
あけましておめでとうございます。2023年もクラブ・アッサンブレのブログをどうぞよろしくお願いいたします。新年第一弾は特別企画、伝田陽美×池本祥真のファーストソリスト対談をお届けします。ファーストソリスト同士ならではの、いろんな話題が飛び出します!
──あけましておめでとうございます。
伝田陽美&池本祥真 おめでとうございます。クラブアッサンブレの皆さま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
──そしてあらためて、令和4年度(第77回)文化庁芸術祭大賞受賞、おめでとうございます。対象となったのは、芸術祭参加作品として上演したマカロワ版『ラ・バヤデール』の舞台でした。
伝田 ありがとうございます。『ラ・バヤデール』では、私はガムザッティ役と「影の王国」の第2ヴァリエーションを踊りました。私は3日間の出演でしたが、女性陣は5日間全日踊ったダンサーも多く、体力的にも大変な舞台ではありましたが、本当に「みんなブラボー!」でした。
池本 僕は第1幕のワルツと、終盤のブロンズ像を踊りました。ブロンズの出番はわずか1、2分ですが──。
伝田 急に出てきて急に踊る──一番緊張するパターンですよね。
池本 僕はわりと得意なほうかもしれません(笑)。ブロンズに関しては形がほぼ決まっていて、短い時間の中で自分らしさを出す瞬間がなく不安もありました。そんな中で抗ってもだいたい変なことになるものですが、結果的に自分らしさは自然に出てきていたのかなと思っています。いま振り返ると、楽しく取り組むことができたと思っているんです。
──伝田さんはこれまでにもう何度かガムザッティ役を演じられていますね。
伝田 ですが、今回は新たにフリオさん(フリオ・ボッカ)に振付指導をしていただいたことで、ガムザッティの人物像が少し変化しました。これまでのガムザッティはどちらかというと気の毒な女性で、決して悪者ではなかった。が、フリオさんがいらしてからのガムザッティは違う。父親のラジャとハイ・ブラーミンが話しているのを影で聞いていて、ニキヤが殺されると知っていた。だから強気なんですよね。ニキヤが蛇にかまれたときも、「やだ、怖い!」とソロルに寄り添いながら動揺するフリをして、一瞬、客席にだけ見える角度で冷淡な表情を見せるんです。以前の純粋なガムザッティも好きですが、この強気なガムザッティも好きでした。
『ラ・バヤデール』第1幕より。ガムザッティ役の伝田陽美とソロル役の柄本弾
photo: Koujiro Yoshikawa
──『ラ・バヤデール』は10月の公演でした。昨年のその他の公演についても振り返ってみると、たとえば夏の〈ベジャール・ガラ〉。ファーストソリストのお二人がともに新たな作品に挑戦されていたのが印象的でした!
伝田 私は〈ベジャール・ガラ〉でバレエ団に入ってからずっと憧れだった『バクチIII』を初めて踊りました。踊ったのは2日目だけでしたが、私と宮川新大くんに合っていたなと思っているんです。
池本 確かに似合っていたと思います。陽美さんはもともとのバレエの巧さ、フィジカルの強さ、存在感も特別ですから何をやっても素晴らしいけれど、こういうエキゾティックで個性的な踊りだと際立ってカッコいいですよね。
伝田 でも、リハーサルではいろいろと苦労しました。とにかく音がよくわからなくてタイミングがとれない。教えてくださいと(斎藤)友佳理さん、(上野)水香さんにたずねると、「ココよ、ココ」と言ってくれるのですが、それがわからなくて、、、「それはどこ?」という感じに(笑)。
〈ベジャール・ガラ〉ベジャール振付『バクチIII』より。伝田陽美、宮川新大
photo: Koujiro Yoshikawa
〈ベジャール・ガラ〉ベジャール振付『火の鳥』より。池本祥真
photo: Kiyonori Hasegawa
池本 "ベジャールあるある"ですね。『M』でも「この"ピューン"って音くらいまでにこうして」と教えられたりするのですが、最初は何だかよくわからない。でもベジャールさんの振付のすごいところは、だんだんそのタイミングがわかってきてハマってくると、もうその音でやる以外はありえない!と感じるようになる時がくるんです。
伝田 祥真くんの『火の鳥』も本当、素晴らしかった。私もパルチザンとして参加して微力ながらも支えることができるよう尽くしました。終盤、瀕死の状態になる頃には、祥真くんの苦しそうな呼吸の音が響き渡っていましたが、あれも一つの演出として捉えられましたよね。
池本 (指導者の小林)十市さんには、「それは隠さなくていい」と言われていました。踊っているときには必死でしたからあまり考えが及ばなかったのですが、踊り終えてあらためてこの作品のテーマ──戦いとか、再生といったことについて考えてみると、それは別に相手があってのことではなく、戦うということ、挑み続けるということ自体に意味があるのではと感じたんです。だから僕がどんなにしんどそうな踊りを踊ったとしても、そこにフェニックスが来て再生することで、観ている方々の心を動かす──。いま、振り返るとそう思えてくるんです。勝つとか負けるとかではなく、挑み続けることが大事なんだなと。
伝田 そんな作品だからこそ、バレエを観たことのない方も楽しんでいただけるのではないかと思うんですよね。また上演の機会があったら嬉しいです。
池本 できるだけ早めにやってくれないと、あんなハードな作品は踊れなくなっちゃいますから(笑)。
──その後は〈HOEP JAPAN 2022〉でツアー、続いて子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』のツアーもありました。
伝田 本当に皆、この忙しい中でいつ練習しているのかって思います。ただ、『ドン・キホーテの夢』は頻繁に上演しているので身体に入っている! 皆、本当にすごいです。
池本 身体に入っているからこそ、急に欲が出てきて、「もうちょっと!」と、練習していないようなことをやろうとすると、うまくいかなかったりします。練習って大事だなと思います。
伝田 そう。練習大事、なんだけど、私、これだけやってもまだ、毎回新鮮な気持ちで踊れます!
池本 すごい(笑)!
伝田 舞台に出る前、私はどうしてもナーバスになりがちで「うぁ~大丈夫かな...」「でもお客さまに喜んでいただきたいし」って思っているんですけど、いざ本番が始まると、「たーららった〜」で「ビシッ!」(笑)。完全に入っていけます。でも、踊る前は本当に不安です。
──さて、そんなお二方ですが、2023年もいろいろと新しいチャレンジがあると思います。そのうちの一つが、金森穣さんの『かぐや姫』。4月の第2幕の初演、10月には全3幕の上演が予定されていますが、昨年10月の後半には金森さんがいらして第2幕のリハーサルが行われましたね。伝田さんは宮廷の教育係である秋見役、池本さんは4人の大臣、それから帝の第2キャストでもあります。
池本 10月のリハーサルで、第2幕はとりあえずの形ができました。第1幕に出ていなかった僕は金森さんのクリエーションは初めての体験だったのですが、金森さんが何を求めていらっしゃるのか探りながら、という感じでしたね。
伝田 お互いに探り合う感じもありました。
池本 クリエーションの場で変なことやってしまったら失礼かなと思っていたのだけれど(笑)、こちらからももっといろいろ提示すべきだったかもしれません。春のリハーサルではさらに"金森メソッド"を体験できたらなと思っています。2019年に勅使川原三郎さんのクリエーションも体験させてもらっていますが、本当に振付家によってやり方は違うんだなと実感しました。
『かぐや姫』第2幕リハーサルより photo: Shoko Matsuhashi
──では最後......2023年、お二人はどんな年にしたいですか。
伝田 とにかく、怪我なく健康に過ごしていきたいですね。クラブアッサンブレの皆さまも、健康に気をつけて劇場に足を運んでいただけたらと思います。
池本 僕も健康第一。かつ、向上心を忘れずに頑張らないといけないなと思っています。陽美さんは本当にすごいんですよ。練習する姿勢が! これだけ経験を積んでファーストソリストとしてやってきたら、まあ大丈夫大丈夫ってなってもおかしくないと思うんですよ。それなのに『ドン・キホーテの夢』とか、もうめちゃくちゃ練習しますから! これはもう見習いたいです。
伝田 いや、それはもうただの不安からです。報われないときもあるかもしれないけれど、「やっておけばよかった!」とならないように、できるだけのことはしたいですよね。サボりたくなるときもあります。重たい役、難しい役に取り組むとき、ストレスを感じることもあります。でも、「あの先輩、なんでファーストソリストやってんのかな」って思われないように頑張りたいと思っているんです。。
池本 僕らファーストソリストは、主役もやるし、ソリスト役も、そうでない役もやる、という立場ですから、どれもできる美味しさもあり(笑)、メインの役柄もプレッシャーなくできる。
伝田 そう。実は、居心地の良さもある。ソリスト役に対して友佳理さんはよく「周りに火をつけて!」って言いますよね。
池本 そう! 陽美さんはそういう役割をものすごく担えるダンサーだし、キャラクターの役でも主役でも舞台に花が咲くというか、光をあてることができるダンサーですよね。
伝田 そんなふうに思っていただけてありがたいです。祥真くんも踊り出すとみんなを釘付けにする華を持ってますよね。普段の時と踊っている時、別人のようです(笑)
池本 というわけで、僕もファーストソリストとしての役割をしっかり果たせるように、今年も日々、頑張りたいと思います。
伝田 どうぞよろしくお願いいたします!