
今回は、先月の『ラ・バヤデール』公演で初めてガムザッティを演じた三雲友里加の登場、役柄への思い、舞台の手応えを語ります。12 月の『くるみ割り人形』への意気込みも!
──初めて演じたガムザッティ、どんな思いで取り組んでいましたか。
三雲友里加 テクニックも演技も難易度が高い役なので最初は不安でいっぱいでしたが、無事、やりきることができました。実は、2018年のオマーン公演の時にガムザッティのアンダースタディに付けていただいたのですが、そのとき私は、第1幕の巫女、ジャンペ(侍女の踊り)のソリストにパ・ダクシオン、さらには第2幕影の王国のソリストとして出演していたので、ガムザッティを学ぶ時間を十分に取ることができませんでした。時間のない中でオルガ先生(振付指導のオルガ・エヴレイノフ氏)にリハーサルを見ていただき、いくつものアドバイスをいただきましたが、まだ、舞台で踊ってお見せできる状態にまで至っていませんでした。
──4年前のことですね。
三雲 その時点では、次に『ラ・バヤデール』を上演するのがいつになるのかわからなかったけれど、今回こうして初めて挑戦させていただくことができ、本当に嬉しく思いました。私が今までやってきた役とは全く違うキャラクターの役柄でしたし、技術的にも、体力的にも、また精神的にもすごく辛い役。幕が開くまでは自分が最後まで踊りきれるか、不安でいっぱいでした。緊張、しましたね。
第1幕パ・ダクシオンより。ソロル役の宮川新大と
photo: Koujiro Yoshikawa
──役作りはどのようにアプローチしていったのですか。
三雲 私はどちらかというと、ゆったりとした踊りの「姫」の役を踊ることが多かった──もちろん、ガムザッティも「姫」ですが、もっとこう、どこか強いところがある。「私も強くやらなきゃ。強く!強く!!」ってずっと思っていて、必死に強く見せようとしていました。他のキャストのリハーサルを見る機会もあって、いろいろと参考にして試してはみたのですが、リハーサルをしていくうちに、無理をしてがむしゃらに強く見せようとするのではなく、いま自分が表現できる強さや気品とはどのようなものか、と取り組むべきなのかなと思うようになり、だんだんと自分なりのガムザッティ像ができあがってきたような気がします。
──いろんな気づきや工夫があったのでは。
三雲 そうですね。今回のフリオさんのリハーサルでは、オルガ先生に教えていただいたときに比べてガムザッティに対する悪女のイメージがより一層明確になりました。ガムザッティはラジャとハイ・ブラーミンがニキヤ殺害について話をしているのを影で聞いていて、ニキヤが殺されることを知っていた──そんなガムザッティの心情を表現するという意識がより強く、はっきりとしたんです。すると、パ・ダクシオンのあと、ニキヤが蛇にかまれて苦しんでいる場面でのガムザッティも、そのことを知っていたからこその反応になりますよね。
──第1幕前半の、ニキヤ役中島映理子さんとの"対決シーン"も印象的でした!
三雲 二人とも雰囲気がちょっと似ているというか、喧嘩してもどうしても優しい雰囲気になってしまう。だから心を鬼にして立ち向かって──(笑)。タイミングとか距離感について、よく話し合いましたが、あとはもう自分の気持ちを大事にしました。実は、今回のニキヤ役の映理子ちゃん、ソロルの(宮川)新大くん、ガムザッティの私、3人ともに初役で、経験者が誰もいなかった! だから皆で試行錯誤しながら、一から演技を練っていったので、毎回のリハーサルがすごく楽しかったです。映理子ちゃんのニキヤも、本当に素晴らしかったし、私も、ガムザッティを踊ることができて本当に幸せでした。
──周囲の反応はいかがでしたか。
三雲 地元の恩師から、私自身の「チャンスとなる、転機となるような舞台だったのでは」とメッセージをいただきました。この役を与えてくれた(斎藤)友佳理さんにも感謝したいです。私にとって今回のガムザッティは新しいチャレンジで、すごく悩むことも多かったのですが、自分のダンサーとしての幅がすごく広がったかなと思います。今回学んだ事をまた次の舞台に生かしていきたいです。
第3幕より。ソロル役宮川新大と
photo: Koujiro Yoshikawa
──そして年末は『くるみ割り人形』。第2幕では今回もスペインとアラビアを踊る予定ですね。
三雲 その予定です。2019年の新制作のときから踊っていますが、最初の頃はスペインを踊っていてもどうしてもアラビアみたいになってしまって(笑)。
──アラビアっぽいスペイン!?
三雲 スペインのあの強さがなかなか出せないんです。でも、スペインに配役されたことはすごく嬉しかったんですよ。こういう役を踊ってみたかった! チャンスが来た!と。──なのに、どこかアラビアみたいになっちゃう(笑)。でも、これもガムザッティと同じで、結局は"自分のスペイン"に落とし込んでいくしかないと思っています。

『くるみ割り人形』より、スペイン。池本祥真と
photo: Kiyonori Hasegawa
──いまの演出になって4年目。全国ツアーも行われます。
三雲 初演から3年経ち、毎年少しずつ振りが変わったり、もちろんダンサーもその年その年で変わったりしてくるので、同じ作品ではありますが毎回違った舞台になると思います。
ダンサーは舞台をたくさん経験することによって、リハーサルなどでは得られない"経験値"が付くと思います。もちろん、慣れすぎてはダメなのですが、いままでやってきた経験に加え、今回はもっと踊り込んで、また去年とは違った私のスペイン、アラビアを、皆さまの前でお届けできればと思います。
全国で皆さまにお会いできるのを楽しみにしています!
前回ブログに登場させていただいたときもご紹介したのですが、セルフでジェルネイルをしています。真ん中のデザインは大好きなレオパード柄を手描きしたもので、最近の自信作です。時々バレエ団の友人にもやってあげるのですが、ネイルしながらお喋りもしてしまって、、プロの方に比べると時間がかかりますが(笑)、その間は好きな音楽──例えば大好きなMrs. GREEN APPLEの曲をかけて盛り上がりながら、楽しみながら、時間をかけて作業しています。バレエ団ではリハーサルなどで忙しく、皆とゆっくり話す時間もないので、すごくリラックスできる時間になります。(三雲友里加)