
クランコ版『ロミオとジュリエット』公演初日まであとわずか! 今回は、第1幕でモンタギュー夫人として登場する二瓶加奈子が、役作り、作品の魅力について語ります。
──いよいよクランコ振付『ロミオとジュリエット』の開幕です。
二瓶加奈子 はい。これから劇場でのリハーサルに入ります。
──二瓶さんはノイマイヤー版『ロミオとジュリエット』も経験されていますね。
二瓶 そうなんです。あれから何年経ちました? 2014年だったから──。
──8年、ですね。
二瓶 そんなでした!? でも当時のことはよく覚えています。その直前が海外公演で、ギリシャで子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』を上演して、帰国したらもうお正月でしたが、時差ボケのままリハーサルにのぞみました。年明け早々、3人の指導者がいらして、最終的にはノイマイヤーさんご自身もいらっしゃいました。あの時は、あらかじめ映像を見ての予習はしないようにと言われていたので、その分、集中して取り組むことができたように記憶しています。
──この時に演じられたのは?
二瓶 ジュリエットのいとこの、エミーリアという役です。
──タオル一枚巻いただけのお風呂上がりの姿で登場して、ジュリエットとともにはしゃぐ様子がとても印象的でした。
二瓶 (笑)。しかも私はシングル・キャストでしたから、4日間、エミーリアを演じました。今回はいくつかの役柄を演じる予定ですが、その一つが第3幕、ジュリエットの寝室でジュリエットを起こしにやってくる女性たち──百合の乙女たちです。今回あらためて、この場面の音楽がノイマイヤー版では舞踏会の場面に使われていたことに気づきました。舞踏会の、ジュリエットとジュリエットのいとこたちの踊りです。プロコフィエフの同じ音楽を使いながら、クランコ版とノイマイヤー版とでは組み立て方に少し違いがあるということが実感できました。
──第1幕ではモンタギュー夫人を演じます。
二瓶 キャピュレット夫人と火花を散らしています! 私なりにいろいろ調べたり考えたりしたのですが、パッと見はすごく強そうな女性ですけれど、本当は平和をのぞんでいる人だと捉えています。敵対するキャピュレット家の人々を前に、ただ「やれ!」と言うだけでなく、「もうこんなことはやめにしましょう」という思いを胸に抱いているんです。モンタギュー夫人の出番自体はとても短いので、どこまでお伝えできるかどうかはわからないけれど、そんな彼女の思いを少しでも伝えられたらなと思って取り組んでいます。
『ロミオとジュリエット』第1幕のリハーサルより。
右はキャピュレット夫人役の奈良春夏。
photo: Shoko Matsuhashi
──別の日程では第2幕のジプシーも演じます。作品全体を見て、どんなことを感じられていますか。
二瓶 ノイマイヤー版もクランコ版も素晴らしい作品ですね。全体的に、クランコ版のほうがよりわかりやすいというか、シンプルな印象があります。だからこそ、それぞれが余計なことを付け加えすぎたり、味付けをしすぎたりするのは違うのかな、と思いますし、振付家の気持ちがたっぷりと入っている作品だと感じています。ダンサーたちは、自分のことにあてはめて考えて役作りをしている人もいるし、『ロミオとジュリエット』に関連するいろんな動画を見ている人もいます。私もバレエの動画だけでなく、ミュージカル版の『ロミオとジュリエット』なども参考にして、イメージを膨らませています。
──とても楽しみです! さて、『ロミジュリ』の1カ月後には『ドン・キホーテ』公演、さらに7月には『ベジャール・ガラ』、それから〈HOPE JAPAN 2022〉のツアーが待っていますね。
二瓶 『ドン・キホーテ』はまだ詳しい配役が発表されていませんが、さらに充実した舞台をお届けできたらと思います。〈HOPE JAPAN〉では、昨年に引き続き、ベジャールの『ギリシャの踊り』『ボレロ』と『パキータ』を上演しますが、今回も『パキータ』の主役を踊らせてもらうことになっています。高崎、八戸、富士の3公演の予定です。
──これぞ古典バレエ、というべき華やかさが人気ですね。
二瓶 2017年の夏からたびたび踊らせてもらっていて、最初はとにかくがむしゃらに踊っていたけれど、だんだんいろいろと見えてきて、考えれば考えるほど難しい作品だと思うようになりました。このバレエはとてもアカデミックで、動きもとてもシンプル。そのシンプルな動きの中で存在感を出していくことが求められるんです。主役としての存在感を出さなきゃと意識しすぎると、逆に行き詰まってしまうし、ストーリーを感じさせる部分はあってもドラマティックな踊りとはまた違いますから、難しいところです。
『パキータ』より photo: Kiyonori Hasegawa
──とくに、主役によるヴァリエーションは大きな見せ場になりますね。
二瓶 ヴァリエーションだけを見ても、その中に起承転結というか、盛り上がりがあります。いろんな性格が表現されるとともに、テクニックもしっかりある。つまらなく踊ってしまったら、本当にただ長くてつまらない踊りになってしまう。そこがまさに踊り手の問題といえます。
実際のところ私も、舞台で踊っていて、"入る"瞬間、というのがあるんですよね。
──作品の世界へ?
二瓶 そう! 「こうしなきゃ」「ああしなきゃ」と邪念だらけになってしまうとダメなのですが。友佳理さんには、どういうところにいるかイメージして踊ってとアドバイスしてもらいました。
──具体的な場所をイメージする?
二瓶 私の場合は、ヨーロッパのオペラハウスの、あの赤とゴールドの空間が目の前に広がっているつもりで踊る──。あくまでも私の場合は、ですが、いつもそんな空間を頭の中でイメージして踊っています。
今回のパートナーは生方隆之介くん。既にいろんな役を経験しているとても頼もしい若手ですが、私としては"お姉さん"の雰囲気をうっかり出しすぎないよう注意しなければ(笑)!
──公演が続いて慌ただしい日が続きますが、バレリーナとして、健康維持にはいろいろと気を遣うことが多いのでは。
二瓶 そう、ピラティスをしたり鍼に行ったりといろいろ取り組んでいますが、やはり"腸活"が大事かと思います! キャベツが腸にいいって言われているので、キャベツを取り入れたり、バナナジュースやきな粉も意識して摂っていたり。料理は好きで、気に入るとすごく凝るほうなんですよね。いまは、韓国料理にはまっていて、チャプチェやサムギョプサルを作っています。
──サムギョプサルを自宅で!?
二瓶 買いました、サムギョプサル用のお鍋を(笑)。なぜ韓国料理かというと、実は韓国ドラマが好きなんですよね。注目している俳優はチョン・ヘインさん。『ある春の夜に』に出演されていた俳優さんです。ぜひ、見てみてください!
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いま、私がお料理で頻繁に使っているのが、この「のどぐろ出汁塩」。野菜にかけて蒸し野菜にしてもいいし、おにぎりにしてもよいし、とにかくなんでもぐんと美味しくなります! はまりすぎて、実家の両親にも送りました(笑)。(二瓶)