公演でしたが、台風の影響で、本来なら現地に前日入りするはずが当日入りに変更に。でもその分、前もって身体を休めることができて逆によかったかもしれない。そして俊ちゃんは『ギリシャの踊り』で大活躍だった。
──『ギリシャの踊り』の二人の若者を演じたのは今回が初めて?
井福 そうなんです。一緒に踊った(岡崎)隼也さんにいろいろ聞きながら稽古を重ねました。十市さん(元モーリス・ベジャール・バレエ団の小林十市)に指導に来ていただいてからはいろんなことが明確になりました。『ギリシャの踊り』の二人の若者を初演したのは、ジル・ロマン(現モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督)とセルジュ・コンパルドンで、二人は同期入団のライバルだったそう。そっちがやったらこっちもやる!という感じだったと。初演の映像も見せていただいたのですが、そういう背景を知ったことで見えてくるものがいろいろありました。7月上旬の東京公演と、ツアー後に〈横浜ベイサイドバレエ〉で踊った時とでは、経験を重ねて踊りもずいぶん変わったと思います。
ベジャール振付『ギリシャの踊り』の二人の若者を演じる岡崎隼也(右)と井福俊太郎。
ちなみに井福が踊ったのはジル・ロマンのパートだそう。
こちらはHOPE JAPANツアーの後に開催された〈ベイサイドバレエ〉で上演された時の写真。
photo: Hidemi Seto
涌田 私は7人の女性(パ・ド・セット)でしたが、すごく緊張しました。
井福 あの場面は、一度、音響のハプニングがあったのだけれど、それに女の子たちが冷静に対処していたのを見て感動したんです。あれが男の子たちだったらパニックに陥ります。
涌田 それ、私が出ていなかった日でしたけどね(笑)。
──ところで、ツアーに持っていく必須グッズはありますか。
涌田 いつも使っている化粧水と乳液と......。
井福 え? そこ?
涌田 それでないと肌の調子が(笑)。でも、私は荷物が少ないほうで、使わないだろうと思うものは持っていきません。
井福 僕は逆。何か必要になったらやだなって思うたちで、ケア用品は必ず持っていきます。脚のマッサージ・ガンとか膝を温めるものとか。
──サプリメントを持っていく人も多いとか。
井福 BCAAっていうアミノ酸のサプリを飲みます。疲労回復にいいといわれていますが、ちょっとしたおまじないと捉えています。あまり頼らないようにしているけど。
涌田 ジンクスになってしまうと、それがなかったとき怖い──。あ、一つありました!
──ジンクス?
涌田 というほどではないのですが、本番前には必ず楽屋の鏡の前をきれいに整えて出ます。
井福 すごい。ちなみに男子の楽屋はすごく汚いです(笑)。
──8月には〈めぐろバレエ祭り〉の公演がありました。
井福 〈めぐろバレエ祭り〉で上演した子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』では青い鳥のパ・ド・ドゥを美紀ちゃんと組んで踊りました。
涌田 俊ちゃんは『ディアナとアクテオン』(2019年に上演)以来のパートナーです。
井福 美紀ちゃんだとすっと自分でやってくれるから安心。本番もつまずくことなく踊ることができました。子どものためのバレエではかなり省略されているので、全幕で踊る機会があったら嬉しいですよね。コーダがとてもいいんです。
子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』より、
フロリナ王女(涌田美紀)と青い鳥(井福俊太郎)
photo: JPD
──その後Dance Dance Dance at YOKOHAMAの公演で、1日だけの『白鳥の湖』公演がありました。
涌田 四羽の白鳥を踊りました。
井福 僕は道化でした。何度も踊っているので振りはわかっているものの、リハーサルの時間があまり取れず、しかも1回だけのシングルキャストだったので、毎日リハーサルで踊り続けて体力的にキツかった! でも、女の子たちだって毎日コール・ドのリハをやっているわけで。皆、あの時は大変だったんじゃないかな。
ブルメイステル版『白鳥の湖』より四羽の白鳥。
向かって左から安西くるみ、足立真里亜、金子仁美、涌田美紀。
photo: Hidemi Seto
同じく『白鳥の湖』より。左が道化役の井福俊太郎。
photo: Hidemi Seto
──『白鳥の湖』は来年2月の上演が決まっています。
井福 僕はブルメイステル版が大好きなのですが、今度はさらに装置が新しくなると聞いているので、楽しみですね。
涌田 どんなふうになるか知ってる?
井福 背景画を見せてもらいましたが、すごく豪華! 期待していただきたいです。
──9月には『海賊』の再演もありました。
涌田 私はオダリスクに再挑戦。俊ちゃんも2回目のビルバントで、より役柄を深めることができたでしょう?
井福 そう、さらに考えて踊ることができました。
──お髭が似合うと評判です。
井福 自分の髭だけでは舞台では足りないので、結構書いています(笑)。
──そしてついに! 金森穣振付『かぐや姫』です。
涌田 まだまだ先のことと思っていたけれど、あっという間でした。私たちは童役で出演です。1日目と2日目、出演日は違いますが。
井福 金森さんの振付は、カウントを細かくとるので緊張感があります。穣さんの伝え方がすごく丁寧。
涌田 8月に振付が最後までできあがって、10月にリハーサルが再開されたのですが、振付はどんどん変わっていきました。舞台に行って本番直前まで変わるのではないかなと。
井福 女性の群舞、すごいです。とても美しいです。
涌田 童の振付も、音楽もとても可愛らしい! ドビュッシーの音楽と振付が絶妙に合っているので、踊るほうもとても入りやすい。
井福 日本のバレエだからといって、音楽も和ではなく、ドビュッシー。それでかぐや姫の世界を作り上げているのは本当にすごいこと。そして、飯田(宗孝)先生も大活躍です。
──衣裳もとても素敵です。
涌田 本当に昔の子どもみたいです。タイツはなし(笑)。コンテンポラリーではよくあることですが、バレエでタイツをはかないケースはあまりないですね。より子どもらしさを出したいので、前髪をどうしようかなと悩み中。
井福 世界初演作品に携わることなんてこれまでなかったこと。初演の人のエピソードを聞くとか、その映像を見るとかではなく、自分が初演のクリエーションに入るということはすごいこと。ワクワクします。
──年内の公演は、『くるみ割り人形』が控えていますね。
涌田 これだけの数の公演に取り組むことができるのは本当に幸せ。ハードではあるけれど、精一杯やって、皆さんに素晴らしい舞台をお届けしたいと思います。
井福 実は今年、新しいことに挑戦させていただく機会があり、いい経験になりました。お知らせはもう少し先になりますが、どうぞ楽しみにしていてください!
Rolandの電子ピアノです。昔習っていたことがあるのですが、また弾いてみたいと思い切って購入しました。ショパンを弾きたいと思いました。まだ全然練習できていないのすが、いずれはショパンを弾きたいと思っています。(涌田美紀)
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車やバイクがもともと好きで、去年このバイクを買いました。カワサキのバイクをフルカスタムしています!(井福俊太郎)