
左より髙橋隼世、ハギンズ・ミカエル聖也、山下諒太朗
──まずは軽く自己紹介からお願いします!
髙橋隼世 神奈川県横浜市出身の髙橋隼世です。バレエを始めたのは9歳です。
山下諒太朗 僕は埼玉県で生まれましたが育ったのは福岡です。僕も9歳からバレエを始めました。妹が先に習っていて、ずっと勧められていたけれど、拒否をし続けていました。が、あるとき何となしにやってみたら面白くて、夢中になりました。

山下諒太朗
ハギンズ・ミカエル聖也 僕は4、5歳からですね。母がオーケストラのヴァイオリン奏者で、バレエをたまに観ていた。その影響です。家でバレエの映像を見ていると僕は踊り出していたみたいで、それで教室に通うようになりました。
──プロになろうと思ったきっかけを教えてください。
ハギンズ 実は僕、中学生になる直前に一度バレエをやめているんです。でもまたやりたいという気持ちになって中学時代に再開。もう一度始めるのならばプロを目指したいなと思うようになりました。スタジオの先輩には鳥海創さんや中嶋智哉さんがいて、刺激を受けていましたし、舞台の上で、お客さんから拍手をいただける職業なんて、他にはあまりないですから!
ハギンズ・ミカエル聖也
山下 僕は、ただ漠然とバレエを続けていたのですが、高校2年生くらいで進路を考え出すとき、スタジオの先生にプロを目指してみない?と言っていただいたのがきっかけです。つい、最近の話ですね(笑)。それまでは理学療法の分野に進みたいなと思っていたんです。自分が怪我をしたというわけではなく、バレエを学ぶうちに興味を持つようになったんです。
髙橋 僕は、コンクールに出ると先生方から「将来性に期待」というメッセージをいただくことが多く、僕にはこの道しかないなと思うようになりました。中学では勉強せずにバレエばかりやっていたので(笑)。
──当初から東京バレエ団を目指して?
山下 僕の場合は、いろいろと挑戦した結果、東京バレエ団に合格できた、ということに尽きます。
髙橋 僕は、東京バレエ学校在籍時にバレエ団の舞台に何度かエキストラとして出演させてもらっていたんです。たとえば『白鳥の湖』第3幕の貴族、『ボレロ』のエキストラも経験し、皆で団結して一つの舞台を作り上げていくところがすごいな、と思ったんです。あと、東京バレエ団ではないけれど、2018年のシュツットガルト・バレエ団日本公演『オネーギン』にもエキストラで参加しました。
山下 その経験、羨ましい!
──ということは、バレエ団のスタジオも知っていたし、入団時はそれほど緊張しなかったのでは?
髙橋 いや、流石に入団したときは緊張しました(笑)! ずっと気を張っている感じでしたね。
髙橋隼世
ハギンズ 緊張感、僕もありました。僕自身、東京バレエ団は厳しいかなと思っていました。でもあるとき、ウラジーミル・マラーホフさんのオープンクラスに参加する機会があって、マラーホフさんが東京バレエ団をすすめてくださったんです。それでオーディションを受け、奇跡的に合格した。嬉しかったけれど、やっていけるのかなという不安はありました。いまこうしてアーティストに上がって、やっとバレエのバの字ができるまでになったのかなと思います。
山下 アーティストに上がるとき(斎藤)友佳理先生に言われたのですが、裏の仕事に真面目に取り組んでいたことをちゃんと見てくれていたのが嬉しかったです。誰も見てくれていないと思っていましたから。研究生として過ごした2年間、バレエ以外にもスタジオの掃除やリハーサルでの音出し、劇場での衣裳の準備などたくさん仕事があって大変でした。もちろん、先輩たちもずっとやってきたことですが、それがようやく実を結んだ、という気持ちに。バレエの基礎的なことは、これから時間をかけてじっくりやっていけばいいと言ってくださいました。
髙橋 僕は、1年目も2年目もほぼ欠席なしに頑張ったねと言われました!
──皆勤賞!?
髙橋 いや、1日だけ休んでしまって(笑)。2年目の後半から、バレエに対する姿勢が変わったように見えた、とも言われました。自分ではそんなつもりはなかったのですが、『かぐや姫』、『眠れる森の美女』と新制作が続いて、アンダーを中心にいろんな役に向き合ったからかもしれません。
──これまでの活動で、もっとも印象に残っている舞台は?
山下 やっぱり『かぐや姫』ですね。アンダーのほか、主に音出しでリハーサルに参加していたのですが、他の作品ではない張り詰めた空気感でした。金森穣さんは、音に関してすごくこだわりを持たれていて、音出しについても「それもリハーサルの一部」と、厳しかったです。舞台を作り上げていくうえで、踊り以外のこともすごく重要だということを実感しました。
金森穣振付『かぐや姫』より。3人はアンダー、リハーサルの音出し等で舞台を支えた。
photo: Shoko Matsuhashi
ハギンズ 『かぐや姫』ではいろんな役のアンダーを務めさせていただきました。ストイックな感じのリハーサルでしたから、アンダーでリハーサルに入るときはいつも以上に気合を入れる必要がありました。たとえば、従者による男性群舞の場面は、4グループに分かれている中の3グループ(それぞれ微妙に違う!)で踊りました。
山下 さらに違う役もやったりして。
ハギンズ そう! 急に村人が足りなくなってリハーサルに入るよう言われたこともありました。僕はもともと村人のアンダーには入っていないので振付も何も「あれ、把握していないぞ」と思いつつ、(佐野)志織先生に「できるね」と言われて(笑)、やるしかないと......。アンダーでも少しの間違いも許されませんから、緊張しました。

『かぐや姫』リハーサルより。村人を演じるアンダーのハギンズの姿も!
photo: Shoko Matsuhashi
髙橋 僕は、3月の〈上野水香オン・ステージ〉で上演したアロンソ版『カルメン』に参加できたことが大きかったです。現代振付家の作品を踊るのはこれが初めて。難しかったです。音も速いし、その中でより精確に動くためにインナーの筋肉をどうつかえばいいか、いろいろと研究しました。一度、後藤晴雄さんがリハーサルにいらしてツニガ役を演じられたことがあったんです。それはもう、ツニガを演じているというより、ツニガ。本物なんです! 僕も、そういうダンサーになりたいなって思います。
2024年3月の〈上野水香オン・ステージ〉より『カルメン』
photo: Shoko Matsuhashi
ハギンズ 僕は『眠れる森の美女』ですね。カラボスの手下を演じました。皆が嫌がるような気持ち悪い動きを、自分なりに考えてみたのですが、精一杯できたかなって思います。自分としては、たとえばマラーホフさんのような、ノーブルで美しいダンサーになりたいという思いがありますが、同時に悪役も演じることのできるダンサーになれたらいいですね。もう、伸びしろしかありません!
『眠れる森の美女』プロローグより、カラボス(柄本 弾)とその手下たち。
photo: Shoko Matsuhashi
──目標、いろいろありますよね!
髙橋 癖のない、アカデミックな踊りを目指したいです。最近はクランコ版『ロミオとジュリエット』に取り組み、5月と6月の2ヶ月に渡って本番がありました。いつかティボルトを演じることができたら! 演じるというより、キャピュレット家のティボルトになれたら、と思います。
山下 『ロミジュリ』だったらパリスを演じてみたいです。
僕が思っているのは、一つの舞台を作り上げる中で、主役とか主要な役柄もいっぱいあるけれど、その周りで、すごく目立ちはしないけれど欠かせないダンサーがいる。それは、バレエ団という大きな組織に入って初めて感じたこと。僕は、どんなところにも入れて、陰から舞台を支えることのできるダンサーになりたいと思っています。
髙橋 実は僕らにとってクランコ版『ロミジュリ』は特別な作品なんです。2022年春に入団してすぐ、4月の舞台が『ロミジュリ』でした。何もわからない状態で取り組んだ舞台です。
山下 今回は前回公演よりも落ち着いて、『ロミジュリ』を楽しめました!