
今回は、6月公演『ドン・キホーテ』にキューピッド役他で出演する工桃子の登場。カラフルな衣裳でダイナミックな技を繰り出すカーニバルのダンサーで大活躍を見せた『ロミオとジュリエット』の舞台も振り返ります!
──クランコ版『ロミオとジュリエット』では大活躍でしたね。
工 桃子 ありがとうございます。カーニバルのダンサー、楽しかったです!
──大技満載の見応えあるシーンでしたが。
工 側転したり、男性に腰を持ってもらってくるっと後ろに回転したりと、普段絶対にやらないような技がたくさん出てきました。ちょっと苦手なものもあって、チャレンジでしたね。実は、苦手を克服しようと練習を重ねる中で少し無理をしてしまい、肋骨のあたりを痛めてしまって、本番に出られるかどうかわからない時期もあったんですよ。
──なんと! 間に合ってよかったですね。
工 1週間以上、痛みが続いて不安でした。リハーサルはできなくて周りの人たちにはもう本当にごめんなさい、という気持ちでしたが、本番数日前、「これなら大丈夫かな」というところまでもってくることができました。パートナーも一緒にいろいろと考えてくれて、最終的には無事に出演できました。本当に嬉しかったです。
クランコ版『ロミオとジュリエット』より。カーニバルのダンサー
(左から海田一成、鈴木理央、ブラウリオ・アルバレス、工桃子、山下湧吾)
photo: Shoko Matsuhashi
──ところであの大技の数々はもともと得意なほうだったのですか。
工 実は側転がとっても苦手でした......。私は上手側で踊っていたのですが、参考にした映像では、客席に背中を向けて側転、つまり、右向きに側転をしていたので、右ならなんとかなるかな、と思って練習していたんです。が、振付指導のジェーン(・ボーン)先生がいらしたら、なんと、逆向きでやるようにと言われてしまって(笑)。練習を繰り返したので本番では成功しましたが、そこはもう勇気を振り絞りました! とにかく、左側転がいちばん緊張しました。
──バレリーナにとっても側転のような技は難しい!?
工 皆がそれぞれアクロバティックな技を繰り出していくシーンがあって、ジェーン先生のリハーサルで「まずはそれぞれできることをやってみて」と促してくださったのですが、私たち女性陣はわりと苦戦しました。私も右向きの側転は思い切りできるんですが左が苦手で──。得意不得意はそれぞれあります。
──充実の舞台でしたね。
工 本当に参加できて良かったと思っています。自分が出ていないシーン、1幕のバルコニーも大好きですし、ラストシーンも本当に素晴らしくて......。クランコに限らず、『ロミオとジュリエット』の舞台を何度も観る機会ってこれまでなかったのですが、こんなに何度も観ても飽きることなく、その都度感情移入できてしまうことがすごいと思います。毎回楽しいし、悲しくなる。
第2幕ではカーニバルのダンサー以外に別日程でタランテラを踊りましたが、『ドン・キホーテ』の広場の場面ともまた少し違って、いろいろと演技を組み立てていくことがとてもよかった。古典作品では、常に動きがバレエらしく、普段の自分自身とは全く違う動き、バレエ的な動きが求められますが、こうしたドラマティックな作品では、もっと人間味を出して演じることができる。いい経験でした。
──そして今は、『ドン・キホーテ』のリハーサル中。キューピッド役はもうすでに何度か踊っています。
工 『子ドン・キ』(子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』)を含めると、今年で三年目です。2020年の緊急事態宣言明けに上演した全幕版の『ドン・キホーテ』でも踊っていますが、この時は小さいキューピッド役の子供たちが出演できなかったので私も登場していないんです。だから結婚式のキューピッドは次が初役、というか初場面(笑)、ですね。
子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』より。
右がキューピッドの工。ドゥルシネア姫役の秋山瑛とともに。
photo: Kiyonori Hasegawa
──冒頭のシーンと、第1幕の夢の場のみの出演だったのでしたね。夢の場のヴァリエーションは、入団前にもすでに経験されていましたか?
工 いえ、『子ドン・キ』で踊ったのが初めてでした。難しいなと思いましたね。まず、体力が続かない。最後のほうは脚がきかなくなりそうに! それに、速い!
──速い!?
工 広場の場面もほかの場面も全部そうですが、東京バレエ団の『ドン・キホーテ』はとにかく速いんです。キューピッドも、こんなに速いキューピッドはほかにないんじゃないかなって思うほど。実は、速くてすっきりとした踊りができないのが私の悩みなんです。いろいろ無駄なところを使って動いてしまう癖があるんです。だから、ポーズの時はここにきて、この時はここに行って、と、一つひとつの動きをしっかり考えて、それをスムーズに繋いでいくことが大事だなって思います。何も考えずに踊ってしまったら、自分がわかりやすいと思うところですべてをやってしまう。流れをしっかりと掴んで、効率的に踊ることが必要なんだなと感じていますが、それが正解なのかどうかもわからないので、今後もしっかり考えながら取り組んでいきたいと思っています。
──今年こそは、結婚式で子どもたちを従えての登場となりますね。
工 子どもたちの中に埋もれてしまわないように気をつけないと。以前子どもたちと共演したとき、背が高めの子がいて、子どもたちの中に埋もれてしまいそうになりました(笑)。
──プロローグで登場するのが独特ですね。
工 プロローグも夢の場もパ・ド・ブレが心配です。細かいところにも気を配って、きれいに見えるように踊れたら! 私といえばキューピッド、と思ってもらえるよう頑張りたいです。でもまだまだ課題もいっぱいあります。つい、「元気いっぱい!」になってしまいがちなのですが、もっともっと柔らかな雰囲気で踊れるようにしたいですね。
──学校公演ではキトリの友人にも取り組みましたね。
工 そうなんです! まだまだ友人のイメージではないかもしれないけれど、今年の夏には『子ドン・キ』のツアーがあるのですが、そこで踊ることになっています。嬉しいです! 学校公演のいわゆる『孫ドン・キ』では1幕の友人のヴァリエーションがないのですが、『子ドン・キ』で初挑戦。本当に嬉くて。全幕版『ドン・キ』も『子ドン・キ』も、頑張ります!
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地元熊本が大好きで、まとまったお休みが取れる時は帰省するのが楽しみ!ゴールデンウィークのお休みの時も帰省して、最近は家族で釣り堀に行くのが恒例に。自然が豊かなところに行くのが大好きです!(工 桃子)