
今回の対談は芹澤創と星野司佐。2018年に入団した同期の二人が、『くるみ割り人形』への抱負を語ります。
右から芹澤 創、星野司佐
──二人は東京バレエ学校でも一緒だったんですね。
芹澤 創 Sクラスで一緒でした。僕はSクラスがスタートした最初の年からで......。
星野司佐 僕は2年めからだったと思います。
芹澤 バレエダンサーになることが夢だったので、Sクラスはその第一歩でした。地元の沼津の教室には男の子が全然いなかったので、レッスンの回数をもっと増やしたいなと思った時、ちょうどSクラスのボーイズクラスができると聞いて、家族も応援してくれていたのでチャレンジしたんです。厳しいこともありましたが、充実していて楽しかったですね。
──二人ともバレエ団生活のスタートは研究生からでした。
芹澤 僕は大学3年生の時に入団したので、卒業するまでは大学に行きながらバレエ団の活動をしていました。
星野 大変だったんですよね。
──初舞台は?
星野 2018年6月の『白鳥の湖』の鎌倉公演でした。僕はチャルダッシュに配役されて、入ったばかりなのに「もう踊るんだ?」と、緊張してしまいました。発表会とは違い、失敗は許されませんから。
芹澤 プレッシャーでしたね。僕はスペインを踊りました。うまくマントを捌けず、うっかり頭から被ってしまって前が見えない状態で遠くまで移動......。何が何だかわからないまま頑張ったという思い出ですね。
──『くるみ割り人形』のリハーサルが佳境に入っていることと思います。2019年12月の『くるみ割り人形』の新制作の思い出は?
芹澤 実は、ちょうどそのリハーサルと卒論を書く時期とが重なってしまって......。僕が学んだのは体育学科で、身体のリズム感について書いたのですが、先生がとても厳しい方で、「その内容では意味がわからない」と何度も書き直しを命じられてしました。当時は大学で卒論を書いて、リハーサルに来て、終わったらまた夜は卒論を書きに大学に戻る、という生活が続いていました。バレエ団の先生がたが理解してくださったからこそできたことですが、なんとか卒業までやり遂げたことで、精神的に強くなったと思います。
星野 卒論を書いていることは聞いていましたが、そんなに大変だったとは! すごいです。
芹澤 創
──『くるみ割り人形』新制作の時にはどんな役柄を?
芹澤 客人とねずみ、それから花のワルツのコール・ドを踊りました。
星野 僕も同じです。
芹澤 第1幕のクリスマスパーティーの客人は、全員職業と年齢が設定されていたのが印象的でした。皆、生き生きとしていたと思うんですよね。
星野 僕は"床屋のマイヤー"さんでした。「いつでも切りますよ」という感じですね。女性に対しては、「この髪飾りいいですね」と。
芹澤 僕は"飲食店経営者のクリューガー"さん。「今度、新しい店がオープンするんですよ」と周囲にアピールしていました(笑)。ただの客人としているだけでは演技に深みを出すのが難しいけれど、細かい設定があることで、僕たちもちゃんとその人になりきって舞台上で生きることができます。
星野 舞台の上で本当にしゃべっているんです。そのほうがリアルで、演技が生き生きとします。
──マスクをかぶって激しい戦闘シーンを演じるねずみはいかがでしたか。
星野 ねずみの振付はとても楽しかったのですが、ずっと前屈みで踊っていたので腰がつらかったですね。ブラウリオ(・アルバレス)さんの振付でしたが、「こんな跳び方があるんだ!」という驚きがあったり、ねずみのリアルな動きを反映した振付があったりで、刺激を受けました。首の振り方が独特で、被り物の鼻先を動かすとよりリアルに!
芹澤、星野ともに今年もねずみ役で活躍します!(写真は2019年の公演より)
photo: Kiyonori Hasegawa
芹澤 第2幕の花のワルツもとても美しい場面です。照明がとても華やか! あそこまで華やかな照明のもとで踊ったことがなかったので、気分が上がって自然と笑顔になります。
星野 音楽もとてもきれい。実は今回、花のワルツのソリストを踊らせてもらうのですが、やったことのないリフトが入っているんです──。バレエ団に入るまでリフトなんて学ぶ機会がなかったですし、慣れていないのにリフトしてさらに移動なんて......。筋トレして、プロテインも飲んでいます。抹茶味ですが(笑)。それから鹿児島公演で一度だけフランスを踊ります。ステップが細かくて難しいのですが、練習を重ねています。
星野司佐
──二人とも期待しています! では、今年一年を振り返るとしましょう。印象的だった作品をあげてください。
芹澤 11月の『中国の不思議な役人』ですね。アンサンブルは30分間踊りっぱなし! とてもきついのですが、自分の身体の限界を超えていく感じはすごく楽しかったです。小林十市さんがお話しされていたのですが、重要なのは、ネガティブさ──人間の汚い部分とか憎しみとかを前面に出して踊るということ。気持ちを入れ込んで、スラム街に生きているんだという意識で踊ることができました。
──星野さんは?
星野 僕は、『ラ・シルフィード』です!
──......。
芹澤 ......。それは去年だね(笑)。『カルメン』はどうだった?
星野 そうでした! 『カルメン』! これは本当に緊張した舞台でした。闘牛場を模した装置の高いところにいるんですけれど、そこから降りるのがまた大変で、変な降り方をして悪目立ちしてしないかと思うとまた緊張して(笑)。中盤の手拍子の場面も本当に難しく、一つ間違えると完全に見失ってしまう。手に汗をかきました。
芹澤 でも、男性のコール・ドであそこまで踊るものってこれまでやっていなかったし、カッコよかったと思います。
星野 達成感、ありました。それと、(上野)水香さんの美しかったこと! 間近でずっと観ていられて幸せでした。あのままずっと観ていたいと思ったほどです。
アンサンブルがひたすら動き続ける!『中国の役人より』。
photo: Kiyonori Hasegawa

『カルメン』より。星野は後ろの高い位置に立っていました!
pohto: Kiyonori Hasegawa
──では、間近に迫った『くるみ割り人形』への抱負をお願いします。
芹澤 初演から関わることができた作品です。当初は精一杯でしたが、少し経験を重ねたいまだからこそ、役柄の人物設定とか背景を想像し、大事にしながら踊っていけるかなと感じています。より深みのある演技で、皆さんにお楽しみいただけたらと思っています。
星野 今回は新しい役に挑戦します。素敵な踊りをお見せできるよう、練習を重ねていますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思います。
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シンプルでスタイリッシュなファッションが好きなのですが、最近とくにハマっているのが、久留米市にあるムーンスターのスニーカー。伝統あるメーカーさんの、日本の職人さんの技が活きたシンプルな品で、どれも気に入っています。(芹澤 創)
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ニコンのD500というカメラです! カメラは高校時代からハマっていますが、去年購入したこのカメラは、鳥の羽ばたきもパパパパパッと連写できるスグレモノ。動いている人物のスカートがふわっとしている様子もすごくきれいに撮れます。(星野司佐)