
今回登場の橋谷美香は、去年9月に入団したニューフェイス。研究生として活動したのち、この4月にアーティストに昇進した彼女に、これまでのこと、未来のことなどいろいろ聞きました!
──ブログ初登場ですね。少し自己紹介をお願いします。出身はどちらですか?
橋谷美香 よろしくお願いいたします。出身は岡山県です。5歳でバレエを始めました。高校にあがってから「コンクールに挑戦してみたい」と、YAGPのアンサンブル部門に挑戦させてもらったのですが、その時、他の参加者のレベルが全然違うのに驚いて、プロへの憧れはあるけれど、いまの私のレベルではとてもダメだなと感じて、その後、週末だけ大阪の教室に通うようになったんです。ここからまたコンクールに挑戦して、なんとかスカラシップをもらえたらなと思って取り組んでいました。
──その後またコンクールに挑戦して、スカラシップを得て海外へ?
橋谷 シカゴのジョフリー・バレエのスクールに留学し、そこで2年間学びました。現地では古典以外にもいろんなレパートリーを経験することができました。たとえばバランシンの『フー・ケアーズ?』。スタジオ・パフォーマンスでも踊ることができました。古典では、ジョフリー・バレエの『くるみ割り人形』公演に参加する機会もあったんです。ジョフリーの『くるみ』はクリストファー・ウィールドンのヴァージョンで、とてもゴージャス。このヴァージョンを観て初めて『くるみ』ってすごくいいなって思うように。とてもいい経験になりました。
それで、この先ももっと頑張りたくていろいろと活動していたのですが、そうこうしているうちにコロナ禍に突入してしまって、2021年の春に帰国しました。
──プロとしてやっていこうという意志は変わりなく?
橋谷 そうですね。でも実は少し、別の活動に取り組む時期もありました。私は高校がピアノ専攻だったので、留学が叶わなかったら音大への進学も視野に入れていました。そんなこともあって、バレエ以外のことにもいろいろと興味を持って学びたいという姿勢でいたんです。帰国してからもずっとバレエに真剣に取り組んでいましたが、一度立ち止まって外の世界を見てみたいと思い、ミス・ワールド・ジャパンに挑戦したんです。結果、大阪代表に選んでいただき、本当にいろんな体験をさせていただきました。たとえば自衛隊の駐屯地を訪問して、制服を着たり、ヘリコプターに乗せていただいたり。SDGsについてプレゼンテーションする場面もあって、いろんな人に話を伺ったり、資料を取り寄せて勉強したり、スライドを作ったりも! バレエも続けながらなので大変でしたが、いい経験ができたのではないかと思います。
──その後、東京バレエ団のオーディションを?
橋谷 日本で踊るなら東京バレエ団で、という思いがありました。地元にいながら観ることができるバレエ公演って、東京バレエ団以外はそんなに多くなくて、とくに東京バレエ団は、シルヴィ・ギエムさんのツアーで来てくれたのが印象的でした。ギエムが大好きだったので!
──今日のそのTシャツ!
橋谷 2015年のギエムさんのファイナル・ツアーの時のです! これ買うとサインを貰えるというので購入して(笑)、サインをもらうために並びました。握手もしてもらって!! 彼女の『ボレロ』は素晴らしかったですし、東京バレエ団の『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』もカッコよかったのをすごくよく覚えています。
水香さん(上野水香)主演の『白鳥の湖』を観たこともあります。当時はもうコール・ドの美しさとかに気づけなかったくらい、水香さんしか見えていませんでしたが(笑)。
──では帰国後、東京バレエ団の門を叩くのは自然なことだったんですね。
橋谷 ですが、オーディションに応募したものの、直後に怪我をしてしまって諦めたという経緯があるんです。それで、怪我が落ち着いてきた頃に再度プライベート・オーディションでチャレンジをさせてもらって、9月に入団となりました。当初から、年度が変わるまでの半年間はまず研究生、その後アーティストになれるよう頑張って、と言われて少しプレッシャーもありましたが、前向きに取り組みました。
──初舞台は?
橋谷 昨年10月の『ラ・バヤデール』ですが、まだ踊る役にはついていないので、初舞台とはいえないかもしれません。やはり、東京バレエ団のコール・ドに加わったなって思えたのは、〈上野水香オン・ステージ〉の時です。
──『白鳥の湖』の第2幕ですね。
橋谷 立ち位置がすごく細かく決められていて戸惑いました。しかもこの時は、前後の演目の関係でリノリウムの敷き方がいつもと違っていて、立ち位置の基準にしていたポイントが変わってしまったそうなんです。先輩たちでさえ戸惑う中で、全く初めての私は本当にワケもわからず、でした......。
──5月の『ジゼル』も経験されましたね。
橋谷 第2幕のコール・ドで整列する場面ではいきなり列の先頭だったので、初日の緊張感といったら! 被っていたベールが私だけうまく外れなかったらどうしようと、ドキドキでした。後ろに並ぶ人は前の人に合わせて動くわけですから、私が毎回ちゃんと動かないとその列がバラバラになってしまう。プレッシャーでした。でも、あのコール・ドの一員となって踊ることができて、本当に嬉しかったです。
──これからも次々と新しい作品に挑戦することになりますね。
橋谷 古典もですが、できたら、ベジャール作品やノイマイヤー作品も踊ってみたいんです。そういった作品を踊らせてもらうためには、もっともっと頑張らないと。とくに、表現力と強さ──ですね。
──強さ!
橋谷 実は入団後、少し体調を崩してしまった時期があったんです。入る前までは自分も強いつもりでいたのですが──。精神的にも身体的にも、ブレることなく、その強さを維持できるのがプロなんですよね。表現力については、たとえば、『くるみ割り人形』の客人。リハーサルではマスクをしたままなので、私は余計に表現が伝わらず、目が死んでいる(笑)、とよく注意されました。課題ですよね。(佐野)志織先生もよく、「ジャンプとか回転とかができればいいわけじゃないの」と言われます。表現力がなければ、東京バレエ団ではやっていけないと実感しています。これからいろいろ経験を積んで、いろんな作品を踊れるように頑張っていきたいですね。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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岡山に帰省するとやはりホッとします。左上は古民家カフェで撮影した1枚。可愛い食器、大好きです。左下は実家での1枚。花も大好きです。右は、祖父母と母と一緒に山に行った時に見つけた滝。自然に癒されてきました!