
いま、〈上野水香オン・ステージ〉全国公演を控え、リハーサルに励んでいる上野水香。上演作品や共演者のことなど、いまの思いをたっぷり語ります!
──4月末の〈上野の森バレエホリデイ〉では恒例のクロストークに登場、宝塚歌劇団星組トップスターで女優の柚希礼音さん、國學院大學助教で元フィギュアスケート日本代表の町田樹さんとの興味深いトークを展開しましたね。
上野水香 柚希礼音さんとは、2016年にNHKの「SWITCHインタビュー 達人たち」の対談で出会って以来、親しくさせていただいてきました。その後彼女のソロコンサート〈REON JACK 2〉〈REON JACK 4〉で共演する機会もいただいたのですが、こうして皆さんの前に出て二人でお話しするのは初めてでしたから、新鮮でした! 宝塚でずっと男役をされてきた方ですが、深く話をしてみるととても女性らしくて、でもその中に男性的な部分もあるので、いつもしっかりリードしてもらっている感じです。実は私のほうが年上なんですけど(笑)。
──お互いにリスペクトされていることがとてもよく伝わってくるトークでした。そして町田さんとのトークはこれが4回目でしたね。
上野 最初の2回はオンラインでの対談、そして昨年の〈バレエホリデイ〉でようやくリアルでの開催が実現しました。
──毎回、話題が尽きないですね。
上野 そろそろ尽きそうだから「次は踊ります」とおっしゃっています(笑)。振付けることが本当にお好きで、音楽もコレと決めたものがあって、彼の先生の高岸直樹さんにも出ていただきましょうとも! 町田さんはそれくらい、バレエに一生懸命取り組んでいらっしゃるんです。とても感性が豊かな方なんですよね。
──ポケットから指環のケースを取り出して、水香さんにプロポーズされるのかと思ったら、ご自分のグッズのアピールだったという場面も。
上野 ご自分で突っ込んでいらっしゃいました(笑)。
こうした異ジャンルのアーティストの方とお話しするのは本当に楽しいです。ジャンルが違っていてもすごく繋がっているなと感じます。身体や音楽のことなど、踏み込んだ話ができるだけでなく、バレエダンサーとは少し違う観点だったり切り口だったりが出てきて、それがすごく興味深いんです。だから対談でいろんな方からお話しを伺うのは楽しくて好きですね。機会があれば、これからもいろんな方とお話しできたら嬉しいですね。
──さて、いまは6月中旬の〈上野水香オン・ステージ〉の川口公演、岡山公演のリハーサルが進んでいますね。
上野 いまはこの公演に向けて全力投球です。今回私が踊るのは、前回と同じく『シャブリエ・ダンス』と『ボレロ』、それからブラウ(ブラウリオ・アルバレス)が振付けた『黒い瞳』に、『眠れる森の美女』のグラン・パ・ド・ドゥです。
──『眠れる森の美女』はゲストの方と?
上野 元英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパルの厚地康雄さんです。厚地さんとは、2021年の年末に、神奈川県民ホールで開催された〈ファンタスティック・ガラコンサート2021〉に出演した時に初めてパートナーを組みました。この時も実は『眠れる森の美女』のグラン・パ・ド・ドゥを踊ったのですが、二人とも理想とするものが一致していると感じました。そこにもっていきたい、ここで見せたい、というところが根本的に同じで、多少違うところがあっても、お互いに擦り合わせていきますが、決して無理することなく、一緒に作品に入っていけるという感覚がありました。あとは何よりも、見た目がとても"王子"! そういう意味でも『眠れる森の美女』にはぴったりのダンサーだと思います。
2021年の〈ファンタスティック・ガラコンサート〉より『眠れる森の美女』のグラン・パ・ド・ドゥ パートナーは厚地康雄
photo: 神奈川県民ホール / Kiyonori Hasegawa
──昨年の〈ファンタスティック・ガラコンサート〉でもパートナーを組まれて、この時はジョゼ・マルティネス振付の『ドリーブ組曲』を踊られました。
上野 厚地さんにとっては初めての作品なので、私が伝えていく部分もあったのですが、この踊りがとても似合うという印象があって、すっと作品に馴染んでいかれたんですよね。彼は英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団で活躍されていたので、基本は英国のスタイルですが、実はフランスのスタイルもすごく似合う方だなと感じましたね。
──ローラン・プティの『シャブリエ・ダンス』も厚地さんと組まれますね。
上野 そうなんです。指導者のルイジ・ボニーノさんがすんなりOKを出してくださって! 先日のリモートでのリハーサルを見ていただいたのですが、ほとんどダメ出しがなく、「彼、いいね」と言って喜んでくれました。なので、いい形で舞台に上げることができたらなと思っているんです。
2月の〈上野水香オン・ステージ〉より、『シャブリエ・ダンス』
パートナーは柄本 弾
photo: Shoko Matsuhashi
──『黒い瞳』はどんな作品ですか。
上野 これも以前、〈ファンタスティック・ガラコンサート〉でブラウと一緒に踊った作品です。ちょっと大人っぽい印象のパ・ド・ドゥです。それも私の個性の一つですし、こうしていろんな作品を踊ることでコントラストが出せますよね。〈上野水香オン・ステージ〉では、私の多面的なところをもっと打ち出していきたいと思っているんです。
──水香さんのいろんな魅力が詰まった公演になりますね。
上野 これまでにいろんなガラ公演に出演させていただく機会をいただいてきましたが、実は私、ピンポイントでわーっと自分を出せるタイプではないんです。全幕作品や、こうして何作かを踊って、私のさまざまな面をじっくり見ていただくほうが自分には合っていると感じているんです。だからこうして〈オン・ステージ〉のような舞台ができるのはとても嬉しく思います。
──もちろん、ベジャールの『ボレロ』も欠かせません。
上野 プティ作品とベジャール作品は、私のキャリアに欠かせないものですよね。『ボレロ』はこれまで長く踊らせてもらってきたけれど、今、踊るべき作品であるとも感じます。いろいろと経験を積んだいま、ダンサーとしてのバランスがいい形で取れるようになってきたと自分でも感じます。4月からゲスト・プリンシパルとして活動させていただいていますが、『ボレロ』もクラシックの作品も、いまこそ舞台に立って、みなさんにお届けしたいと実感しています。
2月の〈上野水香オン・ステージ〉より、『ボレロ』
photo: Shoko Matsuhashi
──今回はまた、東京バレエ団のプリンシパル、ソリストたちの活躍も注目していただきたいですね。
上野 そうなんです。前回は『白鳥の湖』の2幕を上演して、東京バレエ団のコール・ドの美しさを堪能していただいたのですが、今回はパ・ド・ドゥ作品を中心に、プリンシパル、ソリストたちの魅力を前面に出していくプログラムになっています。ダンサーたちには、生き生きと自分らしさを発揮してもらいたい。お客さまにも、東京バレエ団の魅力たっぷりと味わっていただきたいと思っています。
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休みの日は疲れてぼーっとして時間が過ぎてしまって、という日もあるけれど、やっぱりドライブは楽しいですね。先月の連休の時には妹と一緒に伊豆の九十浜に行ってきました。海がとてもきれいで、癒やされました!