
11月11日(土)に開幕した新制作『眠れる森の美女』。長谷川琴音は、第3幕でフロリナ王女役として登場(17日)。初役への思い、意気込みや作品の見どころについて、たっぷりと語ります!
──新制作『眠れる森の美女』でフロリナ王女に初めて挑戦、配役されたときの気持ちは?
長谷川琴音 初"グラン"── 、舞台で初めて男性と組んでグラン・パ・ド・ドゥを踊ります。フロリナ王女は、どちらかというと可愛らしいイメージなので、「え? 私が?」「私、そんなキャラだったのかな」と思ってしまいました(笑)。
──『子ねむり』(子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』)ではフロリナ王女は踊っていないんですね。
長谷川 アンダーにもついていませんでした。実はフロリナは少しだけ経験があって、中学生のとき、地元の教室の発表会で初めて男性と組んでグラン・パ・ド・ドゥを踊ったのが、このパ・ド・ドゥでした。当時は、二人で組んで踊るのって難しい、と思いながら、ほとんどノリだけで踊り切った記憶があります(笑)。今回リハーサルを始めてみたら、中学生のときの感覚が少し残っていました。
──今回のパートナーは?
長谷川 卓さん(大塚卓)です。卓さんのおかげで安心して踊れます。私がどこに跳んでいっても、どうにかしてくれるんです! 友佳理さんには、技術的なことよりもむしろ、表現に関するアドバイスを多くもらったように思います。
「眠れる森の美女」第3幕よりフロリナ王女
photo: Shoko Matsuhashi
──たとえばどんな?
長谷川 そうですね......。フロリナは、鳥ではない。
──あ、前回もそんな話題が(笑)。
長谷川 私、フロリナも鳥だと思っていたかもしれないんですけれど(笑)、友佳理さんにはもとのペローの童話の「青い鳥」のお話もしっかり教えてもらいました。青い鳥はもともと人間で、フロリナ王女と恋に落ちるのだけれど、フロリナの継母の悪だくみで鳥に姿を変えられてしまう。鳥になって言葉が話せなくなっても、フロリナは彼に毎日餌をあげて、さえずりに耳を傾けたりしている。でも青い鳥は最後には人間に戻ることができて、ハッピーエンドになるそうです。音楽についてもしっかり理解して踊るようにと、楽譜を見せてもらいました。
──楽譜を?
長谷川 全部、音が表現しているということを教えてもらいました。たとえばアダージオの冒頭のあの有名なメロディ。楽譜を見ると同じメロディが追いかけっこしているのが視覚的にもよくわかりますが、その音の通りに、青い鳥とフロリナの踊りも追いかけっこするように踊るんですよね。
『かぐや姫』を振付けられた金森穣さんも、「すべて音楽なんだ」とおっしゃっていましたが、中学生の私に教えてあげたいです。あの頃は足を上げる!回る!ということしかやっていませんでしたから(笑)。
「眠れる森の美女」第3幕よりフロリナ王女
photo: Shoko Matsuhashi
──初めてのグラン・パ・ド・ドゥ、プレッシャーは感じていますか。
長谷川 実は、プレッシャーはそれほどないんです。踊っていて楽しいですし、むしろ伸び伸びと(笑)。最近流行りの性格診断をやってみたら、「エンターテイナー」って出たんです。どうやら楽しいことが大好きで、楽観的で直感型ということなんですが、何度やってもそう出る(笑)! 確かに、お客さまの前で踊るのって楽しいんです。
もちろん緊張はします。とくにリハーサルは本当に緊張します。皆が見ているし、先生も近いですし。でも舞台で、お客さまの前では楽しく踊ることができます。だからフロリナも、技術ばかりにとらわれずに、「青い鳥」の物語の雰囲気をしっかりと伝えられる踊りをお見せしたいと思っているんです。
──『眠れる森の美女』のあとは『かぐや姫』の新潟公演があって、その後は恒例の『くるみ割り人形』ですね。
長谷川 今回、私2つの初役にチャレンジする予定なんです。マーシャの弟のフリッツと、ディヴェルティスマンのフランスです。1幕ではこれまでパーティーに来た男の子の一人を演じていたので、年少のフリッツも演技で幼い男の子の感じを出していけたら、と思っています。フランスは──これもフロリナと同じように可愛らしい雰囲気の踊りなので、意外な感じがしているんです。自分にはそういった姫のような雰囲気はないなと思っているので。
──可愛らしい役が続きますが、自分ではもっと強い性格の踊りのほうが合っているのでは、と?
長谷川 そうなんです。実は、なのですが、年明け、学校公演での子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』でキトリを踊らせてもらう予定なんです。
──初主演ですね! 監督からはどんなふうに話があったのですか。
長谷川 キトリ役をやると聞いたのは夏でしたが、初めてのことなので、直前に知ったら心配でしょう、と早めに教えてくださったようです。どちらかというとコツコツ練習しないとできないタイプなので。キトリのキャラは、私そのままで、少しやんちゃな感じでいけるのかなと思っているのですが(笑)、あとは友佳理さんにアドバイスをいただきながら考えていきたいと思っています。
──来年は飛躍の年になりそうですね。
長谷川 金森穣さんがおっしゃっていたことなのですが、舞台の真ん中でなく、周りにいるときも、コール・ドとしているときも、自分はこの役として、何を思ってこうしているのか、誰に対してどういう気持ちで動いているのかということを、しっかり意識していなければいけなといと感じています。それは友佳理さんもいつも言われていることです。お客さまには伝わってしまうと思うんですよね。あの人、顔だけで演技しているなって──。ちゃんと感情で動いているかどうかが大事だと思うし、どの作品でもそういう気持ちでのぞみたいと思っています。来年は『ロミオとジュリエット』も、久しぶりにベジャールの『ザ・カブキ』も上演しますから、どんな役で関わるかはわかりませんが、もっと内面を表現できるダンサーになれたらって思います。
──『ザ・カブキ』が楽しみですね。これまでに経験は?
長谷川 実は、2019年の海外公演で参加してはいるのですが、討ち入りの四十七士、つまりエキストラだったので、本格的な初挑戦になればなって思っています。
\本番前にみんなで/
第2キャストの妖精達みんなで心を一つに頑張ろうと円陣を組みました!
みんなの顔を見ると緊張もほぐれます。