
今回のブログは、最近、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』でキトリの友人役ほか、さまざまな役柄で活躍している工桃子の登場。昨年のいろんなチャレンジや今後のこと、いろいろ聞きました。
──最近は、『子ドン・キ』(子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』)でキトリの友人役をよく踊っていますね。
工 桃子 前回このブログに登場させてもらった頃はまだ、『孫ドン・キ』(学校公演ヴァージョン)でしか友人を踊ったことがなかったのですが、その後『子ドン・キ』版の友人に初挑戦して、先日の京都公演でも踊っています。さらに今度の〈上野水香オン・ステージ〉では、全幕ヴァージョンの結婚式の場面で友人役にも挑戦します。
──『孫ドン・キ』は上演時間をギュッとコンパクトにしている分、広場での友人のヴァリエーションはないんでしたね。『子ドン・キ』で初めて踊った広場のヴァリエーションはいかがでしたか。
工 回転技が多いんです。あまり得意ではないので必死で乗り切りました。とくに今回は1月に『くるみ割り人形』が1公演だけあって、その後『孫ドン・キ』の学校公演があって、そこからの『子ドン・キ』京都公演。一度舞台で踊ったとはいえ、このまま充分にリハーサルすることなく再挑戦することになるのかな、と思っていたのですが、『孫ドン・キ』上演中の空き時間に友佳理さん(斎藤友佳理芸術監督)に見ていただくことができました!
──監督からはどんなアドバイスをもらいましたか。
工 ほとんど練習できていない状態で、しかも回転が苦手ですから、何も考えずにやったら大変なことになるのはわかっていて......友佳理さんと志織先生(バレエ・ミストレスの佐野志織)に、その改善ためにすべきことをしっかり教えてもらったんです。「プリエが足りていない」「もっと足首の力を抜いて」など、いろいろ指摘してもらいました。
子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』キトリの友人。
右は安西くるみ。
photo: Shoko Matsuhashi
──技術的なことが一歩前進したことで、より演技に集中できるようになったのでは。
工 毎回、違うんですよね。もちろん、キトリが違えばまた変わります。私は涌田美紀さんのキトリ、安西くるみさんのもう一人の友人で一緒に踊ることが多く、先日の京都公演もそうでした。バレエ団で一番小さいワン、ツー、スリーが揃う──周りで見てくれている人たちも、この友人たち豆みたいでカワイイって言ってくれるんです(笑)。同期の長谷川琴音が『孫ドン・キ』でキトリを踊ったときに友人役をやらせてもらったことも、すごく楽しかったです。そう、エスパーダが違うとまた違ってきますよね。
──広場の場面ではエスパーダと結構からみますね。
工 エスパーダが出てくるとき、キトリの友人たちは舞台の一番前にいるので、そこはいろいろ演技しないといけないんです。エスパーダから視線をもらって(笑)、「きゃーっ!」て自分からぐいぐい行くか、そんなに積極的に行かないでもう一人の友人に「行きなよ!」とするか、どう反応するか少し様子を見ながら演技しています。京都公演のときは大塚卓くんがエスパーダでしたが、この日は私が行きました(笑)!
子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』より。
中央は池本祥真。
──今度の〈上野水香オン・ステージ〉で抜粋上演するのは、キトリとバジルの結婚式の場面ですね。
工 こちらは演技というより、踊り、です。私は ヴァリエーション2──ピンクのチュチュのほうです。また、回転の多い踊りで......。回るだけでなく跳ぶところも多いヴァリエーションなので、結構振りが詰まっている印象ですが、広場の場面のキャラとは全然違う見せ方をしないといけません。可愛くというより、もっとエレガントに。そこはちょっと頑張っていきたいです。リハーサルが本格化するまである程度のところまで頑張って、「踊らせるわけにいかない」と言われないようにしなければ、です。
──11月の新制作『眠れる森の美女』でも、新しい役に取り組んでいたのでは?
工 妖精に挑戦しました。カナリヤ(遊び心)です。難しい踊りでした。私の場合、上半身が脚の動きに間に合わなくて苦労する部分があって、いろいろ工夫しながら練習を重ねました。30秒くらいのヴァリエーションなので、気づいたら終わっている──。舞台に出てしまえばあっという間のことですが、それまでは大変でしたね。リハーサルが始まった頃は「どうしよう......」という感じでした。
──どんなことが不安でしたか。
工 第1キャストに比べると、第2キャスト、第3キャストのダンサーたちは、全体リハーサルで踊る回数は少ないのが普通です。なので、妖精役で初めて舞台に出た日は、緊張がすごかったですね。でも、それはほかの皆も同じで、「頑張ろうね!」と励まし合ってのぞみました。「皆同じ気持ちだからちょっと安心だよね」って。一人だったらちょっと心細かったはずです。
2023年新制作『眠れる森の美女』より。一番左のカップルの女性がカナリヤを踊る工 桃子。
photo: Shoko Matsuhashi
──新しい踊り、新しい役柄にチャレンジする機会はどんどん増えていますね。
工 そうなんです。去年は『ジゼル』のパ・ド・ユイットにも挑戦しています。海外公演では11公演中8公演、踊ることができました。とにかく8回、やり遂げました。『ジゼル』初参加のときは周りからパ・ド・ユイットを見る立場。村娘の雰囲気はすごく好きなので、楽しそうだなと思っていたんです。なのですが、やっぱり最後に回転技が出てくるんです(笑)。しかも、最後の最後に。でも、大きな失敗なく、楽しめたかなと思います。
『ジゼル』パ・ド・ユイットより。左から二番目が工。
photo: Koujiro Yoshikawa
──真摯に取り組みながら、楽しむことも大切ですね。
工 確かに、できた!と思えるときは楽しいですね。自分の嫌な部分は鏡で見えてしまうけれど、自分なりに何かできたなと思えるときは気持ちいい、ですね。でも、それが毎回できるわけではないですし、自分で納得できる踊りは、なかなかできません。
──調子が出なくて落ち込むことも?
工 大分、あります。あるんです。身体が軽く感じるときは、踊ることがすごく楽しいです。でも、いつでもそうとは限らないし、その状態を思い出してやろうとしても、身体が重いときは重いんです。どうしたらいいのかなって思っているときに、志織先生がふっと背中に手を添えて持ち上げると、ふっと軽くなる。いろんなときに、いろんなボタンを押されます(笑)。そういったことを、ひたすら繰り返しています。
──でもいつも、明るい笑顔で取り組んでいます!
工 笑顔は、もう癖になっています(笑)!! 最初は口元のコンプレックスから始まったんだと思います。もともと口角が下がっていて、小学生、中学生でそれに気づいて、笑っていたほうがいいなと思い、笑顔を心がけるようにしていました。大学のときに指導してくれた先生も、「笑ってなさい」と言うタイプだったので、さらに笑顔が癖になってしまって。が、『子ドン・キ』で初めてキューピッドを踊らせてもらったとき、友佳理さんから「笑顔をもう少し研究して」とアドバイスをもったことがあって、いまも笑顔についてはいろいろ考えながら踊っています!
──これからもいろんな挑戦がありそうですね。
工 どうしていったらいいんだろうと悩み中、です(笑)。でも、結局は自分次第。一つひとつ、納得できる踊りに近づけていたらと思っています。それが1個でも多くできるようになりたいですね。今年は『白鳥の湖』の上演もあります。『白鳥の湖』は入団して2年目で初めて参加したのですが、そのときに先輩たちが第1幕のパ・ド・カトルを踊っているのを見て、「いつかやれたらいいな」と思っていたんです。それが前回、2022年の『白鳥の湖』でパ・ド・カトルを踊らせてもらうことができました。できることなら、もうちょっと満足できるような踊りをしたいなと思っています。ひたすら鏡を見て練習、というのをしっかりやらないといけませんね。正式な配役決定はまだですが、後藤健太朗くんや鳥海 創くんとも一緒に練習していて──実は二人とも同期なんですが、「一緒にやろう!」みたいな感じで、やりやすいです。同期で一緒に同じ踊りを踊れるなんて、すごく嬉しいです。
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バレエ団の冬休みを利用して、石垣島に行ってきました。カヤックに乗って夕陽を見たり、竹富島に行ったり、砂浜でテントを立てたり、吹きガラスを体験したり──やったこと多過ぎ、でした(笑)。当初から、全部やろう!という気持ちで行ったので、本当に楽しかったです。(工 桃子)