
今回のブログは、この春ファースト・アーティストに昇進した橋谷美香の登場。2022年9月に研究生として入団、昨年春よりアーティストとして活動、順調に昇進を重ねていろんな役に挑戦中。いろんなことがあった1年を振り返ります。

──アーティストとして活動した1年間、いろんな経験をされたのでは?
橋谷美香 いろいろありました! 大きなことといえば、昨年秋の『かぐや姫』全3幕世界初演のとき、舞台で失敗をしてしまい、それをきっかけに気合いを入れ直したというか、バレエに対する取り組み方が変わってきたことですね。そのとき、「弱い部分、足りない部分があるのではないか」と(佐野)志織先生に言われたんです。確かに私はプロとしての意識が足りないなと、あらためて自覚しました。実はその前にも、『ジゼル』の舞台写真──第2幕のコール・ドの場面の写真を見せられて、友佳理さんから、私には「何もない」という指摘を受けたことがありました。存在感、表現がなかったんですね。それ以来、レッスンの中で表現、それを「し続ける」ことを意識するようになりました。うまくいかなかったり強く注意されたりすると落ち込むものですが、私はどちらかというと、かえって結構本気モードになって──。ここで辞めたら後悔するし、とりあえずやりきろう!と。
──舞台ではどんな経験を?
橋谷 入団後しばらくは初めて経験する作品が続きましたが、12月の『くるみ割り人形』で初の"2回目"。そこでアラビアのコール・ドに配役されました。そのときに、友佳理さんに「何か変わった」と言われたんです!
──『白鳥の湖』の三羽の白鳥も踊りましたね。
橋谷 まず、3月の『上野水香オン・ステージ』横須賀公演での第2幕の抜粋上演で踊らせてもらいました。昇進する直前のことでしたから、そんな大役!?と驚きました。同時にコール・ドにも取り組んでいたのですが、最前列で踊ることになっていたので、そちらのほうがプレッシャーが大きく、むしろ三羽で伸び伸びと楽しく踊ることができたかなと思っています。
──手応えはありましたか。
橋谷 クラスの段階から意識して積み重ねてきたので、すごく「出そう!」と思わなくても自然に出せるようになったところはあるかもしれません。入団してずっとコール・ドで踊ってきて、揃えるためにどこか抑えていたところがあったけれど、三羽の白鳥ではエネルギーを使い切る感じがありました。4月下旬に上演された、全幕と「はじめての『白鳥の湖』」でも三羽を踊る機会がありましたが、前半の日程でコール・ドを踊りきってからの三羽を2回公演、でしたから、緊張しながらも本当に伸び伸び、楽く踊ることができました! 気持ち良かったですね。
──花嫁候補にも配役されていました。
橋谷 先輩方と一緒に踊るので、あまり子供っぽくならないように表現しようと心がけていました。(柄本)弾さんがジークフリート王子役の日は(榊)優美枝さんが初めて主役を踊る日でもありましたが、白鳥のコール・ドを踊りながら見惚れてしまいました。
別の日程ではマズルカのコール・ドも踊っています。東京バレエ学校出身の皆はキャラクター・ダンスをしっかり勉強してきているけれど、私は少し苦手意識がありました。アメリカにいたときに少し学んではいますが、それほど細かくやってはいないんです。「こんな決まり事があるんだ!?」と驚きました。勉強になります。
──その後、少し悔しい思いをされたとか。
橋谷 実は、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』でリラの精にキャスティングされていたのですが、直前に怪我をしてしまって踊れなかったんです。ヴァリエーションのある役は初めてだったので頑張っていたのですが......。
──それは悔しい!
橋谷 そうなんです。リラのヴァリエーションは繰り返しがたくさんあったり、左のアラベスクばかり出てきたりして、わりと苦手な踊りでした。登場するところからおおらかさとか、皆を包み込むような優しい雰囲気も求められるので、どうやって表現したらいいんだろうと、いろいろ考えていました。やっぱりそこには台詞があるわけだから、台詞を書き出したりしたことも。舞台で踊れなかったのはとても残念ですが、長い間練習してきたことをまた次に繋ぐことができたら。これも私にとって必要なことだったのかなと思っています。
──でも、近いうちに"初ヴァリエーション"が実用するのでは?
橋谷 11月のイタリア公演で、『ラ・バヤデール』の第2幕「影の王国」の第2ヴァリエーションを踊ることになったんです! またこれもどちらかというと苦手な踊りではありますが(笑)、これからしっかりリハーサルを重ねていきたいと思います。
──それにしても、どんどん大きな役に挑戦していますね。
橋谷 早くソリストに上がりたいという気持ちは、正直、ありますし、いろんな役を踊りたい。前回のブログでは、ブレない強さと表現力を課題にあげていたと思うのですが、やっぱりブレない強さと表現力のあるダンサーでありたい。先輩方を見ていると皆さんすごいなって思いますし、ヴァリエーションでつまらない踊りはしたくない。何をやっても同じような踊りではなく、見ていて飽きない、物語の中で印象に残る踊りをしたいです。
──バランシンやベジャールに興味が?
橋谷 そうですね。バレエ団のInstagramの「ダンサー紹介」に登場させてもらったとき、踊りたい作品としてフォーサイスの『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』を挙げました! シルヴィ・ギエムの公演を観ていたので、フォーサイスには憧れがあります。そして先日(伝田)陽美さんが踊っていたベジャールの『バクチ III』──絶対無理ですが(笑)。ベジャール作品には、11月のイタリア公演での『春の祭典』で初挑戦します。キリアンの『小さな死』はアンダーに入れてもらったので、しっかり吸収したいです。もちろん古典もいろいろ踊っていきたいけれど、両方しっかり踊れるダンサーになりたい。そのためには、早くソリストに上がらないと!って思っています。
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夏休みはやっぱり地元へ。写真左は、去年のブログでも紹介した地元の滝。右は地元岡山の倉敷美観地区。存分にリフレッシュできました!